12
「それでは、“元魔女”のカードを持つ者は、最初に皆が集まっていた広間へ」
声が響き渡り、ジーンは歩を進める。転送の浮遊感がまだ身体に残る中、指定された場所へと戻ると、そこには既に二人の人物がいた。
一人はナール。そしてもう一人は、いかにも厄介そうな面構えの男だった。
「やあ、君が“元魔女”とはね」
ナールが人懐こい笑みを浮かべながら軽く手を振った。
「いやぁ、僕たちのせいで死人が出るかもしれないけど、仕方ないよね。ゲームだし」
その軽口とは裏腹に、男の目はジーンを値踏みするように細められている。
「でさ、君は僕たちのこと――言えないじゃん?」
ナールが指を立てる。
「お互い、協力しようよ。“うまくやる”ってことでさ?」
ジーンはしばし黙し、ゆっくりと相手の目を見据えた。
「……いいのか? 自首しなくて。お前の隣にいた女、死ぬかもしれないぜ?」
ナールの表情がわずかに揺れる。しかし、すぐに無理やり笑顔を貼り直した。
「……幼馴染だよ。そりゃ心苦しいさ。でもね、助けたら――僕が死ぬ」
笑顔の奥に、薄氷のような自己保存の意志が透けて見える。
「みんな、自分が一番大事なんだ。仕方ないよね?」
ジーンは目を細めながら、後ろの強面の男に視線を移す。
「で……お前は、この中に知ってる奴がいるか?」
「は?」
男の眉がひくついた。
「あァ? 誰に口きいてんだコラ」
「もう一回聞くぞ」
ジーンは声を変えずに繰り返す。
「この中に、知ってる人間がいるか?」
男は舌打ちし、目を逸らすように答えた。
「……いねぇよ。なんでそんなこと聞くんだよ?」
ジーンの口元が、わずかに持ち上がった。
「いや、“普通”はな。敵が友人だったり恋人だったりすると、途中で感情がブレて――リタイアされると困るからね」
「じゃあ君はどうなんだ。綺麗なお嬢さん連れてきているけど。」




