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FrameWorks  作者: シロイヌ
13/24

-Side Episode-04 金

「ヴォルフさ~ん、待ってくださいよ~」


俺が足早に通りを駆けていると相変わらずエレノアが付いてくる。

少々鬱陶しく思いつつも、街まで案内してくれた恩義があるため中々突き離しきれずにいた。

まぁ、しばらくは一緒に行動しててもいいか。色々聞きたいこともあるしな。


「……なぁ、エレノア。実はちょいと聞きたいことがあるんだが……」


「はい!なんですか!なんでも聞いてください!」


威勢良く答えるエレノア。


「この辺で貴重品や金品の売却や換金が出来る店を知らねえか?」


「換金……ですか?」





「ここが目的の店ですけど……」


エレノアに案内された店は武器防具などが売っている通りと豪華な宝石や衣服などを売っている通りの中程にある店だ。

外観は二階建てのコンビニを更に奥にもう一店舗並べた程度の大きさの店だ。


「よし、んじゃ入るぞ」


「ええ!?で、でもヴォルフさん、剣と鎧以外は何も持ってない様に見えるんですが……もしかしてそれを売っちゃうんですか!?流石に勿体ないですよ!」


さっきからよく喋る奴だ。

前はもう少し大人しかったような気がしたのに。


「安心しろよ。ブツならあるから心配すんな」


「ええ~、でも~……」


エレノアがホントに大丈夫なのか?と言いたげな不安そうな目でこちらを見つめてくる。

それを半ば無視しつつ俺達は店に入って行った。


店に入るとまず目に入ってきたのは受付のようなカウンターだ。

その周囲には文字は読めんが何かの文字が書かれた紙などが壁に貼られてある。


「ようこそいらっしゃいませ!どんなご入り用でしょうか?」


ごますりをしながらニコニコと胡散臭い中年の男が話しかけてくる。


「ん~、貴重品の売却をしたい」


「貴重品でございますか?それは具体的に如何様なもので?」


「そうだな……」


後ろでエレノアがやはり心配そうに見ている。

まぁ、心配すんな。このクレイモア(・・・・・)召喚(・・)できたんなら、これも問題無いはずだからよ。

俺を左手を顎に当て少し考え込むふりをしながら右手をマントに内側に持っていき、こっそりとメニューを操作する。

お目当ての品は……これだ!


「ふむ……それじゃこれを頼もうか。いい値をつけてくれよ」


俺がマントの内側から出した右腕に持っていたのは、黄金の鎖と装飾に怪しく輝くも目を引き付けて離さない特大のルビーが嵌め込まれたネックレスだ。


「お、おお!これは!」


中年の男の表情が途端に変わる。

それと同時にエレノアも固まっていた。


「み、見せて頂いてよろしいでしょうか!?」


中年の男が今にも飛びつきそうなところをなんとか自制して俺に確認を取ってくる。


「それは構わんが……じっくりと見たいというなら落ち着ける場所で見た方がいいのでは?」


暗にどこか落ち着ける場所、それと茶菓子でもよこせと言っている。


「おお!これは気が付きませんで申し訳ありませぬ!おいセリーヌ!お客様にお茶の用意をしておけ!」


「はい……」


セリーヌと呼ばれたメイド服の女性は長いエメラルドの様な色合いの髪が特徴的な女性だ。美人といえば美人だが、それ以上になんだか幸が薄そうなのが気になる。


「ささ、こちらへどうぞ!今お茶の用意をさせますので私が鑑定を行う間、ゆっくりとお待ちください!」


「ああ」


俺は中年の男に案内され奥の応接間へ入っていく。ちなみにエレノアはなんだか心ここに在らずといった雰囲気ながらもしっかりと付いてきた。





俺はヘルムのフェイスガード部分のみを取り外してクッキーと紅茶をいただいている。

いやー空腹だと何食っても美味いなー。

エレノアの奴は身を小さくしながらホントにここにいていいのか?といった風にちびちびとお茶を飲んでいる。ちなみに俺は既に三杯目だ。

それとセリーヌと呼ばれていた女性は俺が忙しく紅茶を飲むので給仕の為に俺の隣にティーポットを持ちながら控えてくれている。いや、なんかすんません。


と、そこでようやく中年の男がモノクルのような片眼鏡をはずし、鑑定結果を伝えてきた。


「ふむ、いい物を見させていただきました。失礼ながらこれはどちらで手に入れた物で?いやいや、その前にあなた様は一体……?」


物品の確認の前に俺の詳細を訪ねてくるこの男。

その前にいう事があるだろう。


「申し訳ないがその前にあなたの事から聞かせてはもらえないか?何分この店に入るのは初めてでな」


「ああ!これは誠に失礼を致しました!私は貴重品や宝石など、金品の買い取りを行っているブリスと申します。どうぞよろしくお願いします。そちらの娘は奴隷のセリーヌといいます。」


