60 アーカイブ資料:インビジブルによるICO施設内での無許可配信(削除済)
二〇五八年■■月■■日 午前十時十二分
本映像資料は、室蔵市にて予期せぬ魔物災害が発生した翌日、「インビジブル」がICO白城市支部が管理する施設内にて配信を実施した映像のアーカイブ(配信タイトル:「生存報告」)である。
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<資料内容>
(配信開始)
「――む、もう始まっておるのか?」
・うおおおお生きてたあああああ
・配信キターーー!!!!
・俺は生きてるって信じてたけどね
・ほかに誰かいるの?
・普通に話してる姿見ただけで涙でてきた 見えないけど
「あー、まず始めに。昨日の件で色々と心配をかけたようだ。すまなかった」
・よかった 今日寝られなかった
・謝れてえらい
・生きてるだけでえらい
・本当にありがとう……
・しかしよくあの魔法食らって生きてたな
「いや、私は難なく避けたのだが、配信に使っていた『すまほ』があのタイミングで壊れてしまったようなのだ。おかげで酷い誤解が生まれてしまったことだし、次はもっとまともなものを用意せねばな」
・まあ今時スマホ配信なんて初心者かキッズぐらいしかやらんしな
・死にかけたのに冷静すぎないか…?
・人外だから定期
・スマホ買う金あるの?
・ICOから慰謝料貰えた?
「生憎と、ICOとは一言もやりとりはない。今までのこともあったし、そもそも期待もしておらぬ」
・謝罪なしマ???
・マジICOカスだな 仕事しろ
・俺たちの税金インビジブルに回してくれや
・さっき生きてるのが判明したばっかだししょうがないw
・今急いで本部の金庫開けてるかもしれないだろ!
「その代わりと言ってはなんだが、配信で収益を得ることができるようになったのでな。最悪それで埋め合わせればいいだろう」
・埋め合わせられる前提なのか(困惑)
・まあ視聴者も超増えたし余裕でしょ
・お高いカメラ買って欲しいし、俺は寄付チャット投げるよ
・俺も
・わしも、死ぬ前に娘の姿を一目見たい……
・親御さんも見てます
・300歳越えの親御さん大御所すぎるだろ
「ところで、多くの者が此度の件でICOを非難していると聞く。今もときどき怒りのコメントが見えておるが……私はこうして生きておるわけだし、一度落ち着かぬか?」
・「理性的に」やね
・ごめんけど許せない
・これはねぇ、世間は許してくれませんよ
・甘くしてもICOを増長させるだけ 一度裁きを下すべき
・制裁!制裁!
「何も、ICOを許せと言っているわけではない。ただ、私の代弁者面をして好き勝手に騒ぐのは止めろと言っておるのだ。私とて、今回の件は私も色々と思うところはあるのだからな」
・ほう
・そりゃそうだ
・一部はICOを叩くための材料くらいにしか思ってなさそうではあるもんね
「というわけで、今日は二人のゲストと共に、その件について話していこうと思う」
・自然な導入いいね
・ゲスト?
・誰だろう
(インビジブルがカメラに歩み寄り、180度回転させる。地面に正座している柊アカネと若葉モエギが映し出される)
「今日のゲストはこいつらだ。あー……確か、アカネと、モエギだったか?」
・!?
・ご 本 人 登 場
・今までずっと正座待機してたのwwww
・すげえ、絵にかいたような顔面蒼白
・公開処刑やん草
・なんでいるの笑
「なぜと言われても、ICOが管理している場所にいたところを捕まえただけだ。そしたら親切にも、この撮影場所を案内してくれたのだ。そうだろう?」
「ひ、人が来ない場所につれてけって言われたからー……」
・捕まえた(文字通り)
・本当に案内なんですかね…
・ワーシンセツダナー(棒)
・しれっと施設内不法侵入してね?
・まあ空飛べるし…
「わ、私達をどうするつもり……?」
「普通に話すだけだぞ。コラボ企画というやつだ」
・コラボなら安心だな、ヨシ!
