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そういい、ジーンはシャルロッテの目の前を淡々と去った。廊下の石畳を踏む音が、静まり返った会場に軽く響く。まだ先ほどのゲームの興奮と緊張の余韻が残っており、参加者の数人は放心したように床に座り込んでいた。ジーンは一瞥するだけで、彼らの落胆や疲労の色を認識する。人の死を目の当たりにすることは、どんな者にとっても耐え難い。特に、信頼していた者や、かつての仲間ならなおさらだ。だが、今のジーンにその感情は微塵もなく、ただ次の行動を淡々と考えているだけだった。
その時、背後から急な衝撃があった。振り返ると、そこに立っていたのはヌルノだった。彼は人懐っこい笑みを浮かべ、まるでこの場の空気をものともせずに歩み寄ってくる。
「いやぁ、さっきのゲーム、君はなかなかのプレイを見せたね。性格は正直嫌いだが、君のやり方は認めるよ。強いプレイヤーは大好きなんだ。」
その言葉を聞きながら、ジーンは内心で考える。こいつの言動や思想には一貫性がなく、何を考えているのかまるで読めない。善悪の判断も、計算された戦略も混ざり合っており、まるで予測不能の嵐だ。
「そうか。で、何の用だ。次のゲームを俺だけに先に教えてくれるとか、そういう話か?」
ジーンは眉を少し上げ、無関心を装いながら問い返す。
「うーん……君とは個人的に話がしたいかな。だから、君の部屋に移動しよう。」
ヌルノはそう言うと、指をパチンと鳴らした。その瞬間、ジーンの視界が変わり、見たことのない石で組まれた牢屋のような部屋に移動していた。厚い石壁、暗い隙間、そして冷たい床。だが、ジーンは表情ひとつ変えず、状況を冷静に把握する。
「ここは……どこだ?まさか牢屋か?」
ジーンは低く問いかける。
「いやいや、さすがにそれはない。ここは君が使う部屋さ。まぁそんなことはさておいて、本題に入ろうか。」
ヌルノは笑みを浮かべながらも、瞳の奥には計算された光が宿っていた。
「君さ、どこにフォルトルトを隠した?」
ジーンの表情が微かに変わる。フォルトルト――この違法薬物は、かつて魔王が支配していた時代から禁止されているものであり、国王が制定した麻薬撲滅法により、そのほとんどは姿を消していた。現代では、これを所持すること自体が重罪であり、販売すれば捕まる可能性が非常に高い。しかも、希少性が高いため、貴族の上位階級でもなかなか手に入れることはできない値段だった。
ジーンの家は中流貴族に位置する。上流貴族に比べて財力は限られ、通常なら購入は困難である。だが、今回の件は常識を覆すものであった。
「フォルトルト?あんなもの、持っているわけがないだろう。」
ジーンは淡々と答える。しかし、ヌルノの眼差しは冷たく、嘘を見抜くように鋭かった。
「嘘をつくな。今日、お前の家の地下で、あの薬物が発見されたらしい。その後、兵士が突入した瞬間、その一室はすべて焼き払われたという。あれは間違いなくフォルトルトだ。」
ヌルノの声には怒気と同時に興奮が混ざっていた。まるで、未知のパズルを目の前に差し出され、解答を待っているかのような口調だ。




