第23話:雨宿り(リベンジ)
二学期が始まって数日後の放課後。またしても突然の雨が学校を襲った。
一学期(第4話)の時は、真白さんの傘に入って大緊張した蓮だったが、今回は違う。蓮のカバンには、ちゃんと自分の折りたたみ傘が入っている。
「よし、今日は傘があるぞ!」
昇降口でドヤ顔の蓮。隣には、傘を持っていなさそうな真白さんが立っていた。
「あ、宮本くん。傘持ってるんだ、ずるい」
「ふふん、今回は予報をチェックしてたからな。真白さん、持ってないの? 貸してあげてもいいけど?」
一学期のお返しとばかりに、蓮は少し得意げに傘を突き出した。
真白さんは「ありがとう」と微笑み、蓮の傘を受け取ろうとしたが……不意に、自分のカバンの奥から、水色の折りたたみ傘を取り出した。
「あ、私も持ってたんだった。忘れてた」
「持ってるんじゃん! じゃあ貸さなくていいな」
「うん。でもさ……」
真白さんは自分の傘を開かず、蓮の傘の持ち手をキュッと掴んだ。
「せっかく宮本くんが貸してくれるって言ったんだから、2人で1つの傘で帰らない?」
「えっ!? だって、お前も持ってるんだから、別々で帰ればいいだろ!」
「だって、別々だと、おしゃべりしにくいじゃん。それに……」
真白さんは蓮の目をじっと見つめた。
「夏休みに助けてもらったときから、私、宮本くんの隣が、前よりずっと安心するんだよね」
(うぐ……っ!!!!)
あの事件を引き合いに出されると、蓮は何も言えなくなる。真白さんの瞳には、からかいの光だけでなく、ほんの少しの甘えが含まれていた。
「……わ、分かったよ。じゃあ、俺が差すから」
「うん。ありがとう、宮本くん」
真白さんは自分の傘をカバンにしまい、蓮の傘の下へと一歩踏み込んだ。
一学期の相合い傘よりも、なぜか2人の距離は少しだけ近く、肩が触れ合うたびに、蓮の心臓は雨音よりも激しくビートを刻むのだった。




