第ニ十三刻 紫電の追憶 交差
「ゲイン!何だお前その姿は。」
「何って、見てくれよ隊長!
溢れてくるんだ、力が!」
ゲインの手から黒い炎が溢れる。
炎は燃え上がらず液体のように滴り、彼の身体を包み始めた。
「これが、悪魔に魂を売って手に入れたアンタを超える力だ!」
「すまないゲイン、お前に力以外をちゃんと教えてやれなかったな。」
隊長が剣を構え直す。
「雷の精霊よ、我が魂を対価に力を与えたまえ…《雷電》」
バチバチと音を立て、隊長の周囲に紫色の火花が散る。
『雷魔法』
基本四種魔法とは違い魔力でなく生命力を糧として発動する魔法。
術者によって発現する現象が代わる特性を持つ。
魔力との相性が極端に悪く、魔力を持つ人間では発動が出来ない。
「それだよ隊長、その力に俺は憧れた!
その紫の雷に魅せられちまったんダァ」
ゲインが叫ぶ。
炎に包まれた身体は既に私の知っているゲインではない。
力に魅入られると人はこんなにも変わるのか…
「ゲイン!お前のせいで沢山仲間が死んだぞ、何だその姿は!まるで悪魔ではないか!」
怖い…でも一言ぶつけないと気が済まなかった。
「あァ!?カトレア!おマェ弱いのにいつも口ダケハご立派だったよナァ!?」
ゲインの視線がこちらに移る、足が震える。
脳が一刻も早く逃げろと訴える。
「お前カラ死ぬかァ!?」
次の瞬間、ゲインは視界から消える。
(来るっ!)
剣を身構えた私が受けたのは、熱風と衝撃波。
足元にはゲインの槍と隊長の剣が交わり地面を抉っていた。
「隊長ォ、邪魔しないでクレよぉ」
「ゲインまだ、説教は始まってもないぞ。」
とても言葉では言い表せない戦い。
二人の姿は見えず、火花が散ったと思えば遅れて音がする。
「な、何を見せられている。」
これが人間同士の戦いなのか…
約一分間、数え切れないほどの火花が散る。
再び隊長の姿を捉える事が出来た時、そこに映ったのは身体中から血を流しながらも剣を握る隊長の姿。
「隊長!」
あんな姿は始めて見た。
「ボロボロじゃネェか隊長ォ!次で楽にしてやるから安心して死ねェ!」
ゲインを包む炎が一層強く燃え上がる。
「ゲイン強くなったなぁ、でもそろそろ帰ってこい。」
彼は嬉しそうに笑みを浮かべ詠唱を始めた。
「雷の精霊よ、我が血肉全てを糧とし…」
「隊長!駄目です!」
使っては、使わせてはいけない…
読んで頂きありがとうございます。
毎日2〜3話投稿出来るように頑張ります!
初投稿なので右も左も分かっておりません。
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