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転生先は三代目魔王さまです  作者: 神坂将人
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災禍の足音

 「着きましたよ。皆さん、ここが遺跡です。私たちにとっては教会のようなものですが」


 NATSUKIがそう言って見上げたのは断崖絶壁の大山だった。洞窟のような小さな洞穴は大の大人が一人はいるのがやっとの大きさで進む事が難しいことをすぐに理解する。


 「私はここで帰らせていただきます。私がお願いされたのは、ここまで案内する事なので」


 NATSUKIはそう言ってきた道を静かに歩いて行く。


 「よし、行こう。皆、足元に気を付けて」


 全員がこくりと頷き、狭い洞窟を一歩ずつ歩くたびに足音が響き小さなろうそくの灯りがぼうっと壁を照らして行く。ろうそくはこれからの道を教えるように行き止まりのところはよく見たら階段があったり、一旦外に出てまた洞窟に入る渡り廊下のような道になったりしていた。


 時折見える崖上からの風景はそこから落ちたりしたら確実に死を意味するものだとすぐわかる。しかしそれは魔法がなければの話だろう。


 全員が無言で険しい道を徐々に息を切らしながら、休憩できる場所もなくただ進み続けることしかできない道を進んでいく。


 進んでいくうちに日が傾き、空をオレンジ色に染め上げていくことに焦りを覚えながら歩を進める。


 そして、その道が終わると同時に遺跡の最奥へ来た。


 そこには複数のローブを着た団体と倒れている子供達、そして何より、床にべっとりと赤黒い文字で魔法陣が描かれている。その魔法陣は比較的最近に見たことがあるものだった。


 「これは…!サディー周辺の魔法陣!?」


 思わず声を上げてしまったことによって、何人かがこちらに気付いた。しかし一番奥にいる人達は自分達は気にしないかのようにブツブツと呪文のようなものを呟いている。


 自分たちに気付いたローブ姿の奴らはそれぞれ、ローブの中に隠していた武器を取り出して、前に出る。


 それを見てこちらも戦闘態勢をとる。


 戦いが始まったのはほぼ同時だった。その戦いは数の有利不利もありながらもこちらの優勢であった。


 あるものは遺跡から突き落とされ、銃で撃たれて蜂の巣になったり、少し傷を負いながらも数を減らす。


 その時にある事に気付いた。普通ならこのような程度人間ならこんなに強いはずはない。魔人に対抗できるのはごく少数それに、人生の半分以上を戦いに費やしたような者たちだ。


 一瞬見える奴らの顔は、まだ30代前後の顔だった。


 「まさか…」


 自分の足元に倒れたローブの人物を蹴り転がして身体をみると、特徴的なものがその身体にはついていた。


 体のところどころに生えた鱗、鱗の間からはドロドロした透明の粘液が絶えず溢れており、他にも翼が頭、背中、脚についていたものや、手に水かきがあるものなど様々な動物と人間を足したような者ばかりだった。


 「これはまさか、ヴォルヘン地下で見つけた赤子と同じ様な奴なのか!?」


 ローブの奴らは徐々に減っていき、残るは呪文を唱えている8人のやつらになっていた。


 「さて…残ったのはお前らだ。覚悟しろ」


 そう言って銃を構える。


 すると血の魔法陣が光輝き、辺りを照らす。


 「ぐっ!なんだこの光は!?ほかの魔法陣は潰したはず…まさか、一つでも残っていれば発動可能なのか!?」


 ズズンッと重い音が響き、地面を、空を揺らす。


 不安定な足場で更に揺れが身体の自由を奪い立つこともままならず、その場で這いつくばることになってしまう。


 しかしローブ姿の奴らはその中を何事もないように歩きながら魔法陣の中に入り、その姿を無くす。


 「ま、待てっ!」


 必死に声を上げるが虚しく奴らは嘲るように笑うだけだった。


 ズズンズズンと音はまだ続くその音が続いている間、自分達、いや、この地上に立っていられる者はほとんどいないだろう。


 その音が消えたのはズズズズズズズズズズズとまるで巨人が這いあがったような音が最後だった。


 音が聞こえなくなったと同時に遺跡から外を見ると水平線の海の向こうに異彩を放っているあるものが見えた。


 それは塔だった。遠くから見てもその塔は大きく曇を突き刺したような見た目をしている。その塔は身が震えるほどのまがまがしさを放ち、落ちかけている日はそのまがまがしさをより引き出しているようだった。


 「な、なんだ…あれ」


 目の前の光景に呆然としていると、通信機からダインの声が聞こえる。


 『魔王様!!大変です!!』


 「ああ、知っている塔が…」


 『違います!!いえ、そっちも大変なのですが…クラーケンの群れの中心に人が隠れていたんです!!』


 「なに!?」


 『それだけじゃないです。今、街のあちこちから地割れが起きて、割れ目から魔物が出てきて、ぐっ!今応戦中です』


 「落ち着け、そっちに送った親衛隊は!?」


 『連携して応戦しておりますが、数が圧倒的に多くて、このままでは殲滅はできないかと…』


 すると通信機越しにダインの部下の声が聞こえた。


 『ダイン様!!』


 『今度は何だ!!』


 『街中に火が回って…』


 その言葉を最後にブツッという音と共に通信が切れた。


 「ダイン!!ダインッ…!!」


 「魔王様、すぐにサディーに向かいましょう」


 「…あぁ」

次回3月8日月曜日予定

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