ひっそりと囁くは過去の思い出
今までの経緯や記録を振り返ってみると明らかにいろんなことが起こり過ぎている。その、発端が俺が、魔王として自我が覚醒した後、しばらくは、特に何もしなくてもいいような、日もあった。
しかし、マーリンが帰ってきた後、緊急会議で、勇者の存在、それに、東の魔人領にヨアケガラスがいるという情報、そして、今回のあの眼を持った二人いくら何でも、仕組まれているようにしか思えない。
「急展開で急かそうとして誰が得をするかが、一番気になる」
「うん、確かに、いくら何でも焦らせてもミスがあるようにも思えない。もし、これが、行えてさらに利用することが出来るのは…」
「「同盟を組んだ人間達の国か城の上層部」」
マーリンが勇者の情報を掴んだ城塞都市その噂通りに今までの事が行われるとすると、最終的にこっちが後手に回ってしまう。
「なら、何らかのアクションでも起こせば相手は尻尾を掴ませてくれるんじゃねぇか」
「…ホビル、その、作戦はお勧めできません。まず、そのアクションを見せて逆にこちらが手薄になってしまい、その事を奴らに見せた場合、相手が、何も手を打つ手段がないなんて、何のためにこちらを急かしているのか分からないでしょう」
「…いや、急かしている理由…少し分かったかも」
そうだ、勇者の持っている武器を聞いた時点で気づくべきだった。
「その国で、完全な聖剣と魔剣を全部そろえる気じゃないか?」
こっちが勇者や美味しそうな餌をぶらっさげて食いついている間に、更なる大物を釣り上げる。それも小魚丸ごと網に引っかかるような、今回は聖剣が大物で俺らが、小魚とでも言う感じかな。
「しかし、完全に油断していた、相手がポンポンと次の手を出してくるとは知らずに、のんきにしていたから、何時も後手に回ってしまう。そして、相手の計画を邪魔、いや、白紙にできるのが一番良策だけど…」
迷っているとマーリンとリネアが一つの紙に何かを書いてそれを全員に見せる。
「とりあえず、相手の計画を台無しに出来るのは逆にこちらから動くのが最優先、そこで、考えではこの、中のどれか、編成を練れば全部受けられますが…」
紙に書いてあったのが妨害の策が多く書かれている。少数精鋭で敵の正体解明及び強襲で相手を防衛に回す。相手よりも早く聖剣、魔剣の発見、破壊。デマの情報を流し、相手側を有利だと思わせる。
「どれも、デメリットが多いね、強襲だと少なからず死傷者が確実に出る。二つ目、聖剣、魔剣の破壊、魔剣は幸い勇者の持っている幾つかは本物だったにせよ。聖剣、は破壊できるのかそもそも、怪しい。魔剣なら私たちが扱えるだろうし、聖剣、のみの破壊ならまだしも居場所は分からない。そして、三つ目そもそも、デマが広がる速さが遅くなる可能性がある。これはそのまんまだ。最初は噂から広がるんだろうが、相手が国や城の上層部は隠密が高い奴を潜り込ませる可能性がある。それで、デマだった。とか、そんなのだと、こっちの現状もバレる。」
最悪な事態が続き、死傷者が出るのは避けたい。それで、尚且つこの戦いの火種を無くせれば
【いいの?】
…?何だろう誰か発言したの?
【何かを得るのも何かを無くすのも戦いがあるのよ…?】
頭が…痛い…
【勝者は何かを得て敗者は何かを無くす、それが当たり前…それをしないのなんて[魔王]としてあり得ないわ…】
………
【あなたが人間だった頃のあなたは存在しない…折角あなたの精神を[私]と言う世界の鍵を担う人物に入れてもらえたのに】
「ち、違う…リ、リネ…ア…」
【他人に頼っているのは良いことね…でも、あなた、なんで、あなたには前世の事を思い出せるか知っている?それはね……】
【救いを求めた手を一度たりとも握られたことが無いからよ】
…!記憶が濁流のように頭の中に流れ込んでいく
『すごいね!もう、一人で出来るじゃない!』
『うーん、足引っ張りそうだから君一人でやってよ』
『ごめんなさい、あなたにまで気を回す余裕が無いの、あなたなら一人で解決できるから』
『あなたは優秀と聞いていますよ、今からやる作業は普通なら3~4人くらいでやる作業ですがあなたなら一人で…』
…怖いよ…一人は嫌だ、苦しい…一人は嫌だ、悲しい…一人は嫌だ、寂しい…一人は嫌だ助けて…一人は嫌だ、何時も孤独だ…一人は嫌だ、一人は、一人は…一人…
庭で、蟻が群れを成していた。皆が力を合わして虫の死骸を運んでいる…もし、この中で一匹だけ強い個体がいたら、皆働くのを押し付けるのかな…俺は…ずっと、優れていたから…だから、この、蟻たちは…一人でやっている俺の苦労を知らないで…あいつらは…あいつらは…知らないなら…おら、そんな死骸よりも大きくて重い石だぞ、これを…運んでみ———
違う!!
