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コンコン――と扉を叩く音が廊下に響いた。
「ガーヴィン、いる?」
ガチャリと音を立てて扉が開く。
「……おや、ヘリーナさんじゃないですか。どうされました?」
柔らかな笑みを浮かべてはいるが、その目はどこか探るようだった。
「こっ……」
ヘリーナは一瞬言葉を詰まらせる。
「こっ?」
「……怖い夢を見ちゃって、眠れなくなったの。だから……あんたの部屋に、少し居させてくれない?」
「ほう……そういうことですか」
ガーヴィンは顎に手を当て、わずかに笑みを深めた。
「いいですよ、中にどうぞ。ただ――」
彼はわざとらしく廊下を見やり、声を落とす。
「いくらこのゲームで暴力行為が禁じられているとはいえ、夜は……何が起こるか分かりませんからね」
「……私、これから死ぬのかな」
ぽつりと漏れたその言葉に、ガーヴィンの視線が一瞬鋭くなった。
「大丈夫ですよ」
口調は穏やかだが、なぜか安心感よりも別の感情を呼び起こす声色だった。
「人は……生きる理由さえ失わなければ、案外しぶとく生きられるものです」
「……そうなの?」
「ええ、そうですよ」
短い返事と共に、彼の笑みはさらに深まった。
「えークローゼットの中に入っていい?」
「いいですけど、ベッドの方が暖かいですよ」
「いいの」
ヘリーナはためらいなくそう言った。
「ここに来る前暗くて狭いところにずっといたから、落ち着く。」
ガーヴィンは軽く笑顔をした。
「そうですか。もう遅いので寝ましょう。明日のゲームも乗り切らなければいけませんから」
ガーヴィンはそう言い、手を伸ばしてろうそくの火を吹き消した。
部屋は一瞬で闇に包まれ、静寂が二人を覆った。




