表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界遊戯  作者: 王子大好物
魔女裁判
26/45

25

 会議のざわめきを、ひときわ澄んだ声が切り裂いた。

「みんなに聞いてほしいことがあるの」

 ヘリーナだった。昨日までの震える少女の姿はなく、背筋を伸ばし、静かに言葉を放つ。

「……私は魔女の正体を知っている」


 空気が凍る。

「は? 何を言ってる」

「見たっていうのか?」

「そんなの嘘に決まって――」


「嘘じゃないわ」ヘリーナの瞳が強く光る。「私は見たの。クローゼットの中から。神父が……殺されるのを」


 一斉にどよめきが走る。

 ナリノとダリルの視線が、無意識にジーンへと向いた。

 ジーンはそれに気づき、口の端を吊り上げる。挑発的な笑み。だが――。


「魔女は……ジーンとブルジ」


 その言葉に、広間の時が止まった。

「……は?」ジーンの笑みが、わずかにひきつる。

「おいおい待てよ、何を――」


「元魔女はナリノよ!」ヘリーナは畳みかける。「彼はジーンに脅されて、偽のルールを広めさせられた。本当は――このゲームは“会議中の殺し”だけが禁止。話し合いが終われば、殺せるの!」


「ふざけるな!」ジーンの声が低く響く。「俺がそんな真似をするわけ――」


「あなたがやったのよ!」ヘリーナの声が会議室に突き刺さる。「その証拠に、あなたは何度も“そのルールは正しい”とゴリ押ししていた。あれは、ナリノの偽ルールを正当化するためだった!」


 ざわめきが渦巻く。

「まさか……」

「ジーンが……?」

「嘘だろ……」


 ジーンの笑みが完全に消え、額に汗が浮かぶ。

 やがて膝をつき、かすれた声で言った。

「……俺が元魔女だ。偽のルールを作ったのは、確かに俺だ。でも、脅されていたんだ……!」


 その必死の弁明に、場が一瞬静まる。

 しかし一人の村人が鋭く言い放った。

「なら言えよ。本物の魔女が誰なのか。それで死んだら、信じてやる」


 ジーンは黙り込み、震える拳を握った。

 そして――ゆっくりと顔を上げる。

「……魔女の正体は、ナリノとダリルだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