セリーヌがぺこりと頭を下げる。


ブリスに、奴隷のセリーヌねぇ……。まぁ、こういう世界じゃ普通ってことなんだろうな。


「なるほど、ブリスさん……ですか。私はヴォルフと申します。どうぞよろしく」


そういいながら俺は前回と同じように勿体ぶっていたヘルムを外す。

まぁ、こうなるだろうとは思っていたが、ブリスもセリーヌも俺の顔に見とれていた。


「お、おお、よろしくお願いしますヴォルフ様……」


俺にどんな印象を抱いたのかは知らないが、若干押されているブリス。

感情表現の乏しかったセリーヌも目を大きく見開いていた。


そしてなぜエレノア、貴様が我が事のようにドヤ顔をしている。

若干むかつき、後で尻叩きでもしてやろうか?などと考えつつも俺は話を続ける。


「実はそちらの品は昔友人に作ってもらった物の内の一つでしてね、まぁ惜しいとは思いますが、また作って貰えばいい話なので売ることにしたのです。お恥ずかしい話ですが今は身銭が無くてね。止むに止まれぬ事情、ということで売ることにしたのですよ」


まぁ、嘘は言ってないよな。うん。


「ほぉ、ご友人に作って貰ったのですか……その方はさる高名な彫金師などで?」


「いや、どちらかというと鍛冶師……になるのでしょうか?まぁ手先の器用な几帳面な奴でしてね。私が材料を用意し、奴が製作を担当する……といったところでしょうか?」


俺はそう言いながら更に懐を探るふり(・・)をし、また召喚コマンドを行う。

懐から取り出したのは、万人を引き付ける絶対の輝きを放つ金と銀の延べ棒だ。

なんでそんなもんが俺のデータファイルに入っているのか?それは、天空城の製作をしていた時に城の倉庫の中が空っぽじゃ寂しいよな……ということでお宝でいっぱいにしてみたいと考え、適当に”らくがき倉庫”から引っ張ってきた様々な財宝やその他のデータを消していなかっただけという話だ。


「こんな風に材料の確保なら簡単に出来るんですがねぇ……」


俺はブリスに延べ棒を見せつけながら挑発を行う。


「い、いやはや……これはまた、何とも……」


ブリスが戸惑いを見せている。

俺が保有するデータ……いや、財産が予想以上といった事に驚いているのだろう。


「こちらも買ってくれるというなら買っていただけませんかね?今後とも御贔屓にしたいもので……」


俺のその言葉にブリスの瞳に光が宿る。

おそらく俺と付き合うことで発生するであろうメリットとそこから得られる利益を瞬時に計算しているのだろう。


「是非!是非にお願いします!これは記念、ということで三点とも色を付けて買い取らせていただきますとも!」


ニヤリ、と俺は心の中でほくそ笑む。


「それはありがとうございます。今後とも良き関係を築いて行きたいものですな」


「いや、まさに。あなたの様な方と出会えたのは私にとってこれ以上ない幸運ですよ!」


その後はとんとん拍子に手続きが済んでいき、帰りはブリスとセリーヌが玄関まで送ってくれたほどだった。





「おい、エレノア。何呆けてんだ、行くぞ」


「……は!こ、ここは一体!?」


何言ってんだこいつ……。


「ってヴォルフさん!何ですかアレ!ヴォルフさんってあんなに宝石や希少な金属持ってたんですか!?というかどこに持ってたんですか!?」


どうやらエレノアは俺が金と銀の延べ棒を出したあたりから意識が無かったらしい。


「企業秘密だ。ノーコメントで」


エレノアのめんどくさそうな質問をばっさりと切り捨てる。


「ところでエレノア。また聞きたいことがあるんだが?」


「う、うう~、こ、今度はなんでしょうか?」


自分の質問は答えて貰ってないのに……と不満を漏らしながらもしっかりと返してくれるエレノア。

やっぱこいついい奴だな。少しちょろい気もするが。


「ああ。あのブリスとかいうおっさんが二千万ルク振り込んだって言ってただろ?”ルク”って何だ?」


「……はぁ……凄まじいですね、なんだかもう驚き疲れましたよ……。ルクというのはこの国のお金のことですよ。そうですね……そこらの適当な食堂のお昼が六百から千ルクっていえばどれぐらいの大金かわかりますか?」


ふんふんなるほど、感覚的には日本円と変わらないぐらいか。

とすると、今俺のギルドで貰ったプレート……ギルドカードだったか?には二千万円ほどの金が入っているということか。

ふっふっふ、召喚の魔法で無限に貴金属や宝石は出せるしもう金の心配はいらねーな。よっしゃ!金も出来たし美味いものでも食いに行くか!


というわけで、さっそくエレノアの奴に高級レストランでも案内させるか。

あ、その前にどこか宿を取る必要があるかな……さすがにこんなゴツイ鎧なんて来て言ったら店によっては入店拒否とかされそうだしな。


「よし、エレノア!次は宿と食事が出来るところに案内しろ!高級なところな!」


「ええ~!!もう無理ですよ~!!無理ったら無理です!!」


どうやらエレノアはあまりにも常識外の出来事が起こりすぎて頭がオーバーヒートしそうになっているらしい。


「いいから案内しろ。もしやってくれるんなら、食事奢ってやるぞ?」


「……行きます……」


うんうん、素直でよろしい。

よし、それじゃさっそく行くとするか!


サイドエピソードがまったく話が進んでいませんね。


頑張ってもう少し投下量を増やしたいと思います。

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