表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界遊戯  作者: 王子大好物
生きたチェス
38/45

37

ざわめきに包まれた会場。煌びやかな照明が照り返し、中央の盤上に視線が集中していた。緊張と興奮の熱気が渦巻く中、ジーンは人混みを縫いながら歩く。彼の足取りは迷いなく、獲物を見つけた獣のような眼差しが一点を捉えていた。

その先にいたのは、鋭い光を帯びる女――ヘリーナ。観客や囚人でさえ無意識に距離を取るほどの気迫を放つ彼女に、ジーンは肩をすくめるように近づき、皮肉めいた笑みを浮かべた。

「俺がその話を受けると思うのか? 俺を殺そうとしている人間に」

挑発めいた低い声。ヘリーナは唇を吊り上げ、逆に挑みかかるように応じる。

「ふふ……でも、あんたなら受けるでしょう? たとえ私が後でどう殺そうとも」

――やれやれ。ジーンは頭をポリポリとかき、余裕を見せつけるように言葉を返した。

「――いいだろう。このゲーム中だけ、お前と俺の視覚を共有する。その報酬は懸賞金の一割、二千ルクスだ」

彼の声音は静かだが、周囲にいた囚人たちの耳を撃ち抜いたようだった。ざわめきが走る。視覚を共有? 本当にそんなことが可能なのか――誰もが疑いの目を向けた。

「……本当にできるんでしょうね? もしできなかったらどうするのかしら」

ヘリーナの声には明らかな疑念が混じり、眉間に深い皺が刻まれていた。

ジーンは間を置き、口角を上げる。

「ならこうしよう。もし俺のミスでお前が負けたら、俺が懸賞金の半分を支払う。逆に、成功すればお前から半分をもらう」

大胆すぎる提案。まるで狂気じみた賭けのようだ。

「なっ……! なんでそうなるのよ!」

ヘリーナの表情が険しさを増し、声が震えた。

ジーンは涼しい顔で言葉を続ける。

「この内容だと契約というよりは賭けだからな。互いが大きなリスクを賭けてこそ成立する。お前にとっても悪くないはずだ。勝てば、俺を死に追いやれる可能性があるんだからな」

その声音は淡々としているのに、刃のような冷たさが潜んでいた。

ヘリーナは苦虫を噛んだように顔を歪める。拳を握り締め、必死に冷静を保とうとするが、その動揺は隠せない。

ジーンは軽く息を吐き、声を和らげた。

「……不満なら三割でいい。それならどうだ?」

ヘリーナの表情から険しさが消え、ほんのわずかに安堵の色が差した。だが、ジーンはその隙を逃さず、声を低めて付け加える。

「だが――残り二割分の価値は、いつか必ずお前に請求する」

ヘリーナはわずかに眉をひそめたが、すぐに薄笑いを浮かべた。

(30%になったし、20%分の価値といっても、大したことないでしょう)

「……それなら、契約するわ」

ジーンは静かに笑みを深め、囁くように言葉を落とした。

「これで契約できたな。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