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「このゲームの役職は五つ──市民、魔女、元魔女、聖女、神父」
ジーンは淡々と指を折りながら、冷静に説明を始めた。
「殺人や暴行は禁止だ。一日に一度だけ話し合いの時間があって、その時に吊るす人間を決める」
「もし魔女が吊られなかったら、その夜、魔女以外の首が締まる。ターンを重ねるごとに苦しさは増していく……それが一日の流れだ」
ジーンの声は落ち着いているが、その瞳は静かに場を射抜いていた。
「勝利条件は──市民は魔女を全員吊るすこと。魔女は市民の数と同数になれば勝ち。元魔女は生き延びれば勝利だ」
「聖女は吊るしを止める権利を持つ。神父は話し合いなしで吊るすことができる。元魔女は魔女の正体を知っているが……名前や特徴を口にした瞬間、死ぬ」
ジーンは自分のカードを軽く叩いた。
「配られたカードが役職そのもの。なくせば即死だ」
しばしの沈黙のあと、静かに問いかける。
「間違ってないよな?」
「確かに、そのルールだったな」
ナリノが即座に答え、周囲も異を唱える者はなかった。
(……やっぱり、こいつらは嘘のルールを信じてやがる)
(間抜けな連中だ)
ジーンとダリルは互いにわずかに笑みを抑えながら、そう思っていた。
「じゃあ、ルールは確認できた。話し合いを始めよう」
ジーンが視線を場の全員に向けると、短い沈黙が広がった。
その空気を破ったのはナリノだった。
「とりあえずさ、誰か怪しいと思う奴がいたら、理由も一緒に言ってくれ」
口の端をわずかに吊り上げる。
「俺はキーヴォンが怪しいと思ってる」
その名前に、皆の視線が獣人の姿をしたキーヴォンに集まった。
彼は弱そうなケモ耳を揺らし、戸惑いを隠せない。
「え、なんで僕なの? 変なところあった?」
ジーンは冷静に答えた。
「確かにお前は一見普通に見える。でも、職業を言う時にお前だけ目線を逸らし、呼吸が浅くなったり、他の奴らよりずっと落ち着いてなかった」
「つまり、お前は自分が死ぬと思って怯えていた」
「俺もそう思った。でも紹介が終わった直後に、少しだけお前がニヤついたのを見たんだ」
ジーンの声は冷たく、観察者の目を持つ者だけが気づくその違和感を指摘した。
「いくら死ぬと思っていても、そんな安堵の笑みは普通出ない。だからお前が魔女じゃないかと疑っている」
「俺は魔女じゃない。信じてくれ」
「別に断定はしていない。ただ、そういう行動を取る奴が怪しいって話だ」
ナリノが静かに頷く。
「そうだな、その程度の可能性の話だ」
キーヴォンは視線を泳がせ、言葉を探していたが、すぐに黙り込んだ。




