堕天使との邂逅
~最上階~
二人の内の一人は地に伏して、鮮血に身を沈めている、誰の目から見ても死んでいることがわかる、もう一人は血で濡れた大型のアサシンナイフを何度も刺している狂気の行動をしている。
そいつは自分の存在に気付いたのか、ナイフを引き抜きゆっくりとこちらに振り向く、その眼は淀みながらもどこか理性を感じさせるような不気味さがあった。
自分はその光景に目を奪われて、言葉が出なかった、そして、先に痺れを切らしたのは自分自身だった。
「オイ、なんなんだよ…これは、お前は…そして、「それ」は何なんだよ…」
奴はその言葉を聞いて、一度だけ死体に目を向けて、再び視線を向ける。
「あなた方が、預言者と呼んでいたものでもあり、私の弟でもあります」
「…兄弟を…殺したのか…?」
「…そうですね」
あぁ、最高に気分が悪い、こいつがやったのは、いや、こいつは自分がやったことに何も感じていない。罪悪感も衝動的な動機も、計画的な感情も…まるで機械のような
「全ては余生を無にするため…」
「…何だと?」
「あなたが今まであってきた私達「ゴスペル」の人達はそれぞれ自身の神を創造してそれを盲目的に信じました。それは私としても興味的で愚かでもありました」
「何を言って―」
「世界の行く末に希望などない」
「っ?」
「世の中が、優しく温かいのならば、その前に滅びればいい…しかし、世界は等しくなんてない、冷たい世界、温かい世界、そんなのは存在せず、全部が一部それぞれ違う思いによって世界の各地に散りばめられた。そんな世の中を全てやり直すにはどうすればいいと思う?」
「…世界の消滅か?」
「惜しいね…やり直すのさ、この星が生まれた時から、大地が作られ、空が青空である時に、自然が生まれる前その為に世界の粛清は行われる」
「お前は…お前はそこまで分かっていながら世界を…?なんて…なんてことを……」
「残念だけど、既にこの世界は終わってるのさ、俺たちが福音を鳴らす前から…さぁ、見なよ、天使の再来だ、祝福せよ」
そう言うと奴の身体は預言者と共にふわりと宙を浮かぶと大きな渦巻きが二人を取り囲む渦は血風の嵐となり、人影は塵となり、渦に巻き込まれた。
そして、渦は突如として弾けて消えた、あの二人の姿はどこにもなく、その代わりにそこには、神々しく光り、怪しい彩りを放つ、異様な存在が立っていた。
それはスッと瞼を開くと自分の前方つまり、それの方向から身体を吹き飛ばす程の風が吹いて自分の身体が崖際の壁まで転がり叩きつけられる。
ダメージこそないものの今までとは比べ物にならない感覚、相対するだけで冷や汗が噴き出る程の威圧感こいつは…危険だ。
「おや、誰かと思ったら、まさか異世界からの刺客とはな…これは計算違いだ、あいつなら痛手を食らったことに怒り自らが私の前に現れると思ったが、僕の張った罠の危険性を警戒し過ぎたか」
威圧に押されながらも、銃を抜き銃口を向けながら問う。
「奴だと?」
「クククッ、そんな事も分からんとは、ただの駒を寄こすとは」
「警告だ、今すぐ粛清などやめ、再び封印されろ、もうお前に仲間はいない、俺も無駄な争いはしたくない」
「…えっと、よくわからないが、敵って事でいいのか?おまえ…」
「まぁ、お前を召喚した奴らと敵対していたから、そうなるな」
「へぇ…なら、排除するしかないな」
「そう…じゃあ、戦うしかないのか、じゃあ、行くぞ」
「…来な」
次回5月10日予定




