↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姪とオンライン!  作者: 漆之黒褐
幕間 『APRIL FOOL'S DAY』
56/115

姪の Camouflage

 ようやく……ようやく朝が来た。あれからはや4時間。ほんと、疲れましたよ。

 ホラーハウスと化したマイホームくんがありがちな設定で入口を閉ざしてしまい、俺はまず逃げ道を塞がれました。それからは阿鼻叫喚。しかし何故か幽霊さん達は俺を殺すような事はせず、だからといって優しく扱ってくれるかと言えば、否と答えたい。

 もみくちゃにされたり、ポルターガイストっぽく空中を飛ばされたり、かと思えば急に一人を除いてみんな大人しくなって、包丁を振りかざした鬼さん役の幽霊さんに追いかけられたりと。夜の間中、幽霊さん達の玩具にされて、生かさず殺さずの半殺し状態が続きました!

 されど、それももう終わり。ログアウト限界時間よりもほんの少し早く日の出が訪れたらしく、幽霊さん達は一人また一人と消えていきました。そして最後の一人、唯一言葉を喋る幽霊さんがついさっき姿を消して、ようやく終了。家の入口も無事に開きました。

 うん、でもね……。サクッと殺されて衰弱1時間の方がマシだったよ!?

 おおう……朝日が目に染みるぜ。予想外の状況下で起きた鬼ごっこの御陰でこの家の2階まで来る事が出来ました。1階にある例のあの部屋は入る事が出来なかったけど、他の部屋は大丈夫なんだね。うん、これが唯一の収穫です。

 ただなんかすっかり精も根も尽き果てたお爺さんモードです。さーて……時刻も時刻じゃし、そろそろワシはログアウトしようかのぅ、よぼよぼ。丁度良く綺麗なダブルベッドさんが目の前にあるぞよ。強制ログアウトされるより、このベッドの上で寝ながらログアウトしようかのぉ。……お爺ちゃんモードのまま寝たら、そのまま永眠しちゃいそうだね。

 あー、ちゅかれた。おやちゅみなちゃーい。む、退化しちゅぎまちた。



♪♪♪♪♪♪♪♪姪とオンライン♪♪♪♪♪♪♪♪



 ――な~んか今日は寝た感じがしないのは何でだろうねぇ。やたらと精神が摩耗している気が。まぁ、そのうちあっちの世界で何があったのか思い出す事でしょう。

 今日は待ちに待った4月1日。いえ、別に嘘が吐きたくてうずうずしてる訳じゃありませんよ? そんな、子供じゃあるまいし……。

「おはよー、おじさん。あと、ごめんなさい。おじさんの子供……身籠もっちゃった。てへっ♪」

「うにゅ~……おはうよごいざます。……私もお腹が、こんな事に……うにぅ……」

 子供がいました。しかも出来ました。ぷっくりとお腹を膨らませたリンちゃんとチーちゃんが居間で俺の事を待っていましたよ。昨日はそんなに大きくなかったのにねー。

 おおう……そういえば元旦にリンちゃんとチーちゃんと会ってましたね。お年玉をせびりにわざわざ来てましたね。そこから丸3ヶ月。確かに出来ていてもおかしくない!?

 いや、おかしいでしょうに。色々と間違っているでしょうに。そんな事実もなかったでしょうに。

「おぅおぅ、それは男としてきっちり責任を取らないといけないなー。とりあえず、ちょっと触って良いか?」

「おじさん、その手付きはちょっとエッチぃよ」

 あ、チーちゃんが元気な赤ちゃんをポテッと産み落としました。有名なネズミさんが描かれた枕さんです。……っと、まだ寝ぼけているチーちゃんが落ちた枕を拾おうとして睡魔に負けてしまいましたよ。ぽてりと落ちて、ぐっすり眠る。スヤスヤ。

 おやおや、こんな所で眠ったら悪い大人に悪戯されちゃうぞー。カッコ俺?

