表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は三代目魔王さまです  作者: 神坂将人
57/101

霧の襲撃者

 急いで城内を駆ける。


 「どこ!?どこにいるの、ルーツは!」


 「城に併設している緊急医療室の中です」


 走りながら、ダインの後を追い、緊急医療室の中に入る。


 その中には集中して蘇生に力を注いでいるマーリンが体中にいくつもの傷が目立つルーツを手術台にのせていた。


 「魔王様、突然ですいませんが、魔力をルーツに注いでください!制御しなくていいです。それは我々に任せて、早くっ!!」


 マーリンは一度もこちらに顔を向けずに、指示を飛ばす。その眼は真剣で何かを決意した表情だった。


 突然の事態に、頭が追い付くよりも早く、体が動いていた。指示通りに、その場にいる。魔人達全員を魔力で覆うように、魔力を全開にする。


 シュインシュインと、まるで、刃物を研いでいるような音と絶え間なく手術台からポタポタと落ちていく血液が、段々と少なくなっていく、しかし、一つの音が消えて違う音が耳を突き立てる。


 (一体、なぜこんなことに、ほんの少しの間に、なにがあったの?)


 焦りは、増す一方で、魔力は乱れずただ、むせ返るような匂いが今、目の前で起きている状況が、現実だという真実を突き付けてくる。


 それから、ほぼ、20時間、一瞬の余裕もなく魔力を注ぎ続け、マーリンが手を止める。


 「…終わった、後は絶対安静にしていれば、大丈夫でしょう、点滴や輸血はしばらく必要でしょうけどね」


 その言葉を聞いても、その場全員の口が開くことはなかった。


 翌日、ルーツ除き、魔人軍幹部である、魔神九柱を招集した。


 「さて、ここに集まってもらったのは全員知っているだろう。ルーツが何者かに襲撃された」


 「ありえない!ルーツは魔神軍屈指の実力者であり武人、そんな人が、襲撃されるなんて!!」


 リネアが声を荒げて、大きく否定する。


 「リネアがそういうのも無理はない、しかし、その姿を見たのは他にもいる、もちろん、魔王様もその一人だ」


 ギリアが、そう言い目を合わせてくる。それを見て、こくりと頷き、全員に向き直る。


 「こんなことになったことを受け入れるのは難しいことだってわかる。しかし、起こってしまった以上、無視をするわけにはいかない、この件について、一つでも多くの情報が欲しいの」


「情報、と言われましても襲撃者は分からない、ここには一般人や、我らの兵もいるのに誰の目にもつかないようにするとは…」


 ダインは難しい顔をしてあごに手を当ててる。


 「では、このマーリンがルーツを発見した時のことを言いましょう」


 マーリンの話では、昨日、朝から姿を見せないルーツを探しにいろんな人に尋ねて、居場所を聞いてみたが、話では三日前、つまり、今日から四日も姿を見せていないとのことだった。


 最後に姿を見たのは、キッカちゃんがルーツに朝食を持って行った時、その後に姿をぱったりと見なくなったらしい。

 

 ルーツが見つかったのは食堂から階段を降り、城のやや西の位置にある空き部屋、主に仮眠などを取る客間。


 ルーツは椅子に突っ伏して、血を流していたらしい。


 「他にその部屋を使う人に心当たりは?」


 「使わない客室が多いので、そこは全部が仮眠室のようなもの、一部屋に4人、子供が使うなら倍は入りますね、でも、当時は使う人もいなくて、発見した際には、心肺停止状態、蘇生魔法が間に合わないこともあるので、正直焦りましたよ」


 そういえば、蘇生魔法の説明の時、ちらっと言っていたっけ、脳死する寸前、全ての脳が活動停止してしまったら、手遅れ、体を再生できたとしても、目を覚ますことはないと。


 「つまり、蘇生魔法は回復魔法の一種であり、万能ではないと」


 「お恥ずかしい話ですが、そう言う事です。

 脳の活動、血液の流れ、いくら魔人が強い種族でも、再生の暇すら与えないのはとても無意味、予め安全対策でもしていないとホビルでも死にますからね」


 「ぐっ…戦争では右か左かはたまた斜めからいつ攻撃が来てもおかしくはないからな…普段力をセーブしているから、油断すると腹に穴があくぜ」


 ぐうの音もでないのか、あからさまに話をそらそうとしている。


 その言葉を聞いてギリアがマーリンに聞く。


 「腹に穴…そう言えば、ルーツはどんな怪我を負ったんですか?彼は物理防御では魔神軍最強ではないもののトップクラスの数値だったはず並みの攻撃なら弾く事もできるのでは?」


 苦い顔をしてマーリンが手を組み、何かを言いにくそうにしているがついに、その口を動かした。


 「えぇ…そこだ、そこがさっぱり分からないんだ」


 「どういうことなの?マーリン」


 「切り傷が体の至る所にあったのに、全部命に関わる傷じゃなかったんだ。毒の可能性も考えましたが、そのような物は検出されず、何しろ一番目立った傷は、十二指腸の半分が「内側」から食い破られたような抉れ傷、思い出しただけでも鳥肌が立つ」


 「うぅ…そうぞうしたくないよぉ…うぷっ」


 「バケツならそこにありますよ、テーブルの上にぶちまけないでください」


 


 「…?ちょっと待って、食い破られた?内側?マーリン、なんでそんな具体的なことが分かるの?」


 リネアが、何かを探るような言い方でマーリンに聞く。


 「生々しい言い方をするなら残った臓器が外に出ている時臓器の破損からの予想です。普通、剣とか突き刺したら臓器を貫通して逆側から抜けるでしょう?ルーツは臓器が破裂したように肉片が外側に付着していたんです。発見した時にはそれどころじゃあなかったので気にも留めていません出したし」


 「ナイアガラフォォォォォォォォルズ」


 「具体的な吐き方しますね。モニカさん」

次回8月3日月曜日予定

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