姪と Roast meat party
「花櫚さま、お代わりどうぞなのですの」
「やー、ありがとユキちゃん。っとっとっとっと。ユキちゃん注ぐのうまいんだね。それもカズミお兄さんに仕込まれたの?」
「いつか必要なるからと、お母様にみっちり練習させられましたのですわ。習得に2年もかかったのですの。大変だったのですの」
「母上、あまり飲み過ぎてはいけませんよ。母上は脱ぎ癖があるので、ほどほどでお願いします」
「だからと言って俺に飲ませるなよ。俺は嗜む程度なんだ。あと、俺は酔うと無差別に女性の生き血を啜るという吸血鬼上戸だから注意しろよ。責任は取ってやれん事もないが、お一人様限定だ」
「ヴァンパイアハンターのリンちゃん登場! はい、おじさんニンニク」
「なに……俺の弱点を知ってるだと?」
「ステーキ、には……ガーリック……必須、です……」
「ガーリックか~。焼いたらおつまみにも良いんだよね~。って、丸ごとかい! 彩ちゃん、ちょっとその剣で切ってくれる?」
「母上、これは竹刀なので悪の心しか斬れません」
「じゃ、懐に隠してるヤツで良いから斬ってよ。それなら斬れるでしょ」
「護身刀を包丁代わりに使うのは流石に……バチが当たってしまいます」
「わざわざそんな斬れ味の良いもん出さなくても、このステーキナイフで十分だ。秘技、微塵斬り」
「って、こら~っ! ここはスライスするだけだろうが!」
「おじさん……ハンバーグ、はやく……」
「私がひっくり返すね~。必殺、スーパーフライ返し!」
「くるりん一回転なのですの」
「意味、ない……」
「ついでにそいつも微塵斬りをば」
「流石にそれは阻止させていただきます」
「むっ……」
「ハンバーグを微塵斬りしちゃいけないのですわ。ミートボールになってしまいますのですの」
「もっと、小さい……そぼろに……なっちゃう……そぼろ、丼?」
「おじさん、私のステーキまだ~?」
「分厚すぎてなかなか焼けねぇな。レア肉は流石に食わせる訳にはいかないし……いっそ微塵斬りにしてしまうか」
「サイコロステーキなんでもこーい!」
「エクスカリバーでシュババババっと!」
「あ、お注ぎ致しますのですの。トクトクトクトクッ、ですの」
「このシュワシュワ感がたまらないよね~」
「ユッキー。私にもお代わりちょうだい」
「はいですの。リン姉さまにはシュワワワワ~っですの」
「やっぱコーラは泡3だよね~。チーちゃん飲んでる~?」
「飲むと……ハンバーグ、お腹に……入らなく……」
「カズミ殿、そろそろこのお肉殿は食べてもよろしいかと」
「俺は良いから彩華ちゃんが食え。あまりこういう高い肉を食べる機会がないんだろ?」
「悪かったね、収入少なくて。というか、こんなお肉をポンッと出せるぐらい稼いでるなら、本当に将来の事を考えちゃおうかな~」
「いったい何年後の話だ、永遠の幼女様よ」
「いや、あたしの事じゃなくて娘の方ね。娘の人生を生け贄に、あたしの未来を召喚! カズミお兄さんにダイレクトアタック!」
「母上……娘の人生をいったい何だと思っているのですか」
「ん? あたしが育ててきたんだから、あたしが自由にしていいものじゃ?」
「酷い母親だな。親の顔が見てみたい」
「隣にいるけど? 母のササメがいつもお世話になっています」
「……斬って宜しいですか?」
「許可する」
「あ~っ! あたしのガーリックスライスちゃんがっ!」
「秘技、微塵斬り……御伝授、有難う御座います」
「あたしのガーリックスライスちゃんがなんて姿に……あ、でもこれはこれで美味しいかも。ユキちゃん、コーラお代わりね~♪」
「コーラはもう品切れですの。大盛況でしたの」
「え……私の、コーラが……もう、ない……?」
「安心しろ。こんな事もあろうかと、冷蔵庫の奥に隠しておいた」
「キープボトル……みんな、飲んじゃダメ……」
