第3章8節: 解毒調理の実践
仮説を検証するため、私はボルガンに協力を依頼し、体調不良者の家から日常的に食べているパンと干し肉、そして普段使っている井戸水を少量ずつ提供してもらった。
小屋に戻り、早速分析を開始する。パンの断面を観察すると、中心部はやや生焼けに見える。干し肉は、やはり独特の臭気がある。水は、見た目にも濁りが確認できる。
まず、水を煮沸してみる。
十分な時間、沸騰させ続ける。これで多くの細菌や寄生虫は死滅するはずだ。冷ましてから味見をすると、生臭さは消えている。
次に、パン。
これを小さくちぎり、煮沸した清潔な水で煮込んでみる。パン粥だ。以前試したものよりも、水の安全性が確保されている。さらに、採取しておいた殺菌作用のあるとされるハーブ(これも慎重に選定した)を少量加えてみる。
そして、干し肉。これも煮沸した水で丁寧に塩抜きし、薄切りにしてから、パン粥とは別の鍋で、少量の水と殺菌ハーブと共に、中心部まで十分に火が通るように時間をかけて煮込む。
出来上がったのは、「安全な水で作ったパン粥(ハーブ風味)」と「安全な水で調理した干し肉のハーブ煮込み」。見た目は質素だが、少なくとも衛生面では改善されているはずだ。
問題は、これを患者に食べさせて、効果があるかどうか。そして、何より、村人たちがこれを受け入れるかどうかだ。特に、「水をわざわざ沸かす」「食材を長時間煮込む」という行為は、彼らにとっては無駄で面倒なことにしか見えないだろう。
「……説得よりも、結果で示すしかないか」
私は出来上がった二つの料理を、いくつかの木の器に取り分けた。
これを、ボルガンの立ち会いのもと、症状の重い患者に試してみることにした。




