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異世界遊戯  作者: 王子大好物
魔女裁判
11/45

10

「……みんな、チームが決まったようだね」

 赤いタキシードの男――ヌルノ・ビーンが、舞台に立つ俳優のようににこやかに声を上げた。


「それでは、ゲームを――」


 グサッ


 音が響いた。一人が、音もなく崩れ落ちた。まるで糸が切れた人形のように。


「え、えー……マジかよ……」


 慌てた声がどこかで上がる。だが返事の代わりに、グサッ、グサグサッ――


 血が跳ね、身体が転がる。二人、三人、次々と。


「……はぁ、うまくいったね、兄ちゃん」


「ん。能力者でも、数には勝てないってだけさ」


 刃を手にした若者たちは、返り血を浴びながらも涼しい顔をしていた。戦いではなく、掃除でもしてきたかのように。


 ヌルノは少しだけ眉をひそめる。しかしすぐに、その笑みを、まるで仮面のように貼りつけた。


「いやぁ――乱暴だね、君たち」


 観客席も沈黙していた。数秒間の、異様な間。


「……なんで、生きてんだ?」


 誰かの震える呟きが空気を切り裂いた。


 ヌルノが、嗤う。


「いやぁ、ほんとに……どうしてこうなるのかなぁ?」


 その声はもう、笑いではなかった。怒りでも悲しみでもない。ただ、愉快さが狂って歪んだ音だった。


「なんで、人が“楽しくなる”ときに、“邪魔”をするのかな……かな? かな? かな? かな? かな?」


 言葉が跳ねる。音楽のように。罠のように。


 そして――


「――まぁ、邪魔してきたんだから。殺すか」


 瞬間、ヌルノの姿がかき消えた。


 それは、目で追える速さではなかった。ただ、風のような一閃。


 気がつけば、ヌルノはもう十数歩先に立っていた。


 なにも起きていないように見えたその背後で――


 ドサリ


 頭が落ちる音。首の断面から、血が噴水のように吹き上がった。


 そして、数秒遅れて、観客の歓喜が空気を割った。


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