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異世界遊戯  作者: 王子大好物
生きたチェス
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「それでは皆さん、お待ちかねのゲームです」

ヌルノの声が響くと、観客席から割れんばかりの歓声が沸き上がった。

彼はタキシードの裾を翻し、わざと舞台俳優のような仕草で続ける。

「今回のルールは単純明快! 能力の使用は許可します。ただし――対戦相手へのに対しての能力付与や直接攻撃は禁止ね。

さて、次なる遊戯の名は……“生きたチェス”!」

観客からは口笛と歓声、参加者たちは顔を見合わせ、ざわめきが走る。

ジーンも眉をひそめた。(生きた……チェス?)

「基本は普通のチェスだ。ただし――ひとつ違う点がある」

一拍置き、ヌルノは声を低める。

「駒は“人間”を使う。進んだマスに相手の駒がいれば戦闘だ。勝ったほうが残り、負けたほうは……消える。まあ、チェスと格闘の融合だな」

緊張が場を支配する。

そのとき、一人の狼の獣人が恐る恐る手を挙げた。

「あ、あの……その“駒”って……僕たちのことですか?」

ヌルノの口元が吊り上がる。

「フフ……まさか。そんなわけないだろ。君たちじゃつまらん」

一瞬、くだけた口調。だが次の瞬間には、また芝居がかった声色に戻る。

「囚人を使うのです」

直後、鉄扉が開き、鎖に繋がれた十数人の囚人が引き出される。痩せこけた顔、皮膚に焼き付けられた刻印。

「ご安心を。開始前に“奴隷紋”を刻んでおくのでね。参加者に危害を加えることはできません。……もっとも、君たちが彼らをどう使い潰すかは自由だが」

観客はどっと笑い、囚人たちは呻き声をあげる。笑いとすすり泣きが交錯し、会場全体が異様な熱気に包まれた。

「勝利条件は――相手の王を仕留めることだ。死亡か、チェックメイトか……好きに選べ」

ヌルノの目が怪しく光る。

「質問は他にあるかな? ……無いね? じゃ、俺は用事があるんで」

そう言うと、ヌルノの体は砂のように崩れ、跡形もなく消え去った。

残されたのは、観客の熱狂と囚人たちのすすり泣きだけだった。

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