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第35話:教科書の忘れ物
「……あ、やべ」
英語の授業が始まる直前、蓮は冷や汗をかいた。教科書は持ってきているが、ワークの方を家に忘れてしまったのだ。今日の先生は忘れると立たされるタイプだ。
「どうしたの、宮本くん。また忘れ物?」
「うぐ……英語のワーク、忘れちゃって。真白さん、また見せてくれない?」
蓮が頭を下げると、真白さんは自分のワークを開き、2人の机の真ん中に置いた。
「いいよ。でも、タダじゃないのは分かってるよね?」
「分かってるよ。何でも言うこと聞けばいいんだろ……」
「じゃあ、授業中、先生が『ここ大事だぞ』って言ったら、私の手を繋いで」
「できるわけないだろ!」
蓮は大慌てで小声でツッコんだ。授業中に手を繋ぐなんて、心臓が爆発してしまう。
「じゃあ、ノートの端っこで、指先だけツンってして」
真白さんはそう言うと、ワークの端に自分の人差し指をぽんと置いた。
授業が始まり、先生が「ここテストに出るぞ」と言った瞬間、蓮は葛藤の末、蚊が止まるような軽さで、真白さんの指先に自分の指を「ツン」と合わせた。
真白さんは満足そうに、でも少しだけ耳を赤くして、嬉しそうにクスクスと笑っていた。




