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「……みんな、チームが決まったようだね」
赤いタキシードの男――ヌルノ・ビーンが、舞台に立つ俳優のようににこやかに声を上げた。
「それでは、ゲームを――」
グサッ
音が響いた。一人が、音もなく崩れ落ちた。まるで糸が切れた人形のように。
「え、えー……マジかよ……」
慌てた声がどこかで上がる。だが返事の代わりに、グサッ、グサグサッ――
血が跳ね、身体が転がる。二人、三人、次々と。
「……はぁ、うまくいったね、兄ちゃん」
「ん。能力者でも、数には勝てないってだけさ」
刃を手にした若者たちは、返り血を浴びながらも涼しい顔をしていた。戦いではなく、掃除でもしてきたかのように。
ヌルノは少しだけ眉をひそめる。しかしすぐに、その笑みを、まるで仮面のように貼りつけた。
「いやぁ――乱暴だね、君たち」
観客席も沈黙していた。数秒間の、異様な間。
「……なんで、生きてんだ?」
誰かの震える呟きが空気を切り裂いた。
ヌルノが、嗤う。
「いやぁ、ほんとに……どうしてこうなるのかなぁ?」
その声はもう、笑いではなかった。怒りでも悲しみでもない。ただ、愉快さが狂って歪んだ音だった。
「なんで、人が“楽しくなる”ときに、“邪魔”をするのかな……かな? かな? かな? かな? かな?」
言葉が跳ねる。音楽のように。罠のように。
そして――
「――まぁ、邪魔してきたんだから。殺すか」
瞬間、ヌルノの姿がかき消えた。
それは、目で追える速さではなかった。ただ、風のような一閃。
気がつけば、ヌルノはもう十数歩先に立っていた。
なにも起きていないように見えたその背後で――
ドサリ
頭が落ちる音。首の断面から、血が噴水のように吹き上がった。
そして、数秒遅れて、観客の歓喜が空気を割った。




