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ジーンは指を鳴らし、囚人たちを見回した。
「そうだな。ついでに敵の能力と――お前ら自身の能力についても教えてくれ。知ってる範囲でいい」
渋々ながらも囚人たちは口を開き。
「俺たちにはない。あいつらにも、なぁお前ら。」
そういいみんな口々にそうだといい始める。
ジーンは腕を組みながら目を細め、断片的な情報を頭の中で繋ぎ合わせていく。敵の力と味方の力、勝敗を左右する条件――ひとつずつ整理していく。
やがて彼はぱんと手を打った。
「よし、作戦は決まった。とりあえず――俺に従ってりゃいい。なんとかなる」
そう言った瞬間、ジーンはその場にごろりと寝転んだ。
「……は?」
囚人たちは呆気にとられる。
「何をしている」
「準備だよ。次の試合に備えて寝る。お前らも好きにしてろ」
「お、おい! ふざけるな! こんなときに寝るやつがあるか!」
反論も無視して、ジーンは目を閉じる。
次の瞬間、規則正しい寝息と小さないびきが響き始めた。
囚人たちは頭を抱えるしかなかった。
(……なんでこんな愚か者の話に乗っかったんだろうな)
そう思いつつも、彼の言葉が妙に嘘ではないと感じてしまう自分に気づき、結局は信じることにした。
やがて試合開始の声がかかり、誰かがジーンの体を揺さぶった。
「おい、もう時間だ」
「ふぁ……もうそんなか」
「早く行くぞ!」
「ほいほい」
目をこすりながら部屋を出るジーン。その先で待っていたリンは、露骨に苛立ちを顔に浮かべていた。
「……私を待たせるなんて、ゴミの分際で」
「すみまふぁぁせん」
心のこもらぬ謝罪に、リンの眉がさらに吊り上がる。
「もういいわ。さっさと始めましょう」
「そういえば――チェス得意って言ってたよな」
「ええ、言ったわ。それがなにかしら?」
「いやな。能力やら力比べなら、こっちの方が強い。……それでも勝てるんだな?」
「そんなものでは私に勝てない」
ジーンはにやりと笑った。
「へぇ。じゃああんたは俺にチェックメイトできるわけだ」
「当然よ。あんたと違って私は強いもの」
「……楽しみだな」
ジーンは大きく息を吸い込み、舞台全体に響く声で叫んだ。
「――誰も犠牲にせずに、チェックメイトを取るぞ!」




