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マフィアのボスが私を男だと思っている。  作者: puni0023
第二章 ディ・ネーロ・ファミリー

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第53話 宣戦布告

ディ・ネーロ・ファミリーの違法倉庫。


武器。


薬物。


誘拐された人々。


すべての情報が揃った。


警察。


政府。


そしてヴィンチェンティ・ファミリー。


三者合同で制圧作戦が始まる。


――――――


倉庫の扉が開く。


レオン。


ノア。


マルコ。


郁。


四人がゆっくり足を踏み入れた。


すでに警察部隊が周囲を包囲している。


逃げ場はない。


そう思われた。


――――――


奥から拍手が聞こえる。


パン。


パン。


パン。


サルヴァトーレだった。


「見事だ」


「ここまで辿り着くとは」


レオンは静かに歩み寄る。


「やりすぎたね」


その一言だけだった。


サルヴァトーレは笑う。


「やりすぎ?」


「違う」


腕を広げる。


「まだ始まったばかりだ」


レオンは黙って聞いている。


サルヴァトーレは続けた。


「今ある警察」


「今ある政治」


「今ある政府」


「全部」


「入れ替えればいい」


静かな声。


なのに寒気がする。


「俺の下につく人間だけで国を作る」


「俺が」


「この国を裏から動かす」


マルコが舌打ちした。


「狂ってる」


サルヴァトーレは笑う。


「違う」


「効率だ」


――――――


その頃。


倉庫二階。


壊れた窓の陰。


小さな人影がライフルを構えていた。


ルチア。


照準の先には。


郁。


兄を殺した男ではない。


でも。


ボスは言っていた。


『レオンから』


『大切なものを奪え』


少女は郁を見る。


レオンは。


ずっと郁を気に掛けていた。


守っていた。


だから。


(この人なんだ)


涙が一滴落ちる。


「兄さん」


「見てて」


「私」


「仇を討つから」


憎しみだけが引き金へ指を掛ける。


「あなたの」


「大切な人を」


「奪ってあげる」


パンッ。


――――――


郁は気付かない。


死角だった。


その瞬間。


「郁!!」


レオンが走る。


郁を突き飛ばす。


パンッ。


鈍い音。


「っ……!」


レオンの右腕を銃弾が貫いた。


赤い血が床へ落ちる。


「ボス!」


郁の顔色が変わる。


ノアはすぐ二階を見る。


「いた!」


マルコも銃を構える。


しかし。


その瞬間。


サイレンが鳴り響く。


パトカー。


特殊部隊。


政府部隊。


警察が一斉に突入してくる。


サルヴァトーレは笑った。


「今日はここまでか」


レオンは腕を押さえながら睨む。


サルヴァトーレも見返す。


「レオン」


「お前は甘い」


「……」


「だから」


「油断する」


静かに笑う。


「安心しろ」


「まだ殺さない」


レオンは動かない。


サルヴァトーレは最後に言う。


「俺が」


「この国を変える」


「その瞬間を」


「そこで見ていろ」


煙幕。


爆発音。


視界が白く染まる。


「くそっ!」


マルコが駆け出す。


しかし。


もう誰もいなかった。


――――――


静まり返った倉庫。


郁は震える手でレオンの腕を押さえる。


「ボス!」


「すみません!」


「私のせいで……!」


レオンは痛みに顔をしかめながらも笑う。


「違うよ」


「間に合ってよかった」


その言葉に。


郁は唇を噛み締めた。


そして。


二階を見上げる。


ほんの一瞬だけ。


涙を流す少女と目が合った気がした。


その小さな背中は。


もうどこにもなかった。

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