ヴォルヘン攻略作戦
二人を自分の兄弟として、新しい名を与えたその日の昼、先日言ったように定期報告会を開いたのだが…
「さて、昨日言った通り定期報告会を始めるよ」
「ちょっとその前にいいですか?」
「なんでしょう」
「えっと、その腕にしがみついている人がいませんか?」
服にはだれが見たって引っ張られたようにピンと張っている。
「ははは、またまた、ご冗談を」
「分かって言ってますよね、朝からツッコもうとしてたんですがなんでみんなツッコまないんですかそれが優しさなんですか、いったい何があったんですか」
「実は…」
名を付けた翌日から、すっかり懐かれたようで朝からずっと離れないで離れたら離れたで、捨てられた子犬のような目を向けられたので、そのままにさせている。
「まるで、ストーカーの末期症状で殺して死体を部屋に飾りそうじゃないですか」
「「誰がストーカーだ」よ」
「いや、反応するところそこじゃないよ」
一応手の届く範囲に椅子を置いておいたんだけど、椅子を近づけて椅子も身体も密着してきたんだが、拒否してさっきみたいにあんな目をさせなくないし、何よりお姉ちゃんと呼んでくれるこの子達が愛おしい。
「…そういえば、リネアが珍しく何とも言わないな、眠っているわけじゃないだろう」
「何よ、義理とは言えこれ以上姉と呼ばれる人の幸せは私以外に奪われてほしくないの」
「うーん?もにかはねよくわかんないや」
「ともかく、今はこの前の城塞都市ヴォルヘンの部隊編成を一通りピックアップしてみたんだが、部隊の戦力はバランスいいとは思うが、足並みをそろえなきゃ、部隊として機能できるかどうかも怪しいからな、そこはそれぞれの指揮者であった君たちに、修正してほしいんだよ」
大きな地図に城塞都市ヴォルヘンの街中でどこで待機するかそれぞれアルファチームからエコーチームの配置とチームのリストを書いてある。
「エコーチームだけ、都市外なんですか?」
「軍隊を動かすにしても、それが見つかっては元も子もないからね遠くから指揮をした方がいいんだよ」
「ふむ、我の記憶が正しければ3500yd先にでかい森林があった覚えがあるんですが、どうなんだ?マーリン」
「うん、ルーツが言っている通りでかい森林があるね、そこで仮拠点のような簡素な食糧くらいは大体…消費が早くても二週間は持つんじゃないかな、持っていく量にもよるけど」
「ほかに森林があったらそこにも軍隊を配備しよう、一気に攻める時は四方の正門を爆破でも何でもして外側に意識を向けさせて中の守備を薄くする。そこから、都市内でも騒ぎを起こして城の守備も薄くする」
「それなら、今回は…」
全員期待に満ちた目を向けてくる。
「あぁ、全力で潰す、抵抗する奴は全て殺せ、無抵抗の奴からは富を奪え、舐めた真似して、ぬかるみに立たせたことを後悔させてやる。はらわたをぶちまけて中から内臓を破裂させてくれるぁ…」
「おぉ~初めて見るな魔王様の怒った顔」
「配置は問題ないですが、少しメンバーの修正をお願いしたいのですが、よろしいですか?」
「あぁ、ごめん、どこ?」
それぞれの、メンバーチェンジを行った後次の議題に移る。
「さて、次なんだけど、城塞都市ヴォルヘンは正門のチェックがしっかりしていると思うんだよね、何か、旅人でも身分を証明するものでも偽造したほうがいいと思ってね」
「それなら、このマーリンお留守番をする代わりにやっておきますよ」
そういうと、モニカを立たせて近くに立たせる、そうするとレンとモニカの頭に手を乗せる手からはキラキラと光る粒子が落ちて行って二人の身体を包み込む、最後に一際強い光を放った粒子が顔にかかると身体全体が光に包まれる。
「うっ…ん?」
光に目を閉じて口から洩れる声に違和感を感じた、それは、この身体になってすぐに感じた違和感、みんなレンの身体を見て関心したような顔をしている。
「シェイプトランスを使われたのは初めてですよね。こちら鏡です」
光で目がまだ眩みながらも自分の顔を見る。
そこには、背丈は変わらないものの紺色の薄い紫がかかったような珍しい髪色、浅い海の底のような濃い藍色の瞳、黒いドレスにやや抑えながらも美しさを引き立たせるようなフリル、その姿は前の姿のような可愛らしさではなく美しさをもった姿に変わっていた。
