第5章6節: 饗宴の始まり:香りと彩りの前菜
調理の第一弾は、買ってきた香辛料を存分に活かした料理からだ。まずは、カレー風味のスープを作ることにした。
鍋(依然作った土鍋をさらに改良した)に、採取しておいた植物油(魔法で簡易抽出した)を熱し、刻んだ香味野菜(森で採取したタマネギに似た球根とニンニクのような根)を炒める。
香りが立ってきたら、クミン、コリアンダー、ターメリックに似た香辛料、そして自作のチリパウダー(唐辛子もどきを乾燥・粉砕したもの)を加えてさらに炒め、香りを引き出す。
そこに、水で戻した豆(見た目はレンズ豆風とひよこ豆風)と、角切りにした紫色の根菜、そして浄化した水を加えて煮込んでいく。味付けは、塩と例の魚醤もどきで調整する。魔法で火加減をコントロールし、豆が柔らかくなるまでじっくりと煮込む。小屋の中に、食欲をそそるスパイシーな香りが充満する。
スープを煮込んでいる間に、もう一品。
星形の果実を使ったサラダだ。果実は薄切りにし、森で採れた新鮮な葉物野菜と合わせる。ドレッシングは、植物油、樹液の甘味料、そしてレモンに似た酸っぱい果実の絞り汁を混ぜて作る。シンプルだが、彩りも鮮やかだ。
「うわぁ……いい匂い……!」
「お星さまの果物、キラキラしてる!」
リリアとカイは、調理の過程を食い入るように見つめている。特に、香辛料の複雑な香りは、彼らにとって初体験だろう。
スープが煮詰まり、豆が十分に柔らかくなった。味見をする。
……完璧だ。
スパイシーだが、豆と野菜の甘みが溶け出し、深みのある味わいに仕上がっている。
まずは、この二品を小さな器に盛り付け、リリアとカイに差し出した。
「前菜だ。食べてみるといい」
二人は恐る恐る、しかし期待に満ちた目でスプーンを手に取った。