「んじゃ、カズミお兄さんビールちょうだい」
「お酒は大人になってからだ。子供には飲ません」
「あたし大人♪」
「世界が認めん」
「いきなり世界!? 今のはまずお兄さん自身が認めないところから始まる会話じゃなかったの!?」
「彩華ちゃんは飲める口か?」
「そうですね。お酒には強い方だと思います。飲むのは正月限定ですが」
「いや、そこは素で返されると困るんだが……いくら正月でも堂々と飲んでる事を他人に言いふらすな。お酒は二十歳になってからだ」
「おじさんおじさん」
「ん?」
「肉、焦げてる」
「おっと、焼きすぎたか。仕方ない、この部分は斬って一番大人な人に処理してもらおう」
「こんな時だけあたしに押し付けるな! 若さが保てなくなるだろうが!」
「肉をそんなに食ってコーラをがぶ飲みしている時点で若さもへったくれもない気がするが?」
「今日だけは見逃して♪ こんな機会、滅多にないから……」
「すべては貧乏である母上が悪いのです」
「何気に娘が酷い言葉で虐めてくる……あたし、何かしたかなぁ?」
「私の人生を生け贄に捧げたからです。私は私の意思でカズミ殿を伴侶とするかどうか決めさせていただきます」
「お、意外に脈ありか?」
「いえ、微塵も」
「この肉をそっと彩華ちゃんの皿に盛ってみる」
「あ、おじさんが食べ物で釣ってる」
「もしかしたら天文学的な確率でそのような未来が訪れるかもしれませんね」
「一歩、前進……?」
「ゴールは地球の裏側にありそうなのですの」
「この肉はそっとリンちゃんの皿に盛ってみる」
「私、おじさんのお嫁さんになる!」
「浮気は許しませんよ」
「本当に斬られそうだから怖いな」
「毒料理……いります……?」
「そんな悪い事を言うお口にはこの人参のグラッセちゃんをいれてしまおう」
「んんっ!?」
「カズミお兄さんはチーちゃんに2000のダメージを与えた。チーちゃんは死んでしまった」
「おお、人参ごときで死んでしまうとはなんと情けない」
「好き嫌いはメッなのですの」
「そうか。なら明日はピーマンの肉詰めにするか」
「わっ、私の方に飛び火した。かくなる上は、ユッキーの嫌いな物を探し出して……」
「リンちゃん。台所を制する者は御飯のメニューを制するだ。だからその策を実行に移すなら、リンちゃん自身も台所に立って戦う必要があるぞ?」
「わたくしは毎日台所でおじさまのお手伝いをしていますですの。リン姉さまも一緒にお料理するですの」
「わた、しは……?」
「毒はいらないのですの……何でもかんでも毒料理にしてしまうのは勘弁して欲しいですの……」
「ところでカズミ殿。その顔の落書きはいつお消しになるのでしょうか?」
「犯人が自供するまでだな」
「真犯人はこの中にいる!」
「まず真っ先に反応した花櫚ちゃんが怪しい……私の顔にエルフちゃんの足跡を付けたのはだーれ?」
「お習字の墨を部屋に出しっぱなしにしてたのは、さて誰だったかな」
「……リンねぇ?」
「リン姉さまなのですの」
「あ、私だ。まさかの私が犯人!?」
「犯人が自供したな。この猫ハンの落書きはリンちゃんだったか。天誅!」
「って、何であたしが!?」
「私が……推理、するところ、による……と……リンねぇを……犯人、に……仕立て上げた、人が……います……その人だけが……真、犯人が……いると、知ってました」
「? どういうことなのですの?」
「つまりだ、真犯人は最初から罪をエルフちゃんもしくは習字道具を出しっぱなしの誰かに罪をきせるつもりだったという事だ」
「尚、私はこの目で見ていました。母上が真の黒幕です」
「はい? おじさま、猫ねこハンティングですの? 分かったですの、お姉さま方と一緒に猫ちゃんたちをハンティングしてくるですの」
「行ってきま~す」
