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第ニ十五刻 紫電の追憶 継承

「俺の息子がもし軍に志願して来た時は、お前が面倒見てやってくれねぇか。」


「はい…」


「俺と同じでよぉ、魔力が無いから…力の使い方教えてやってくれ。」


「はい…」

いつも嬉しそうに自慢していた彼の息子。

その想いを託された。



「それと皆の面倒も、頼まれてくれねぇか。」


「それって…」

言いかけた時、彼に遮られる。


「カトレア副隊長!現時刻をもって第六武装師団《隊長》に任命する!」

いつもと違う、力強い威厳のこもった声。


「時に全てを払う剣となり、時に全てを守る盾となり、仲間を導く舵となる!

 誰一人欠けることなく命を全うせよ!」


隊長からの最後の命令。

「第六武装師団隊長、カトレア。しかと承ります!」


泣くな、強く在るのだ。

この憧れた隊長のように強く。


「カトレア、もっと素直になって良く笑え。その方がずっと可愛いぞ。」

そう言って彼は目を閉じた。


やっぱりこの人には勝てないなぁ。

せき止めていたものが流れ出す。


紫電の英雄、魔族との戦闘にて死す。

その一報は軍内に瞬く間に広がった。


後の検分で判明した事だがゲインを中心に辺り一体は完全に更地となっていた、敵味方まとめて吹き飛ばす大爆発。


そんな中隊長はその身一つで私を含めた隊の仲間全員を守り全ての衝撃を受け止めていたのだ。




…あれから十数年。

紫電の英雄、その存在も少しずつ薄れていった。


「隊長、今年の志願者一覧です。」

ウェルスが分厚い紙の塊を手渡す。


「ありがとうウェルス、今年はどんなかわい子ちゃんがいるのかなぁ」

パラパラと志願票をめくる。


出身:マリンズ村、名前:《セス》

手が、止まった。


…息子が生まれてさぁ、…息子に嫌われて、…息子が俺みたいに。

「お前が面倒、見てやってくれねぇか。」


遂に来た、救ってもらったこの命。

最後の願いを果たす時。


「ウェルス!このセスって子、絶対うちで獲るわよ!」


「隊長、珍しくやる気ですね。目当ての志願者でも居ましたか?」


「長いこと待った想い人って感じかな?」


ウェルスは不思議そうに首を傾げる。


「私行ってくる!ウェルス後よろしく!」

ウェルスが後ろで呼んでいたが動き出した身体は止まらない。


(隊長、息子さんちゃんと来ましたよ!私が必ず守ってみせます。)


試験会場につくと彼の姿が見えた、志願者になりすまして近付く。


「私はメリッサ、よろしくね。」


「よろしく、俺は…」


知ってるよ、セス。

紫電の英雄の息子。


……私は彼を知っている。






読んで頂きありがとうございます。

毎日2〜3話投稿出来るように頑張ります!

初投稿なので右も左も分かっておりません。


宜しければ素直な評価お願いします。

ブックマーク等頂ければ次の話を投稿するパワーになります。

是非お待ちしてます!

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