・うーん全然安心できない
・×コラボ 〇尋問
「さて、早速だが本題に入るぞ。……お前ら、昨日は何を考えていたのだ? 碌に制御もできない魔法を土壇場で使うな」
「ご、ごめんなさい。直前に目が合ったから、撃てって合図だと思って……巻き込むつもりはなかったの」
「たぶん、制御できなくなったのはわたしのせいなんだー。もっといっぱい強くなれって、魔法を掛けちゃってー……」
・あ、普段から制御できないんじゃなくて、強化した結果暴走しちゃったのか
・そうじゃないとICOも仕事に派遣はできないよな
・言い訳すんな
・↑インビジブルが聞いたんだから黙ってろよ
・叩きたいだけのやつもいます
・世間の報道だと「未熟な魔法が暴走!」みたいなイメージだったから、ちょっとびっくり
「まったく。私以外だったら間違いなく取り返しのつかないことになっていただろう。自力で制御できない力など、二度と使うでない」
「はい……本当にごめんなさい……」
・あの、コラボってもっとこう、キャッキャした感じのやつじゃないんですか…?
・インビジブルは理性的じゃないものが嫌いだからなぁ、それに似た感じじゃない?
・仮にも殺されかけたのは事実なので
・そうそう、ごめんで済んでるのが奇跡なんだよ
・どうせコラボするならインフミ仲良しコラボが見たかった
「……ところで、魔物災害で発生した損害は補償されると聞いたことがある。ちょうどここに、魔物災害で壊れてしまった『すまほ』があるのだが――」
「べ、弁償する! 最悪私のポケットマネーで払うわ!」
「そうかそうか。それはありがたいな!」
・ちゃっかりしてるなw
・この流れで断れるわけもないんだよなぁ
・最初からこれが狙いだったのでは??
・うーん、これは理性的!w
「新しい『すまほ』を手に入れる目途も立ったことだし、次の話に移るとしよう。ICOはそろそろ、私をどう扱うか決めた方が良いのではないか?」
・それはみんな言ってる
・公的機関がダンマリは普通に終わってるよな
・せめて声明の一つくらい出しゃいいのに
・今のところ、攻撃して、手配して、こっそり取り下げて沈黙
・改めて振り返るとだいぶカス
「正直、私は今のままでも一向に構わない。ただ、魔法少女の方はそうともいかない」
・どういうこと?
・俺バカだからわかんねえけどよぉ……
「つまり、私が敵か味方かが曖昧な状態になっているということだ。ここの二人は私を殺した疑惑で色々と責められたらしいが、あらかじめICOが敵とハッキリ認定していたのならば、そもそも論争など起こるはずもなかっただろう」
・そうなのかなあ
・インビジブルに魔法撃った祥雲ユキは別に何もなかったしね
・その時とは状況違くね? インビジブルのこともみんな知ってるわけだしさ
・そもそもインビジブルが魔物討伐に出しゃばらなければいい話
・なんだ、テメェ……?
「……視聴者の方は色々と賛否両論なようだが、魔法少女からの意見も聞かせてほしいところだ」
「ええっと……私達もあなたを見たとき、迷ったところはあるわ。一応、味方と思って戦ってたけれど……」
・味方巻き込んで魔法使う気だったのか…
・↑その件はさっき解決してる 巻き戻して見直せ
・もともと制御可能な魔法で魔物だけ攻撃するつもりだったんでしょ
「わたしもー。ゲームの配信中に透明とか、インビジブルって単語を言うと、ちょっとピリッとするのー、困るなー」
・腫物扱い笑
・名前を言ってはいけないあの人?
・その気まずい瞬間だけまとめた切り抜き動画すき
・とんでもない切り抜きで草
「……とのことだ。ここの二人も不満に思っているのがわかっただろう。魔法少女のことを思うなら、ICOは私に対する立場をハッキリすべきだ――と、世間から散々言われているようだが、私からも改めて言わせてもらおう」
・聞いてるかICO~?
