第10章13節: 答えなき問いと進む道
リリアとの他愛のない対話は、私の煮詰まっていた思考に、新たな風を吹き込んでくれたようだった。
巨大な問いに対する明確な答えは、すぐには見つからないだろう。
転生の理由も、宇宙の真理も、生命の本質も、「食の災厄」の真相も。
だが、それでいいのかもしれない。
重要なのは、問い続けること。そして、マクロな視点とミクロな視点、論理的な思考と日常的な経験、その両方から世界を捉え、理解を深めていくことだ。
文献調査や魔法の解析といった知的な探求。未知の食材を探し、料理を工夫するといった実践的な探求。そして、村人たちとの交流の中で、彼らの生き方や価値観に触れるという、人間的な(まあ、エルフなのだが)探求。これら全てが、私にとっての「研究」なのだ。
答えが見つからないからといって、立ち止まる必要はない。むしろ、答えがないからこそ、探求は無限に続き、そこに喜びを見出すことができる。それが、研究者としての私の本質なのだろう。
心が少し軽くなったのを感じた。私はリリアが持ってきてくれたパンを一口齧った。以前より格段に美味しくなっている。
「うん、悪くない出来だな、リリア」
「ほんと!? やった!」
素直に喜ぶリリアの笑顔を見ながら、私は決意を新たにした。
これからも、私は私のやり方で、この世界の謎と、そして私自身の謎を探求し続けていこう。その道がどこへ続くのかは分からないが、きっと退屈することはなさそうだ。




