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週間ランキング49位、月間ランキング74位『となりの席の真白さん』  作者: S.S
中学生 いたずらやからかい

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第3話:腕相撲

休み時間、男子たちが教室の後ろで腕相撲をして盛り上がっていた。

蓮も参加したが、クラスで一番力の強い男子にあっさりと負けてしまい、悔しい思いをしていた。

席に戻ると、真白さんが机に頬杖をついてこちらを見ていた。

「宮本くん、負けちゃったね。弱いなぁ」

「うるさいな! あいつが強すぎるんだよ。俺だって、普通の奴相手なら負けないぞ」

「ふーん……じゃあ、私とやってみる?」

真白さんは、机の上に細い右腕をぽんと置いた。

「は? お前と? 冗談だろ。女子相手に本気出せるわけないじゃん」

「いいよ、本気出して。私、これでも結構強いんだから。もし宮本くんが勝ったら、今日の購買の焼きそばパン、奢ってあげる」

「本当か!? よし、乗った!」

焼きそばパンにつられたのもあるが、何より「これなら真白さんに絶対に勝てる」という確信があった。いくらなんでも、男子の自分が女子の腕力に負けるはずがない。今までのからかいの雪辱を果たすチャンスだ。

「じゃあ、手、握って?」

真白さんが手のひらを差し出す。

蓮は「おう」と威勢よく、その手を握った。

(……小さっ。それに、なんか柔らかい……)

実際に触れてみると、真白さんの手は驚くほど小さく、温かかった。男子の手とは全く違う。蓮の手に緊張が走る。

「じゃあ、私が合図するね。レディー……ゴー!」

真白さんの掛け声とともに、蓮は力を込めようとした。

しかし、真白さんは力を入れるどころか、握った蓮の手を、自分の両手で包み込むようにギュッと握りしめてきた。

「え? おい、両手は反則……」

「宮本くんの手、おっきいね。それに……すっごく熱いよ?」

真白さんは上目遣いで、蓮の目をじっと見つめてきた。

その瞳の近さに、蓮の頭は一瞬で真っ白になった。込めるはずだった腕の力が、一気に抜けていく。

「あ……」

スコーン、と軽い音を立てて、蓮の腕は机に倒された。

「はい、私の勝ち!」

真白さんはパッと手を離し、いたずらが成功した子供のように笑った。

「な、ずるいぞ! 今の反則だろ!」

「えー? どこが? 宮本くんが勝手に力抜いたんでしょ? 男の子なのに、女子に負けちゃうなんてね」

「うぐ……っ」

言えない。「手が柔らかかったから」とか「目が合ってドキドキしたから」なんて、絶対に言えるわけがない。

「じゃあ、お昼休みに焼きそばパン、奢ってもらうね。楽しみだなあ」

嬉しそうに鼻歌を歌い始める真白さんを見て、蓮は自分の両手を握りしめ、まだ残る彼女の手の温もりを消し去るように、何度も深呼吸をするのだった。


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