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会議のざわめきを、ひときわ澄んだ声が切り裂いた。
「みんなに聞いてほしいことがあるの」
ヘリーナだった。昨日までの震える少女の姿はなく、背筋を伸ばし、静かに言葉を放つ。
「……私は魔女の正体を知っている」
空気が凍る。
「は? 何を言ってる」
「見たっていうのか?」
「そんなの嘘に決まって――」
「嘘じゃないわ」ヘリーナの瞳が強く光る。「私は見たの。クローゼットの中から。神父が……殺されるのを」
一斉にどよめきが走る。
ナリノとダリルの視線が、無意識にジーンへと向いた。
ジーンはそれに気づき、口の端を吊り上げる。挑発的な笑み。だが――。
「魔女は……ジーンとブルジ」
その言葉に、広間の時が止まった。
「……は?」ジーンの笑みが、わずかにひきつる。
「おいおい待てよ、何を――」
「元魔女はナリノよ!」ヘリーナは畳みかける。「彼はジーンに脅されて、偽のルールを広めさせられた。本当は――このゲームは“会議中の殺し”だけが禁止。話し合いが終われば、殺せるの!」
「ふざけるな!」ジーンの声が低く響く。「俺がそんな真似をするわけ――」
「あなたがやったのよ!」ヘリーナの声が会議室に突き刺さる。「その証拠に、あなたは何度も“そのルールは正しい”とゴリ押ししていた。あれは、ナリノの偽ルールを正当化するためだった!」
ざわめきが渦巻く。
「まさか……」
「ジーンが……?」
「嘘だろ……」
ジーンの笑みが完全に消え、額に汗が浮かぶ。
やがて膝をつき、かすれた声で言った。
「……俺が元魔女だ。偽のルールを作ったのは、確かに俺だ。でも、脅されていたんだ……!」
その必死の弁明に、場が一瞬静まる。
しかし一人の村人が鋭く言い放った。
「なら言えよ。本物の魔女が誰なのか。それで死んだら、信じてやる」
ジーンは黙り込み、震える拳を握った。
そして――ゆっくりと顔を上げる。
「……魔女の正体は、ナリノとダリルだ」




