第24話:お弁当のおかず
2学期が始まってしばらく経った、ある日の昼休み。
蓮が自分の席で母親の作ってくれたお弁当を食べていると、となりの真白さんがトントンと机を叩いた。
「宮本くん、お弁当美味しそうだね」
「ん? まあ普通だよ。真白さんのは?」
「私は今日、自分で卵焼き作ってみたんだ。……ねえ、宮本くんの唐揚げと、私の卵焼き、1個交換しない?」
真白さんのお弁当箱には、少し形は不揃いだけど美味しそうな黄色の卵焼きが入っていた。
「いいよ。じゃあ交換な」
「うん。じゃあ、はい、あーん」
真白さんは箸で卵焼きを挟むと、それを蓮の口元へとすっと差し出してきた。
「は、はあ!? 何すんだよ、自分で食べるって!」
「えー、お弁当の交換って普通こうでしょ? ほら、恥ずかしがらないで」
「恥ずかしいわ! クラスの奴らが見てるだろ!」
蓮が顔を真っ赤にして拒否すると、真白さんはクスッと笑って卵焼きを蓮の弁当箱の端にぽんと置いた。
「ふふ、冗談だよ。ほら、私の卵焼き、食べてみて」
「……いただきます」
蓮が卵焼きを口に運ぶ。ほんのり甘くて、すごく美味しい。
「どう? 美味しい?」
「うん、美味い。味付け、ちょうどいいわ」
「本当? 良かった。……あ、宮本くん。その卵焼きね、隠し味に私の『好き』って気持ちが入ってるから、美味しいんだよ?」
「ぶふっ……!!!!」
蓮は唐揚げを喉に詰まらせそうになり、慌ててお茶を飲み干した。
真白さんは自分の卵焼きを幸せそうに頬張りながら、いつもの涼しげな顔でクスクスと笑っていた。




