第ニ十四刻 紫電の追憶 紫電
以前、彼に聞いたことがある。
使う予定のない奥義、代償は命。
(全てを精霊に捧げる事で強大な力を得る隊長だけの雷魔法)
「駄目です隊長!使ってはいけま「《紫電・纏》」」
身体が動かない、声も出せない。
意識だけが保たれている、周りも全て止まっている。
ゲインも勿論動けずにいた。
そんな中、彼だけゆっくりゲインに向って歩いている。
(隊長、何故使われたのですか…)
「すまない…ゲイン。」
隊長はゲインの前に立つと剣を彼の心臓に向けて突き刺した。
自由になる身体。
ゲインの口から大量の血が噴き出した。
「隊…長…すみません、俺…隊長みたく…強くなりたくて…」
「もういいゲイン、十分強くなった。
まだ助かる、その力で次は俺の仲間達を守ってくれ。」
隊長がゲインに手を伸ばす。
「駄目じゃないかゲイン、その力は紫電の英雄を殺す為に与えた力だ、それが私達との《契約》だろう?」
声が頭に響く。
ゲインを包む炎が彼の体内に吸い込まれるように集まってゆく。
「ごめ…隊長…逃…て」
ゲインの身体から赤黒い閃光が見えた瞬間、私の視界は闇に包まれ、意識は途切れた。
…
……
………
冷たい。肌に当たる水の感覚。
雨が降っている。
「隊長!みんな!」
まだボヤけた視界、うまく動かない身体、辺りを見回す。
仲間達は生きていた、幸い気を失っているだけのようだ。
「よかった、隊長!隊長は!?」
「おはようカトレア、怪我…してないか?」
(隊長の声!良かった、生きている!)
私の目に飛び込んだ隊長はもう、私の知る隊長ではなかった。
両手を広げながら胸に大きな穴を開け、足元には血溜まりが広がっている。
「隊長!穴が!急いで手当を!」
急いで立ち上がろうとする私を彼の声が阻む。
「カトレア、いいんだ。
自分の事だ、自分が一番分かる。
それで、みんな怪我してないのか?」
(なんでこんな時まで私達のことを…)
涙が溢れる、分かっているのだ。
もう彼が助からない事が。
「全員、無事です。ありがとうございます…」
振り絞るように答えた。
「良かった…どちらにせよ紫電・纏まで使ったんだ…遅かれ早かれお迎えが来る。」
声も小さくなり朦朧とする意識の中、彼は続ける。
「カトレア…すまないが一つ頼まれてくれないか…」
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初投稿なので右も左も分かっておりません。
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