二人寄れば疑問の山
「奴らが、東の大陸で何か拠点のようなものを作っている可能性が高い、または、誰かを操って馬車馬のように働かせて作らせているかだろう、元々人口が少ない大陸だ、こっちとは違って過酷な土地であり、人が住むには少々難しい所ではあったから、人目に付いたり、違和感を感じさせることはないと判断したのだろう」
「随分想像力があるというよりも、頭がいいと言った方がいい?」
「後者でいいぞ、答えがあっていればな」
実際、完全に答えを言っているのだろう、今までの情報と言う名のピースを瞬時に理解して、パズルを完成させる。端から合わせるのではなく、完成図を見て一寸の狂いもなく紡いでいるようだ。
「だが、もしも堕天使がお前たちと相対したら、限りなく勝算は薄いだろう、何か策を練る、もしくは召喚事態を不完全なものにするのが、妥当というところだ」
「例えば、寝込みを襲うとか?」
「例えと言うならばそういうものだが、逆の方がいい、起きたばかりの方がいい。
詳しい事は言えないというよりは分からないが、堕天使がこの世界で何をして今もどこにいるかは分からん、そもそも、仲間殺しをして真相にたどり着いた老人の言葉など、肝心なところは外れているものだ」
「…ねぇ、少し思ったんだけどさ、因果ってレールのような物であり、鎖のような物であるって言っていたよね」
「…あぁ、確かに同じようなことを言ったな」
「もし、それが、無くなったら何もできなくならない?」
「…?」
「今もこうやっているのがレールに則った動きだとしたら、それが無くなったら、何かをしようという意思もそれを抑制する意思も、上手く言えないけれど、感情や心が無くなっちゃうようで、それでみんな何も思うような行動を取れなくなるんじゃないかって…それで」
「レン」
「………」
「与えられるものは与えているし、知りたいことは教える、だが、それだけではダメなんだ。自分が人形のような動きしか出来ないのではなく人形のような動きが出来ると思いな、僕が僕ではなく、自分だと思えるような、上手く言えない、なんていうのは実際ないのかもしれない。
それぞれ、何かを思っている、言葉を覚えたばかりの赤子も、母親の言葉を喋ろうとしていたりするだろう?
自我が芽生えぬ赤子でも、その発言に意味もなく発するなんてことはあり得ない。もしかすると因果を作った奴は何かに失望して作ったのではないか?君は異世界からの訪問者だ、この世界を知らないからこそ、疑問を多く持っている、だからこそ、自分を見失うことはない。
今、どういう話しをしているか分からないだろう?当然だ、そう言う事を話しているからだ。
絶対なんて言う言葉はない絶対、この様な言葉は何か裏がある、常に裏を読まなくては真相にたどり着けんよ」
…頭がくらくらする。それは言葉の意味ではなく、疑問が頭の中で渦巻いているからだ。
話が変わること、意味があるという疑問、それを分かろうとする気持ちがある疑問、疑問という疑問がある疑問、疑問という言葉がゲシュタルト崩壊しそうになる。
「さて、話は変わるが、レン、君は一体何と出会った?」
「えっ」
「疑問をずっと増やすようなことを言って悪いが、これは初めてだ、君の身体からは、何と言うか嗅いだことない臭いがする。いや、嗅覚が感じるようではなく気配というのだろうか、大きく、強い気配だ。今まで色んな生き物を見てきたが、今の君からには何か未知の気配がする。
何をした?何を見た?何に出会った?…何をされた?」
恐らく龍との出会いだろう、特に何をされたというわけではないが、苦虫を嚙み潰したような顔をしている初代には、言っておいた方がいいだろう。
「…で……したわけ……その後……」
「なにぃ!!求婚されただぁ!!どこのどいつだぁ…ぶっ殺してやるぅ…」
「お、落ち着いてっちゃんと断るから…」
ここまで切れるおじいちゃんなんて初めて見た。目は爛々と赤くなって殺意がひしひしと伝わってくる。
40分後…
「すまない、取り乱した。しかし…」
「なに?」
「冷静に考えてみると、龍と結婚するのもいい気がする」
「はぁ!?さっきまでぶっ殺してやるって言った人が言う言葉!?」
「いや、君が龍と結婚して子供が生まれると、そいつは今までよりも最も強い魔王となるだろう、四代目魔王がそのような者になると平和そのものになるのではないか?そうしたら、夢の世界ではないか?」
相分からず思うのだが、理想が魔人なのに、すごい平和主義で違和感を思えるのだが、表現が生々しくて怖いのを覗けば平和主義者でアウェー感がすごい。
「しかし、だ。その龍とあったというならばそうだな…一つ頼みたいものがある。もし、それを持ってきてくれたら、東の大陸へ渡る際に便利なある物を渡そうじゃないか」
「それって船?」
「何故分かった…?」
「それしか思い浮かばないから、とはいえ、助かるよ、車とか、何台も乗れるような大きな船でよろしくねー」
「う、うん、善処する」
ひらひらと手を振り、ゲートで、ヴォルヘンに向かう。
「魔王様!!」
ヴォルヘンに着くなりいきなり、ダインに話しかけられた。息を切らし、今まで探していたという。
「落ち着いて、何があったの?」
「ルーツさんがっ!!」
次回7月27日月曜日予定