「くっ……まさか実の娘が裏切るとは。あれほどあった彩ちゃんの母への愛はいったい何処に……」
「俺のところ?」
「いや、それだけは絶対にないから。というか、あたしが許さない」
「おや、母上。先程、私をカズミ殿に売り払おうとしていませんでしたか?」
「あ、そうだった。カズミお兄さん、彩ちゃんをいくらで買う? 今ならお安くしとくよ~」
「難しい質問だな……2本ぐらいか?」
「200万!?」
「……では、母上をいくらで買いますか? いつでもお安くしておきますよ」
「140円ぐらいか」
「あたしは自販機のペットボトル並かっ!」
「捨てても惜しくありませんね」
「屑籠に投げ捨てよう」
「だからあたしに焦げた部分を処理させるな! あたしは廃棄処分場かっ!」
「おじさま、はいですの。シェラーリちゃんを猫ハンしてきましたのですの」
「クロヒメ……さん、じょう……」
「エルフのお姫様と悪い魔法使い持ってきたよ~」
「3人ともご苦労。んじゃ、この悪い魔法使いに3匹の子猫ちゃんの足を浸してっと……」
「カズミ殿、今は食事中ですよ。お行儀が悪いかと。そういうのは後にして頂けませんでしょうか」
「お仕置きは早い方が良いと相場が決まっている」
「そんな相場聞いたことない!」
「リンちゃん、チーちゃん、ゴー」
「はいはーい。悪く思わないでね~、花櫚ちゃん」
「同じ、猫ハンの……ムジナ、です……」
「ポンっとな」
「うぎゃー。3つも肉球マークつけられた~」
「ほっぺたに2つ、額に1つ。とっても可愛いマークなのですわ」
「ユッキーもして欲しい?」
「はいですの。おじさま、わたくしも傷物にして頂きたいですの」
「きずもの……くすっ」
「ポンっとな。これでユキちゃんは俺の物だな」
「みんな、仲良く……おじさんの、奴隷紋……つけられた……」
「後は彩華お姉さんだけ?」
「私は遠慮させて頂きます」
「あ、キッパリ」
「この肉をそっと彩華ちゃんの皿に盛ってみる」
「……」
「あ、迷ってる迷ってる」
「このタマネギをそっと彩華ちゃんの皿に盛ってみる」
「あまりお遊びが過ぎると叩っ斬りますよ」
「逆効果だったですの。おじさまにブーイングですの」
「あ、タマネギ戻した。もしかして嫌い?」
「……決してそのようなことは」
「いま……間が、あった……」
「戻されたタマネギをそっと彩華ちゃんの皿にもど……うぉっ!」
「あ~……彩華にタマネギを与えちゃダメだよ。死ぬほど嫌いだから」
「ちなみに猫ちゃん達にもタマネギはメッなのですの。中毒起こしちゃうのですの」
「そう言えば3人には専属の猫がいるのに、俺だけいなかったんだよな。彩華ちゃん、200万払うから俺の猫になってくれ。そしたらタマネギは一生食べなくて良い」
「200万……一生……」
「あ、迷ってる迷ってる」
「いや、そこ迷っちゃダメだからね、彩華」
「もう少しで堕ちそうだな、クククッ」
「おじさんの、本音が……漏れてる……」
「そんな事より、そろそろデザート食べたいな~。もうお腹いっぱーい」
「コーラも……解禁……」
「本日のデザートはわたくしと彩華お姉さまお手製のプリンちゃんなのですの。おじさま達がゲームで遊んでいる間に一緒に作ったのですわ」
「別に遊んでた訳じゃないからね、ユッキー。あれ、マジバトルだから」
「動機が……不純……」
「そう言えばカズミお兄さん。ドタバタしててすっかり聞くの忘れてたんだけど……」
「このタマネギをそっと幼女の皿に盛ってみる」
「もう真っ黒けじゃん……」
「墨ですの」
「まっくろくろすけ~」
「コーラの……上に……プリン、を……」
「こっちではポイズンドリンクが生成されているですの……わたくしが作ったプリンが毒料理に魔改造されちゃったのですの……」
「んまんま♪」
「んで、結局どっちが勝ったの?」
「それはだな……」