「こ、この姿は?」
隣を見るとモニカも同じような姿になっていた客観的に見るとまるで双子の様だ。
「ヴォルヘンの姉妹国にヴァンヘルという都市があるんですがそこの貴族の一つに私が人間に扮して創り上げた爵位の一家があるんです、その姿はその時の姿を幼くして多分子供が生まれたなら、というシュミレーションを想像してやってみました」
「な、なるほど、これなら、それなりの身分であるから、司令塔である私たちが自由に動けると」
「あぁ、忘れるところでした、こちらのブローチを身分証明の代わりになるかと、モニカにも、それと門番にはエリーゼ家と言っておけば多分分かりますよ、結構名を残したので」
エリーゼ家と言うのにレンのような人間に扮した時の名前も考えなくてはならないと思いいくつかの偽名を試行錯誤する
「そのエピソードを詳しく聞きたいところだけど、それはまた次の機会にしておくわ、じゃあ、他の人も?」
「身分証は私が作りますけど、それぞれ、どんな顔か身体、身分かは自分で考えてくださいね。後、貴族というのは魔王様含め、3組、いや、2組でお願いします、貴族が多いと逆に目立ちますからね」
「時間も置いておいた方がいいね、戦争を仕掛ける事には変わりないけど、一気に仕掛けるんじゃなくて日をかけてから仕掛けるつもりだから、相手の非を見つけ組織などを割り出し、同盟国を探る、拷問で聞きだしてもいいけど、日和っている時がポロッと秘密情報も滑りやすいからね、常にこちらから仕掛けるつもりで」
「じゃあ、都市に入る順番も決めないといけませんかね、長距離の武器を使うにも高いホテルや建物の屋上、最悪ちょっとした高台でもあれば狙いやすいんで」
確かにスナイパーは高台にいた方がいいだろう。先に司令塔である自分たちが入って2、3番目に高いホテルに泊まりスナイパーのチャーリーチームを一番高いホテルに泊まらせる。
アルファチームは何時でも城に責められるように最短距離で行ける宿泊施設に陣取って指示を待つ。
「ブラボーは平民区で情報収集もし、可能なら貧民区でも情報を拾いたい、嫌な噂は意外な所に流されやすいからね、闇市とかある通りなら情報屋みたいなのもいるんじゃない?」
デルタチームは万が一の保険だ、グループで纏まる以外は兵隊の怪しい動きを見つけたら報告や追跡を行わせるが都市外に出たらエコーチームに報告エコーチームはその兵隊の追跡、それぞれの正門の動き軍隊の指揮を任せる。
「とりあえずは、こんなところかな、怪しまれそうなら身をひそめるどころか堂々とした方がそれが当たり前に様に錯覚させることも出来るだろうし、個人的にはそっちをお勧めするかな」
「では、それぞれの戦闘員や選抜隊を編成しますね。戦闘員にも放送で流します」
「まぁ、出したくはないけど、死傷者が出る可能性がある。英気を養うだけじゃなく好きなもんも食わせてやりな」
そう、最後の晩餐にしたくはないが、悔いのないように存分に食わせてやりたいからな…
「そうですね、私の蘇生魔法で蘇らせる事は可能ですが、それにも時間がかかりますからね」
「そうだね、だから、あの時に食べたかったものを喰えて良かったと思うものを…」
『ちょっと待ったぁ!!』
その場の全員がマーリンに視線を集める
「えっなんか変なこと言いましたか?」
「マーリンさっき言ったこともう一回言ってみて」
「えーっと戦闘員にも放送で伝えますでしたっけ?」
「そのもうちょっと次」
「えーっと、私の蘇生魔法で蘇らせる」
「それそれそれ!えっ、なに?マーリンって蘇生魔法を使えるの!?」
「えーっとこの前の緊急会議言って…あっ、言ってませんわ、魔王様の自我が入る前になんとか」
そうだ、たしか、魔法の事に書かれている文章には魔法は攻撃や生活用以外に色んな魔法がある使い方によっては国を滅ぼしたり世界を統一する魔法が開発させるとも言われている。
そもそも、魔法創造を持っているなら、蘇生魔法も作れるんじゃないか?
それから、しばらくマーリンに質問を投げ続けることにより、その質問は半分で終わってしまった
次回12月9日月曜日