・被害者側が歩み寄ってるの、普通におかしいよICO
・いまだに幹部を疑ってるやつとかもういないと思うんだけど
・いるさ、ここにな!(ICO)
・うーんこの
「ちょ、ちょっと、私は不満なんて――」
「よいよい。誰であれ何であれ、不満を抱かないものなどそうそうない」
・インビジブルちゃんめっちゃニコニコしてそう笑
・二人には悪いけど正直おもろいw
・いいぞもっとやれー!
「さて、私はもう一つ思っていることがあるのだ。それは、今まで散々配信を通じて私の強さを見せてきたというのに、あの程度の魔法で死ぬと思われておるのが、実に心外だ、ということだ」
・あれ?
・まさかの視聴者にも飛び火
・こっちは本当に心配してたのに!!
・ったく、インビジブルを信じてたのは俺だけか……w
・は?俺もずっと生きてると思ってたし
「しょうもない喧嘩は止せ。ともかく、今回の一件で、私の強さを皆に伝えきれていなかったとよくわかった」
・どういう反省?
・無敵だったら誰も心配はしないかもしれんけど、そういうことじゃなくない?
・心配させてよ…
「心配してくれていた者を責めているのではない。皆を心配させてしまった私に落ち度があったのだ。……というわけで、今からここの二人に少し協力してもらうとしよう」
「えっ、な、何よ……?」
「そう難しいことは言わぬ。昨日撃った魔法をもう一度見せるのだ」
・え
・またメチャクチャなこと言い出したこの子
・さっき制御できないなら使うなって言ったばっかりやんけw
「私がいるから問題ない」
「で、でも、まだ昨日ほどの力は無理かも……」
「なら似たようなのでいい。人が来る前に、早くするのだ」
・やるんだな!? 今…! ここで!
・まさかのリベンジマッチ?
「え、ええぇ……今度は制御、ちゃんとしないと……」
「うん。死にたくないし、やるしかないねー。がんばろー」
(柊アカネと若葉モエギが立ち上がり、インビジブルに向けて杖を構える)
「『皆を照らす、太陽の力をここに! プロミネンス・レイ』」
「えーっと、何だっけー……そうだ。『もっと強くなれー』!」
(杖の先端に橙色の光の玉が形成され始める)
・改めて見ると結構怖いな
・本当に大丈夫??
「うむ。昨日は驚かされたが、二度目はない――ほれ、こんな風にな」
(インビジブルが腕を振る。直後、光の玉は両断され、魔法は不発に終わる)
「見ての通りだ。私が本気を出せば、この程度の魔法、容易に対処――」
「――君たち、ここで何をしているんだ!」
・あ
・まずいw
「……邪魔が入ったから、今日の配信はここまでだ。では、よい夜を過ごすがよい」
・よい夜を!
・まだ昼前なんだけど
(配信終了)
<備考>
本配信は未許可でのICO施設内撮影のため、配信サイト運営会社へ配信停止を要請中。
→ 本配信の三日後、アーカイブの削除対応を確認。
インビジブルが配信している間および前後の時間帯における警備体制について調査を実施。
結果、施設に設置された監視カメラでは移動速度や本人の姿が映らない特性により、AIによる自動検出が作動していなかったことを確認。目視での監視も必ず実施するようマニュアルを修正。
また、インビジブルが施設内を移動する際、魔法少女が同行していたために疑わなかったとの証言も確認。施設内警備員には、必ず身分証の確認を徹底するよう再周知。
なお、配信に出演した二名の魔法少女については、危機的状況におけるやむを得ない対応ではあるものの、制御しきれない魔法を使おうとした点については厳重に注意を実施。他魔法少女へも同様の事象が発生しないよう周知。
その他、インビジブルに関する詳細は別途資料「特定監視対象」インビジブルの項を参照。