「ほらほら、今日もラジオ体操に行くんだろ? まずは顔でも洗ってサッパリしような、チーちゃん」

「おじさん、任せた! 私は一足先に着替えてくるねー」

「おう。ついでにチーちゃんの枕も持ってってくれ~……って、もういない。しかもリンちゃんの枕まで置きっぱなしかよ」

 かるーいチーちゃんを抱きかかえて、とりあえず二つの枕はソファーにポイポイ。あ、外れた。ま、いっか。有名な可愛い猫ちゃんキャラの瞳がこちらを見ています。ごめんね。

 洗面台にお湯をどばーっと溜めた後、水で適温に薄めます。その間、チーちゃんは俺の腕の中でぐったり睡眠モード。子供って本当に良く寝るよねー。ぷにぷに頬をつついてもまったく反応がありませんよ。ううむ……この肌のツヤツヤ感とハリが羨ましい。

 そんなチーちゃんを後ろから支えて、小さな両手を操っちゃいます。ほーら、暖かい何かだよー、ジャブジャブ。む、これでもダメか。ならば、濡れたお手々をほっぺにペチャッと。

「……うゆっ?」

 おっ、目が開いた。鏡にチーちゃんの顔が映っています。淑女のあられのない顔が映っちゃってます。かーわい!

「チーちゃん朝だぞー。まずは顔を洗っ……」

 首が前にカクン。顔がバシャッと。

「ぶくぶくぶくぶく……」

「うぉっ!?」

 湯面へと盛大に顔面ダイブしたチーちゃんを慌てて救出。こえー……マジびびったよ。

「あう~……なんか、溺れた夢を……見たのです……。あ、おはようございます、おじさん」

「……」

「ほぇ? どうし、ました……?」

 まるで気がついていない様子のチーちゃん。うん、寝起きのチーちゃんには取扱注意のレッテルを張っておこう。ペタペタ。リンちゃんは毎朝いつもこんな苦労をしてるのかな?

「あれ……? なんか、濡れちゃってる……です……」

 顔が、という言葉をちゃんと付けようね。それとも実は確信犯!? 前科の多いチーちゃんなので実はありうるというのがちょっと怖いです。指摘はしないでおこう。おじさん、チーちゃんを濡らしちゃった。犯罪者になっちゃう。

「ところで、おじさん……手付きがちょっと……エッチかったの、です……ぽっ」

 ……なに?

「ここでドッキリ種明かし! おじさん、本気でチーちゃんが寝ぼけてると思ったでしょっ♪ 実はうっそでーす♪ ひっかかった、ひっかかった♪」

「顔パチャも……演技、です」

「おじさん本気で驚いてたよね~。チーちゃんが狸寝入りしてる事にも全然気がつかなかったし」

 うはっ! 騙されたー。おっしゃる通りです。昨日とか一週間前とかに見たチーちゃんのていたらく風景と変わらない光景だったので、まったく疑っていませんでしたよ。

「いやー、この日のためだけに毎日練習した甲斐があったよねー、チーちゃん」

「です。毎日……頑張り、ました……。役作りは、大変……だったの、です……」

「昨日見せられたのも良かったよね!」

 うへ~、しかも前からずっとこの日のために仕込みまでしてたのですか。随分と念の入れようですね。あ、思い出してきた。あっちの世界でもなんか分かりやすい嘘を吐いてたよね?

 という事は……きっとカモフラージュまで計算に入れた嘘ですか。分かりやすい嘘を日付変更と同時にして、更に起きたばかりでもっと分かりやすい嘘を吐く。いくら嘘続きで俺が警戒していても、その直後に連日の仕込みまでした本命の嘘を吐かれては、逆に気付きにくいというものです。

 ここは正直に降参しよう。いはやは見事な嘘でした。

「おじさん、何か私達に言いたい事ある?」

 ドヤ顔だー。自信満々にニコッと笑った顔が輝いています。

「ぐうの音も出ません。見事でした。完敗です」

「グッジョブです、リンねぇ」

「グッジョブお疲れ様、チーちゃん」

 無邪気に喜ぶお子ちゃま達。まぁ、それはそれとして。

「ところで……そろそろ6時を回るが、支度の方は大丈夫なのか?」

「あっ!」

「あ……」

 3人とも寝間着姿のままだったので、慌てて着替えてレッツラゴー。こらこら、いくら急いでいるからといって、その場で全裸にならないでくださいよ。そんあ、下着まで……片付ける身にもなってよね~。

 そんな事より、ちょぉっと遅刻しちゃいましたね。滑り込みアウトでラジオ体操開始!

