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マフィアのボスが私を男だと思っている。  作者: puni0023
第二章 ディ・ネーロ・ファミリー

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第61話 幹部戦

地下施設。


各所で戦闘が始まっていた。


――――――


地下通路・東側。


ノアとヴィクトル。


二人の前へ、大柄な男が立ち塞がる。


「ヴィンチェンティか」


巨大な斧を肩へ担ぐ敵幹部。


ノアは静かに銃を構えた。


「ヴィクトル」


「下がってろ」


ヴィクトルは苦笑する。


「戦闘は専門外ですから」


「援護に徹します」


男が雄叫びを上げながら突進する。


床が揺れる。


ノアは一歩も動かない。


引き付ける。


限界まで。


そして。


横へ半歩。


振り下ろされた斧が床へめり込む。


「遅い」


パンッ。


パンッ。


正確に両肩を撃ち抜く。


男が体勢を崩した瞬間。


ヴィクトルが足を払う。


男は大きな音を立てて倒れた。


ノアが銃口を向ける。


「終わりだ」


敵幹部は静かに意識を失った。


ヴィクトルは眼鏡を直し、小さく笑う。


「やはり」


「戦うより事務仕事する方が性に合っています」


ノアも短く頷く。


「ああ」


二人はそのまま先へ走り出した。


――――――


地下・中央通路。


マルコの前には細身の男。


両手にはナイフ。


「一人か」


「舐められたもんだな」


マルコが笑う。


「マフィアに油断も何もねぇだろ」


男が一気に距離を詰める。


マルコが真正面から受け止める。


刃が肩をかすめる。


「っ……」


その時。


耳元のイヤホンから声が届く。


『マルコ』


『右』


『死角』


ルカの声だった。


マルコは反射的に身をひねる。


避けた場所を、男の二の腕が通り抜けた。


「助かる!」


『動き、全部見えてる』


『カメラから』


マルコは笑いながら踏み込んだ。


「頼りになるな、お前!」


拳を振り抜く。


鈍い音。


敵幹部はその場へ倒れた。


マルコは肩の傷を押さえながら息を吐く。


「相変わらず、見えねぇとこから口出してくるよな」


無線越しに、短い返事があった。


『褒め言葉』


マルコは苦笑し、レオンの元へ急ぐ。


――――――


地下・制御室。


ルカは一人、複数のモニターへ向かっていた。


キーボードを叩く音だけが響く。


画面には無数のコードが流れていく。


不意に、一つのウィンドウが赤く点滅した。


侵入検知。


「……」


ルカの指が止まる。


向こう側にも、誰かがいる。


同じネットワークの中で、ルカのアクセスを塗り替えようとする動きがあった。


「……速い」


小さく呟く。


相手はただの見張りではない。


キーボードを叩く速度が上がる。


コードとコードのぶつかり合い。


画面が点滅し、ロックが解除されては、また掛け直される。


数分間、無言の攻防が続いた。


やがて。


一つのウィンドウが、完全に沈黙する。


相手の接続が切れた。


ルカは小さく息を吐いた。


「……勝った」


自爆装置の起動シーケンスを、遠隔から止めることに成功していた。


無線へ手を伸ばす。


「ボス」


「自爆、解除した」


「時間、稼げる」


レオンの声が返る。


『……助かる』


ルカは小さく頷き、再びキーボードへ向かった。


まだ、開けるべき扉がいくつも残っている。


――――――


最上階。


重い扉がゆっくり開いた。


広い部屋。


大きな窓。


街を見下ろせる執務室。


窓際に一人の男が立っていた。


サルヴァトーレ。


振り返る。


「遅かったな」


レオンは静かに部屋へ入る。


「思ったより」


「部下が頑張ってくれたよ」


サルヴァトーレは小さく笑った。


「そうか」


「優秀な部下を持ったな」


レオンも笑う。


「君ほどじゃない」


静寂。


互いに笑っている。


それなのに。


空気だけが張り詰めていく。


サルヴァトーレがゆっくりコートを脱いだ。


「さて」


「邪魔者はいない」


レオンもジャケットを脱ぎ、椅子へ掛ける。


「そうだね」


「決着をつけよう」


サルヴァトーレは楽しそうに笑った。


「ようやく」


「本物の勝負だ」


二人は静かに銃を構える。


次の瞬間。


パンッ!!


銃声が夜の空へ響いた。

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