Despair --絶望--
誰もがその光景に恐怖を覚えた。
繰り返される殺人行為。その度に死亡し、設定された復活ポイントから復活する少女。そしてまた殺され、そして復活し、殺され、復活し、殺されるという無限地獄。
双眼を鋭い爪で貫かれ、そのまま下に爪を引かれて斬殺される少女。飛沫いた血が周囲を赤く染めて血の池を作る。
肩を掴まれて腕を千切られる。その傷口に食い付き、胴体の四分の一が咀嚼され失った所で絶命。狂人鬼の口元は血で濡れた。
一瞬にしてサイコロのように全体が斬り刻まれる。人体で作成されたサイコロが地面に落ちきる前に、少女の身体は霞となって消えた。溢れた血だけを残して。
頭部を潰される。その少女とは別の少女が先程されたように。顔から飛び出した瞳の一つが狂人鬼の口の中へと入り、丹念に舐められている間に消失。
心臓を引きずり出しドバドバと流れる生き血を飲み始める事もあった。露わになった少女の胸元は、当然血に染まって魅力など微塵も感じられない。
四肢を全て寸断され蓑虫にされた時はまた酷かった。頭部を踏み潰されて胴体だけが残った人の姿が瞳に焼き付いて剥がれない。
捻り殺される。上半身と下半身の間を繋いでいた腰骨が姿を現し、倒れる事のなかった下半身が下着を晒す。当然、赤く染まっていた。
次々と行われる虐殺行為。それがじっくり時間を掛けて行われた行為ではなく、ほんの一瞬で次々と繰り返されたのがせめてもの救いだろう。生を実感する前に死を与えられ、死を実感する前に復活する。ほんの30秒にも満たない間に数え切れない程の殺戮が行われ、その度にその光景から目を背けていく者達が加速度的に増えていく。
だが、俺だけは最後までその光景を見続けた。その狂気からマリリンを助け出すために疾走する俺だけは、その現実から目を背ける事は決して出来なかった。
一通りの殺人行為を行って満足したのか、首をもぎ取り逆向きに胴体へとねじ込んだ狂人鬼の瞳が近づく俺の方へとようやく向かう。その口元には変わらず凶悪な笑み。マリリンが流した血で真っ赤に染まった顔が、まるで俺の事を歓迎しているかのように更にその喜びを深める。
否。見ていたのは俺ではなかった。いや、確かに俺の事も見ていたが、そのどす黒い虚ろな瞳が標的と定めていたのは決して俺ではなかった。
再び復活したマリリンの身体を無造作に斬り裂いてから、狂人鬼がその行動を開始する。
「カズミ氏は先にマリリンをお願いします! あれは僕が!」
反論を許さない決意の籠もった強い言葉が背後から耳に届いてくる。しかしその言葉を俺は信頼せず、振り返る。狂人鬼は、俺の後を追って走るシン君ではなく、俺達を避け大きく迂回し、立ち尽くしたままのセンねぇちゃんの方へと向けて高速で移動していた。
その前に立ちはだかるのは、恐怖の色に染まったレイ君の姿。盾職の誇りが彼にその行動を取らせたのだろう。しかしその手にはもう盾は握られていない。生身を盾にしてでも仲間の身を守るつもりか。
狂人鬼がシン君へ攻撃するならば俺もまだ対応出来たが、遠くにいるあの2人へと向かったのであれば間に合わない。その事を悟り、諦めて俺は前へと向く。前を見て、崩れ落ちていくマリリンの姿を瞳に映す。その身体を支えるべく、残り僅かだった距離を一気に詰める。
「マリリンっ!!」
しかし、そのマリリンの身体を受け止めようとした俺の腕は、何も掴む事は出来なかった。
強制ログアウト。プレイヤーが仮想世界において凄まじいストレスを受けた場合に起こる、システムによる強制遮断救済措置。
マリリンは、あと少しで俺の手が届くという所で、俺の目の前でこの世界から離脱していった。
最も懸念していたその悲しき事態が引き起こった事で俺の思考が一瞬停滞しようとする。だが、まだ全てが間に合わなかった訳ではない。下の姪は、まだこの中にいる。
すぐに振り返り、俺が助けるべきもう一人の少女の生死を確認する。踵を返して駆けるシン君の後ろ姿の先に、捨て身でその少女を守ろうとした少年がまた身体を二つに裂かれているという光景が飛び込んでくる。
「誰か奴を止めてくれ!」
必死にそう叫んだが、誰も俺の声に耳を傾けた者はいなかった。阿鼻叫喚の地獄絵図となったこの広場から我先にと逃げ惑うプレイヤー達の姿だけがあった。その中で唯一、敵との距離を縮めようするシン君の姿。だがその距離は圧倒的に遠い。