 ちゃーんちゃーんちゃーんちゃーん、ちゃららららー。

 体操しながらリベンジ計画思案中でっす。



♪♪♪♪♪♪♪♪姪とオンライン♪♪♪♪♪♪♪♪



「実は、今日から新しい住人が増えるんだ」

 お昼まで考えたけど、良い案が浮かびませんでした。ただ単に驚かすつもりなだけだったので、手の込んだ嘘の仕込みまではしてなかったんだよね。ちなみに、新しい住人というのは俺ちゃんの奥さんという嘘設定で紹介するつもりです。

 先にばらしちゃうけど、昨日遠出までして受け取ってきたのは、子猫ちゃん達。一匹じゃありません。この家の住人の数だけ購入しちゃいました。血統書付きの、ちゃんと幼児期に躾のされた子猫ちゃん達です。

 前からずっと猫ちゃん飼いたいなーって思ってたんですよね。でも一人暮らしだとどうしても猫ちゃん達を幸せにする自信が持てなくて、踏ん切りが付かなかったのです。しかし今は元気で可愛い姪という名の子猫ちゃん2匹がこの家に住んでいるので、ついに思い切っちゃいました!

「あ、やっぱ今日来るんだ。猫さん達だよね?」

 って、あれ? なんか既にばれちゃってるんですけど。どこで見破られたんだろ……。

「……何で知ってる?」

「昨日、おじさんの部屋をまた(ヽヽ)物色してる時に、それらしい新品のアイテムがいっぱいあったからねー。そうなんじゃないかなーっと」

「目的の物(ぶつ)は……残念、ながら……また(ヽヽ)、見つかりませんでした……。お隣のお姉さんも、ガッカリです……」

 今、二人ともまたって言った! いや、それよりももっと気になる言葉がありませんでしたか!? お隣さん、いったい何をやってくれてるんですか……。そりゃお年頃なのでそういう方面にも興味があるのは分かりますけど、流石に限度というものが。

 いや、たぶん何も知らされないままただリンちゃんとチーちゃんに付き添ってただけなのかな。結果だけ突然に知って、吃驚仰天。でもついでにガッカリ。きっとそうなんですよね?

 ま、別に見られて困る物がある訳じゃないし。猫ちゃんの事、先にばれちゃって困っちゃった訳だけど……まぁそんなものは可愛いものです。

「でも、おじさん。今日それを伝えるって事は、やっぱりそういう事(ヽヽヽヽヽ)だよね?」

 追い打ちまでしてくるのですか。しくしく。

「はい、そういう事です。ああ……俺の嘘が、嘘を吐く前にばれてしまった」

「棒読み、なのです……」

「ちなみに、なんて言って嘘を吐こうとしてたの? やっぱ結婚前提で付き合っている彼女さんとか? それとも実は隠し子さんとか?」

「奥さんです」

 恥の上塗り、世は情け容赦なし。

「はぁ……おじさんもいい年なんだし、別に奥さんの二人や三人いてもおかしくないんだからね? だから、もうちょっと笑って納得出来るような嘘を吐こうよ」

「そういう嘘は……10代の人が、やって……笑って、済まされる……です」

 情け無用の急所突きです。痛い所をブシュッと突いてきます。別に俺は好きで独身を貫いている訳じゃないんだけどねー。その気になれば、きっと奥さんの二人や三人お茶の子歳々ですよ?

 あ、今日はエイプリルフールです。だからあまり真に受けないで下さいね。リンちゃんもコソッと嘘吐いてますし。奥さん三人いるのはおかしいですよねー。この国は今の所まだ一夫一妻です。まだ、です。ただ、超少子化問題でかなりもうやばそうだから、それもいつまでかはちょっと保証できませんけどー。

「で? その新しい住人さんはいつ来るの?」

「たぶん、そろそろなんだが……」

 そんな時。丁度良くピンポーンという軽快なチャイムが鳴りました。

 あ、きたきた♪ 俺の子猫ちゃん達が来ましたよ。ウェルカム、マイラブリーキャッツ。今日から俺が君達のダーリンですよー。

 ちなみに、子猫ちゃん達はみんな雌です。虚勢は流石に可哀相なので行ってません。なので、ダーリンであってます。

「はいはーい。待ってましたよ、俺の可愛い子猫ちゃん」

 ウキウキ気分で玄関のドアをガチャッとな。

「可愛い子猫ちゃん、ただいま参上なのですの!」

 ……って、あれ? なんか違う子猫ちゃんが一匹、家の前にいましたよ?

