第22話:二学期の始まり
9月1日。始業式の朝、教室は久しぶりに再会したクラスメイトたちの賑やかな声で満ちていた。
蓮が自分の席に座ると、机の上が少しだけ綺麗になっていることに気づいた。
「おはよう、宮本くん。久しぶりの学校だね」
となりの席から、聞き馴染んだ声がした。真白さんだ。
髪を少しだけ後ろで結んでいて、一学期よりも心なしか大人っぽく見える。
「おはよう、真白さん。……なんか、ちょっと雰囲気変わった?」
「え? 分かる? 2学期だから、少しだけ大人っぽくしてみたんだ。……どうかな?」
真白さんは髪の結び目を触りながら、蓮の反応を待っている。
「あ、いや、似合ってると思うよ」
「ありがとう。宮本くんは、相変わらず分かりやすいね」
真白さんはカバンから、小さな小箱を取り出した。
「はい、これ。夏休みのお土産」
「お土産? どこか行ったの?」
「おばあちゃんの家。はい、開けてみて」
蓮が箱を開けると、中には小さな「サクラ貝」のキーホルダーが入っていた。
「うわ、綺麗だな。ありがと」
「宮本くんのカバンにつけてね。私が選んだんだから、絶対だよ?」
「分かったよ。すぐつけるよ」
蓮がカバンのファスナーにキーホルダーを取り付けていると、真白さんはその様子をじっと見つめていた。
「ねえ、宮本くん。キーホルダーつけるってことは、学校中のみんなに『私は真白さんのものです』ってアピールしてることになるよ?」
「はあ!? なんでそうなるんだよ!」
「ふふ、嘘だよ。でも、大切にしてね」
真白さんは前を向き、黒板を見つめた。
賑やかな教室の中で、蓮のカバンに揺れる小さな貝殻だけが、2人の夏休みの「秘密」を共有しているようで、蓮は少しだけ誇らしい気持ちになるのだった。




