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異世界遊戯  作者: 王子大好物
生きたチェス
41/45

40

ジーンは指を鳴らし、囚人たちを見回した。

「そうだな。ついでに敵の能力と――お前ら自身の能力についても教えてくれ。知ってる範囲でいい」

渋々ながらも囚人たちは口を開き。

「俺たちにはない。あいつらにも、なぁお前ら。」

そういいみんな口々にそうだといい始める。

ジーンは腕を組みながら目を細め、断片的な情報を頭の中で繋ぎ合わせていく。敵の力と味方の力、勝敗を左右する条件――ひとつずつ整理していく。

やがて彼はぱんと手を打った。

「よし、作戦は決まった。とりあえず――俺に従ってりゃいい。なんとかなる」

そう言った瞬間、ジーンはその場にごろりと寝転んだ。

「……は?」

囚人たちは呆気にとられる。

「何をしている」

「準備だよ。次の試合に備えて寝る。お前らも好きにしてろ」

「お、おい! ふざけるな! こんなときに寝るやつがあるか!」

反論も無視して、ジーンは目を閉じる。

次の瞬間、規則正しい寝息と小さないびきが響き始めた。

囚人たちは頭を抱えるしかなかった。

(……なんでこんな愚か者の話に乗っかったんだろうな)

そう思いつつも、彼の言葉が妙に嘘ではないと感じてしまう自分に気づき、結局は信じることにした。

やがて試合開始の声がかかり、誰かがジーンの体を揺さぶった。

「おい、もう時間だ」

「ふぁ……もうそんなか」

「早く行くぞ!」

「ほいほい」

目をこすりながら部屋を出るジーン。その先で待っていたリンは、露骨に苛立ちを顔に浮かべていた。

「……私を待たせるなんて、ゴミの分際で」

「すみまふぁぁせん」

心のこもらぬ謝罪に、リンの眉がさらに吊り上がる。

「もういいわ。さっさと始めましょう」

「そういえば――チェス得意って言ってたよな」

「ええ、言ったわ。それがなにかしら?」

「いやな。能力やら力比べなら、こっちの方が強い。……それでも勝てるんだな?」

「そんなものでは私に勝てない」

ジーンはにやりと笑った。

「へぇ。じゃああんたは俺にチェックメイトできるわけだ」

「当然よ。あんたと違って私は強いもの」

「……楽しみだな」

ジーンは大きく息を吸い込み、舞台全体に響く声で叫んだ。

「――誰も犠牲にせずに、チェックメイトを取るぞ!」

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