「お久しぶりなのですの、おじさま。本日よりお世話になりますの。不束者ですが、宜しくお願いしますのですわ!」

 なんか、本当に新しい住人が増えました。

 今日ってエイプリルフールだよね? でもこれ、ホントのお話です。うへ……。

♪御意見、御感想をお待ちしています♪


リン「リンちゃんと」

チー「チーちゃんの」

「「あとがき劇場エクセレンツ!」」

リン「わー、わー、ぱちぱちぱちぱち」

チー「ドンドン、ぱふぱふ」


リン「最初に。まずはお詫びの言葉から入らせて頂きまーす」

チー「嘘を吐く事をお許し下さいなのです」

リン「新キャラは、実は女の子に見せかけた男の子なんだよ!」

チー「しかも、これからのお話の流れはその男の娘とおじさんの絡みが濃密に……」

リン「そんな事より、猫ちゃんは?」

チー「話題変わるの早すぎなのです、リンねぇ!」

リン「だってねー。新しい住人さんって、私達の知らない子でしょ~?」

チー「え、そうなのです?」

リン「うむ、そうなのだー。そして私は嘘と真を混ぜ混ぜして発言してるのだー」

チー「棒読み……もしかして、冒頭のお詫びの言葉は嘘!?」

リン「ふふふ。嘘も八百並べてしまえば、きっと真実!」

チー「言ってる事が全然分からないのです」

リン「パパラパッパパー。ウソでもホントの木~」

チー「あ、ドラ○もんだ! でも、そんな未来アイテムってありましたっけ?」

リン「さぁ? あるんじゃない? だって未来だし」

チー「いえ、そうではなくて……一応聞いておきます。それはどんなアイテムです?」

リン「ウソがホントになって木に実るアイテムだよー」

チー「えっと……つまり?」

リン「新しい住人さんが男の子として木に実るってこと。ポンっとね」

チー「実ってどうなるのです? 元いた人はどうなるのです?」

リン「新しい住人さんが二人になるんじゃないかな?」

チー「食費が2倍に!? とっても大変なのです!」

リン「気にする所そこ!?」

チー「しかもドッペルさんゲンガー効果で、二人が出会うと片方は死んじゃうです……」

リン「えと……その場合、食費2倍の問題は解決されちゃうような~」

チー「ん~。とりあえず、そのアイテムを使っていいです、リンねぇ?」

リン「別に良いけど……どんなウソ吐くの?」

チー「リンねぇは、実は私の事をこよなく愛しているとても格好いいお兄ちゃんなのです」

リン「存在否定された!?」

チー「私は新しいお兄ちゃんと仲睦まじく暮らしますので、リンねぇさようなら」

リン「是が非でもニューリンちゃんを倒したくなってきた!」

チー「ちなみに、どこからどこまでがウソなのか私にも分からないのです」

リン「私はれっきとした女の子だよ!? チーちゃん絶対にそれ知ってるでしょ!?」

チー「それが真実だとすれば、未来アイテムからお兄ちゃんが誕生するのです」

リン「……それってつまり、真偽を不明確にする事でアイテムの発動を抑制してたりする?」

チー「あ、頭の悪いリンねぇが意外な冴えを見せてるのです。凄い凄い」

リン「ねぇねぇ。もしかして頭の良いニューリンちゃんも発生させようとしてる?」

チー「いえ。ただ単にリンねぇをからかって楽しんでるだけなのです」

リン「ぷちムカ!」

チー「というのは嘘なのです。今日はエイプリルフールなのです」

リン「あー……チーちゃん? 嘘だからと言って、何でも許される訳じゃないんだよ?」

チー「嘘も方便と言いますしね。それ以前に、世の中には嘘吐きが多すぎるのです」

リン「知ってる。でもそれとこれとは関係ないよね、チーちゃん」

チー「……(汗)」

リン「……(怒)」

チー「それじゃ今日はこれで終わりなのです! したたたたたたたたっ!」

リン「あっ!? 無理矢理終わらせて逃げた!? 待てーっ!!」


♪(こっちも)御意見、御感想をお待ちしています♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。