「おーい、泉!飲み物買ってきたぜ!コーラもあるから、ポテチと一緒に…な、何やっているんだよ!!」
心まで穢れたくない心までは穢れたくない心までは穢れたくない心までは穢れたくない心までは穢れたくない心までは穢れたくない心までは穢れたくない心までは穢れたくない心までは穢れたくない
「お、おい!泉が自分の腕を噛んで…血、血も出ている、き、救急車!!救急車を呼べ!肉がはみ出しそうだ!!とりあえず、手伝って泉を抑え込め!!!」
「なんで、自傷行為なんてしてるんだよっ!!」
「痛い!くそっ力強いなっ!!右腕を噛めないように猿轡でもあればいいんだが…!」
俺は…!!
「今日もカウンセリングも始めますね。まずは———」
心までは…!!
「今日はここまでです。帰りは気をつけてくださいね。外は強い嵐なんで、道路で車が滑りやすくなっているようなので…」
穢れたく…!!
【なにを言ってるの?今まで散々一人でやってきたんでしょう?でも、普通になる事が怖かったんだよね。今までできたことが出来なくなって、失望されるのが、だから、必要とされている今に、少しだけ満足している君が普通になりたい君を押さえつけたんだよね】
…違う!
【いいえ、違わない、自分ではわかっているんでしょう?】
…俺は…
「くそっ!!」
テーブルを強く叩く音が部屋中に響いた。みんな驚いた顔で俺の顔を見ている。
「いや、なんでもない…びっくりさせて、悪かったね。でも、相手を後手に回すなら、魔王城から、人間の国に潜入して、城からは出来ないものの、城下町から、崩すことは出来そうだね」
「ふむ、具体的には何をお考えで?」
「まずは、この魔王城で5部隊…そうだね、アルファチーム、ブラボーチーム、チャーリーチーム、デルタチーム、エコーチームとでも言おうかな。それぞれの部隊に選抜チームを選び、それぞれが役割分担をする。また、その後衛に軍隊を待機させる。そのうえで、城下町で騒ぎを起こして冷静な対応を取られる前に全部崩しちゃおうってこと」
「今までの慎重な作戦とは、とてもではありませんが、二代目のようなノープランではありませんし、我は構いません、して、その役割とは?」
プランとして考えるのはアルファチームからデルタチームまで、城塞都市に入る。これは変装魔法であるシェイプチェンジで、余程のことが無い限りバレる事はない。
アルファチームは主戦力でブラボーチームはその援護チャーリーチームは闇討ちなどの、遠距離攻撃、デルタチームは言わば保険だ。エコーチームは国の見回りの動向を外から見張り、警戒度を見て攻め時を狙い、軍隊の指揮を行う。
「とまぁ、一先ずはこんな感じ、でも、そうすると、明らかに、魔王城に残る必要がある人が必要なんだけど…」
悩んでいる時にマーリンが手を挙げた。
「それなら、私が残ります。シェイプチェンジだけ、掛けるほうが楽ですし、魔王城で、一番のバランサータイプである私なら、対応も柔軟に出来ますから」
そういうと、それぞれ、自分が希望するチームに希望を上げた。
「それなら、んーとね、えーとねもにかはねまおーちゃんといっしょにいくからあるふぁちーむかなー」
「では、私はチャーリーチームを希望します。長射程の武具も開発済みなので、その性能を十分に発揮させるのは、当然の義務かと」
「それなら、ブラボーチームはこのダインに任せてくれる?援護って初めてだから上手くやれるか心配だけど、それなら、こっちにリネアをつけてくれない」
その言葉を聞いたリネアが、絶望の顔を浮かべたが、その顔に気付くことが出来なく了承してしまい、捨てられた子犬のような目でコクリと弱く頷いた。
「言い忘れたけど今あげたチーム以外に囮兼司令塔のチームがある。それに、私が入るからモニカは私と一緒なら、そこに入るよ。アルファチームには、ロザリーとルーツが入ってくれると嬉しいんだけど」
「あれ?そうすると私は?」
「ナナリーはしばらく、私の所で司令塔の補佐をして、しばらくしたら、司令塔であるこっちとアルファチームが合流する手筈にするから、その時に二人一緒のチームになるようにしておいて置くように合流後のチームも考えてあるから」
「…もしかして…私…エコーチーム…?」
「察しがいいねレイ、ヨアケガラスの仲間強化は重宝するからね、軍隊を動かすのは君に任せたい」
「…了解」
「他のメンバーは分隊長や副隊長を入れるつもりだから後で、それぞれ、ピックアップして資料を届けておいてくれるかな。それじゃあ、私はあの二人の世話をしないといけないから、本当はもっと話したいことはあるんだけど、遠征の疲れもあるんだろうし、明日また会議を開くから今日の話以外にも色々言うと覚えられないだろうし、その資料も作っておくから、アデュー♪」
そういうとそそくさと部屋を出ていく。
「…見たか?」
「あの顔…まるで…」
「化け物…?いや、この世の悪その物みたいじゃねぇか…」
「……」
「マーリン?どこいく気?」
「今日の会議はもう終わったんだろう?それなら、もうここにいる必要もないからね、また明日時間は後で魔王様から聞いておく」
しばらく、マーリン以外の者達は会議室にいたが、しばらくした後、少しずつ会議室から出ていき、自室へと戻っていく、その顔に心に残った恐怖を抱きながら…
次回11月18日月曜日予定




