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第39話:濡れたハンカチ
体育の授業が終わり、蓮は汗を拭うために水道で顔を洗った。
しかし、ポケットを探ってもハンカチが入っていない。家に忘れてきたのだ。
「うわ、最悪。顔がびしょびしょだ……」
「ほら、使いなよ」
となりの水道で手を洗っていた真白さんが、可愛らしいピンク色のハンカチを差し出してきた。
「え、いいのか? 悪いな」
「いいよ。でも、女の子のハンカチ使うの、ちょっとドキドキする?」
「するわけないだろ。ただの布じゃん」
蓮は強がって、顔の水分をゴシゴシと拭き取った。ハンカチからは、真白さんのシャンプーのような、甘いフローラルの香りがふわりと漂ってきた。
「はい、ありがと。助かった」
「どういたしまして。……ねえ、宮本くん。そのハンカチ、私の匂い、した?」
「し、してない! 無臭だったわ!」
蓮が慌ててハンカチを返すと、真白さんはそれを愛おしそうに畳みながら、小さく囁いた。
「嘘つき。顔、すっごく赤くなってるよ」
蓮は自分の頬が、走った後よりも熱くなっているのを自覚せざるを得なかった。




