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転生先は三代目魔王さまです  作者: 神坂将人
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歪曲の定め

 ~第四階層~


 「…それでぇ?これから冥土につれていってくれるフィオナちゃんはぁ、どうやって磔から逃れるのかな?」


 「やっぱり、猫被りなのね、どうりで年寄りの臭いがすると思った」


 フィオナは自身の身体を屈曲させて、突き刺さった部分すら、曲げて身体をねじ切るように壁の僅かな隙間からすり抜けるゴキブリのように抜けると同時に、モニカの顔にはフィオナの拳がめり込んでいた。


 顔面にもろにくらったモニカは数メートル吹き飛び、数回バウンドした後、即座に体制を立て直し、正面から飛び蹴りをする為跳躍するが、同時にフィオナは跳躍して、先ほどのように身体を曲げて、躱すと同時に、すぐさま、カウンターを入れる。


 モニカは九魔柱最速のスピードタイプ、その速度は肉眼ではとらえることすら出来ない、しかし、その分速度を殺す力が必要であり、急ブレーキをかける際、手足に装着した盾が空気を噴出して、速度を無くすのだが、フィオナはそのスピードを意に介さないように、身体を屈曲させて、反撃する。


 その屈曲は、常人ではありえず、ゴムのように伸び、スライムのように柔らかく、およそ骨や筋肉、身体の硬い部分が存在しないと思うほどの伸縮自在の身体。


 「人を傷つける、倒す、殺す、その体現は何よりも自由でなければならない、だけど、それを体現する立場として、明確な秩序が必要、その為に得たのがこの身体、刺されようが、燃やされようが、沈められようが、屈曲、身体を曲げて再構成する。モニカちゃんのような速さ何て必要ないどんな攻撃も曲げて、逸らし、常に柔らかさを探求し続ける、それが、私の能力名付けて「運命歪曲」なんてねっ」


 (運命すら捻じ曲げることができると?思いあがるなよ、サディスト気取りの痴女が、そんなてめぇがこんなふざけた組織に組するメリットもねぇ、ただバトるのが好きって面でもねえ、ただ勝ち上がるためには種がいる。何としても暴いてやるよ)


 しかし、フィオナが持つ歪曲の力はモニカの力を圧倒する。自身だけでなく建物ごと屈曲させて動きを制限、床を柔らかくして、足をぬかるんだ、泥沼にはまったように動けなくして、砲台の如く自身を弾として、穿つ、急所に当たりながらも、モニカはダメージによるふらつきも見せず、ただ、相対する敵を倒す事を見ている。


 「…あなた、本当に生き物?」


 フィオナが冷めた声で呟く。


 (既に骨はいくつか折っている。運命歪曲で外骨格も曲げて、地べたを這う事しかできないはずなのに、二本足で立っていれるなんて…魔人同士自分の身体は自分がよくわかる。でも、どう考えても、再生で補える損傷を上回っているのに、まるで、これは…)


 「確かに、自分でもなんで、勝機が全く見えないのに、こんな勝てる気がするのか、な…っははは、はは、は」


 (目がかすむ、視界が赤黒く染まっていく、でも、懐かしい景色だ、何度も死地に飛び込んで、生き延びて、今まで生きた長い永い孤独の世界が、今迄の生の大半を占めている。何度も何度も死にかけた、死にたかった、でも、今は、ただただ生きたい、誰のためでもない、魔王様のためでもない。自分が存在する、ただその証明だけのために生きたい)


 「でも、もう立っているのも限界でしょう?もう休みなさい、この世界では苦しむ必要はもうないんだから」


 フィオナが両腕を掲げてモニカに焦点を合わせる。


 「お休み」


 両腕を振り下ろした後、そこに残ったのは大量の血痕のみとなった。


 「…最後はあっけなかったわね、せめて、逃げる手も視野に入れていたけれど、それでもあの子が生き延びる運命はなかったもの、さて、次はどうするかな、下の方に援軍に行くか、上に行って救世主サマを拝みに行くか…」


 「…いや、お前が行くのは地獄、たった一つの道だ」


 次の瞬間フィオナの足が半透明の結晶に覆われる。


 「なっ…!?」


 結晶は徐々に体積を増して、フィオナの身体を蝕んでいく。フィオナの後ろにはモニカが立っていた。


 「な、なんで、生きて…」


 「運命歪曲、確かに、恐ろしい物だった、だが、それは破壊には使えない物だったってわけだ。てめえがそれに気づいていたなら、ナイフでも持って俺の心臓でも突き刺していりゃあ勝てたのによぉ」


 モニカは運命歪曲により翻弄されていた時も一度だって攻撃態勢を崩さなかった。フィオナは屈曲と柔らかさの事にしか言わなかった、つまり、骨を折るのではなく、曲げるそれもゴムのように柔らかくして、下半身は上半身を支えるような構造をしている。


 しかし、骨の構造はどれも重要な役割を果たしているため一つでもなくなると正常なプログラミングがバグを吐き出すように身体のいたるところに支障をきたす。


 モニカはそれに気が付き、元より曲がっている骨が歪曲を受けたら、他の骨の代用として機能するのではと思った。


 「そして、お前が両腕を掲げた時、俺はお前が曲げたこの部屋に天然樹脂を敷いた、今はお前を包んでいるのはそれだ。後、数十秒でお前は琥珀の中に閉じ込められる、もちろん能力もすでに出来ない状態だ、散々俺のことを曲げてきたんだ、最後は自分が硬質化した姿を体現して逝けや、まぁ、もう聞こえてないか。」

 …バイバイ、楽しかった。

次回4月19日月曜日予定

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