二つに裂いたレイ君の身体を狂人鬼が投げ捨てる。その高速で投げ付けられた死体に運悪く当たった者が悲鳴をあげて腰を抜かす。レイ君の姿が掻き消えてもその者は立ち上がる事が出来なかった。
一歩、また一歩と狂人鬼がゆっくりと下の姪へと近づいていく。一歩足を踏み出すごとにビチャッという血の音が耳に届けられた。現実世界とは異なる物理法則で動いているこの世界において、その音の伝わる速度と距離は、それを意識している者の集中力の高さによって変化する。聞きたくもない音が、その存在に集中しすぎている俺の元にデータとして送り込まれる。不快な音色。頭がおかしくなりそうだった。
そして遂に、狂人鬼が下の姪の眼前まで辿り着く。圧倒的な恐怖を撒き散らす凶悪な存在が、少女の目と鼻の先に立ち尽くす。瞬間、上の姪へと繰り返された惨殺の光景が次々と脳裏に浮かび上がる。
恐怖で完全にすくんでいる少女が手に握っていた剣を取り落とす。カランっという乾いた音が鳴り響く。シン君が何やら叫んだようだったが、全ての意識をその場に向けていた俺の耳にはほとんど届いてこなかった。
狂人鬼の首がゆっくりと俺の方へと向き、俺のいる位置を確認する。あの狂った行為をまた再び行うべく画策しているのが何故だか俺には分かった。
そのゲームの始まりは、少女の命が潰えた瞬間。
狂人鬼がその少女に致命傷を負わせ、システムから死亡判定を受けるまでの間にどれだけこの復活ポイントまでの距離を縮める事が出来るかが、その勝負の勝敗の分かれ目。距離が遠すぎれば復活した少女の身体を俺が浚い逃げ伸びる確率が高まる。逆に距離が近すぎれば俺達は逃げ切る事が出来ずに双方共に殺され、後はあの壮絶な光景が強制ログアウトさせられるまで再び繰り返される事となる。例え俺が復活ポイントをこの場所に変更しても、後者の場合の結末は変わらないだろう。
そういう恐ろしいゲームを狂人鬼がしようとしている事が、何故だか俺には分かった。
その始まりを予告するかのように、狂人鬼が瞳を俺に固定したまま、鋭く長い爪の残っている方の腕を振り上げる。
建物の屋上でまだ傍観していたプレイヤー達が再び沈黙する。そのゲームの商品とされた少女の確実な死を想像して、まだ逃げ惑うプレイヤー達が多くいる広場の中で、ただその一点にのみ視線を注ぐ。
「ぃ……」
そして少女が己の置かれている境遇を再度認識し、悲鳴をあげようとした瞬間。
まるでそのタイミングを見計らっていたかのように、狂爪は振り下ろされた。
大きく開かれた五指の先にある鋭い爪刃に、水色の剣士姿の少女の身体がまるで玩具の人形のようにバラバラになって宙を舞う。顔が、首が、右腕の二の腕が、左腕の肩が、堅い鎧で守られた胸が、細い腰が、すらりと伸びた足が、斜めに斬り裂かれていくつものパーツに分かれて赤い血を撒き散らす。
悲鳴を今まさにあげようとした表情で固まった少女の顔が、この果てしなく遠い距離でも物理法則を無視したこの情報世界特有の現象を利用して視力をあげていた俺の瞳の中でゆっくりと掻き消えていく。その失敗に気が付いた時には、既に狂人鬼は超加速を終え最大速度でこちらに向かっていた。
致命傷のみを与えてその時間を稼ぐものだと俺は考えていたのに、その予想を外された事で俺は一瞬を無駄に過ごしてしまっていた。その遅れを取り戻すべくすぐに振り返り、殺されたという現実をまだ認識しきれていない復活したばかりの少女の身体を抱きしめ、そして走り始める。
向かう先は最も近い通路。数人のプレイヤーがその通路へと逃げ込もうとまだ駆けており、また2人のプレイヤーがその通路から顔を覗かせ広場の様子を見ていた。それは好都合、足止めの駒として利用出来そうな面々がいた事で俺の脳裏で僅かに希望の光がその強さを増す。
しかし、天は俺に味方をしなかった。
不安定な体勢のまま駆けようとした俺の足が、地面を埋め尽くす血の池によって滑り、多々良を踏む。その瞬間、絶望的な程に長い時間のロスが生まれる。
敵の現在位置を確認すべく一瞬だけ瞳を向けると、敵の侵攻を阻もうと立ちはだかった勇気ある少年の首が、敵と交差した瞬間に勢いよく空へと飛ばされるという光景が映し出された。刹那の間すらその敵の足を止める事が出来なかったシン君の顔が、その悔しさで涙を浮かべていたのを俺は見る。
その頑張りを無駄にしないため、俺は前へと進む。右足に力をこめ、一気に解放。大きな一歩目となった左足が地面に触れると瞬時に膝を伸ばし更なる加速を行う。だが人一人を腕に抱いているために重心位置がつかめず僅かにバランスを崩す。左手を地面につけてそのバランスを微修正。予定より少し早く右足を地面に着け更にバランスを追加修正。右腕一本で抱えていた少女の華奢な腰を前に移動させ、胸の位置で両腕で抱き込む体勢へと変える。
地面を踏みしめる度に身体が速度を得て、その度に目的の通路へと近づいていく。すぐ目の前で後ろを振り返った青年を追い越し、右側から同じ目的地へと向かっている少年が驚愕の色を浮かべてこちらの方を見ているが無視する。通路から覗き込んでいた二つの顔が慌てて引っ込み、代わりに何者かがその通路から姿を現したが、やはりそれも意識の外へと追いやる。
そしてようやくその通路へと辿り着く事が出来たと思った瞬間。すぐ背後で悲鳴があがり、同時に嫌な予感に襲われて、減速を覚悟で後ろを振り向いた。そして、この巫山戯たゲームに俺は敗北した事を理解する。
突き出された狂爪。鋭い犬歯を惜しげもなく見せる狂喜する口元。見開かれた虚ろなる瞳に映る、標的たる俺の姿。世界がコマ送りのように感じ、その確定付けられた死の瞬間をスローモーションで再生していく。殺される瞬間が、スローモーションで再生される。
そして、肉を貫く狂爪。肌と脂肪と筋肉と骨の多重層を突破し、その先にあったまだ鼓動する心臓を貫き、そして背中へと突き抜ける。確実な死をもたらす心の臓の串刺しで、その命を狩り取った。
「……まったく、私とした事が随分と焼きが回ったもんだね」
血が、飛沫いた。まだ鼓動を続けようとした心臓が動く度にブシュブシュとその彼女の身体から小さく血が吹き出る。まだ生きているという証を証明するかのように、その女性は心臓を貫かれたまま更に言葉を続ける。
「まさか差し違える覚悟で突っ込んだのに、傷一つ付けられないなんて思わなかったよ。メソメソして引き籠もってる間に随分と弱くなったもんだ」
いったい誰に向かってそう呟いているのか。振り抜いた体勢で砕け散った剣を片手で持った全身傷だらけのその女性、あの場に置き去りにしてきたNPCのアイナが、俺と狂人鬼の間で独りごちる。その顔には既に死相が浮かび、血を失いすぎたために青ざめている。だがその表情には未だ鬼気迫るものがあり、眼前にいる化け物へと強烈な殺気を放ち続けていた。
折角、気絶していたのを無理に起こさず、十分に予想出来たこの状況を回避するために置いてきたというのに。NPCである彼女が死んでしまわないようにするために、最悪なその敵と戦わないですむように仕向けたのに。
「いきな」
何故、来てしまったんだ……。何故、俺なんかを助けるために、その限りある命を投げ出してしまったんだ……。
俺達プレイヤーはこの世界では決して死ぬ事はない。
ゲームの中では、死ぬ事を許されていない。
「この化け物は私が暫く抑えておいてやるよ」
だが、何度も言うようだがNPCは違う。NPCは――死ぬ。
時代が進化し人工知能のレベルも進化した現代。NPCという架空の疑似生命体も当然の事ながら大きく進化し、現実の人と何ら変わりないレベルまでに思考する程の存在になった。つまり、キャラごとにオンリーワンの個性を持った。
このアイナも、そう。
彼女はここにしか存在せず、他のどこにも存在しない。死亡したNPCは特別な理由なくして絶対に生き返らせないという設定が施されたこの世界では、彼女は死ぬと二度と会う事は出来なくなる。
まさに現実の人の命と同じ条件で生きる、架空世界の疑似生命体。
それが彼女達NPCという存在だった。
「だから、あんた達は生きな。生きてここから逃げ延びるんだ」
その彼女の口から発せられる、残酷な台詞。何度でも死んで生き返る事が可能なプレイヤーの命を守り、たった一つしかないその命を散らせようとするアイナの覚悟。その残酷な事実を理解/認識する事が出来ないように設定されたNPCの自発的決死行動。
これが見も知らぬ初めてあったばかりのNPCであれば、俺も流石にここまで感情移入する事はなかっただろう。現実世界でも、TVの中でいくら人が死のうともほとんど気にしない。
しかし俺は彼女と出会い、少なからず行動を共にし、短い期間ながらも何度かこの命を預けて戦った。例え彼女がデータの海の中でしか生きられない架空の疑似生命体だったとしても。人の姿をし、人と同じ思考をし、一個人としてこの世界で生きるそのNPCと知り合ってしまった俺には、その命がただのデータであると完全に割り切る事はもう出来ない。
心臓を貫かれたアイナにはもう死ぬ以外の未来は待っていない。その僅かにだけ残されている時間の中で、アイナは俺にその選択を強要する。最後の力を振り絞り、心臓を貫いた狂人鬼の手首を掴み、そこから引き抜かれないように全力で固定する。
「早く行きな! 嬢ちゃん!」
俺は、選択するしかなかった。
アイナをその場に残して通路の中へと逃げ込む。その悲しみを必死に握り潰し、胸に強く抱いた少女の心をあの狂気から救うために、狭い通路の中を必死に走る。背後ではアイナが雄叫びをあげる声が響いてきたが、絶対に振り返らずただ前へとだけ進み続けた。
その戦場から、俺は逃げ出した。
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ユリ「え~と……ユリアと」
ユダ「撲殺ヒーラー、ユダ様の」
「「あとがき代理劇場!!」」
ユリ「ぱちぱちぱち……?」
ユダ「フフフ……ウフフフフフ……」
ユリ「あの~、ここはいったいどこなのでしょうか?」
ユダ「その前に、タイトルコールをお願いできますか?」
ユリ「え、タイトルコールですか? え~と、今回は第34話になります」
ユダ「ありがとうございます」
ユリ「それで、ここはいったいどこなのでしょうか?」
ユダ「夢の中ですよ、夢の中。妄想の中とも言いますけど」
ユリ「夢……ですか?」
ユダ「そうなのです。だからここでは私は何をしても許されるのです!」
ユリ「え……あ、ユダちゃん。そんな所を触っちゃ……」
ユダ「ふふふふふふふふふふふふふふふ。うふふふふふふふふふふふふふふふ」
ユリ「あ、だめ……」
ユダ「ああ……ここが気持ちいいんですよね。この肌触りがなんとも」
ユリ「ユダちゃん……杖をそんなに触って楽しいです?」
ユダ「杖じゃありません。これはカズミンの柔肌なのです」
ユリ「それ、どう見ても杖……」
ユダ「妄想の力を使えば、全ては等しくカズミンになれるのです」
ユリ「……やっぱりユダちゃんは壊れてます」
ユダ「壊れてるではなく、腐ってると言って下さい。ユリさんと同じです」
ユリ「そんなのと同じにしないで下さい。それは、間違ってます」
ユダ「何も間違っていないのです。そのうちユリさんもこの杖が欲しくなりますよ」
ユリ「どうしてそんなものが……」
ユダ「大きさ、形、そしてこの肌触り。全てがパーフェクトなのです」
ユリ「何がパーフェクトというのでしょうか?」
ユダ「ユリさんは一度本物を知っておいた方が良さそうですね」
ユリ「え? それってつまり、ユダちゃんは本物を知っているのですか?」
ユダ「ええ、勿論」
ユリ「そんな……ユダちゃんが、もう……」
ユダ「腐るには十分な理由なのです」
ユリ「まさか相手はあの!?」
ユダ「ああ、いえいえ。あの都合の良いカモフラージュお馬鹿さんじゃありませんよ」
ユリ「それなら、いったい……」
ユダ「ふふふふ……。秘密に決まってるじゃないですか」
ユリ「どうしてこんな事に。あの可愛かったユダちゃんが、何故……」
ユダ「大人になるという事は、何かを捨てなければならないのです」
ユリ「それでも! 私の好きだったユダちゃんがいなくなったのはとても悲しいです」
ユダ「それは腐ったユリさんの本心から来る言葉ですか?」
ユリ「純粋に、一人の女性としての意見です」
ユダ「それは残念です。ユリさんも、実はまだ半熟なのですね」
ユリ「半熟も完熟もありません。それにそんな壊れ方をするなら半熟なままで結構です」
ユダ「私は別に壊れてはいませんよ。心に正直なだけです。ユリさんと違ってね」
ユリ「欲望のままに正直になっては獣と変わりません」
ユダ「ふふふふ……獣で良いじゃないですか。楽しいですよ?」
ユリ「そんな妄想、楽しくありません。それに獣はそんなに深く妄想しません」
ユダ「ではどうすればいいというのですか? 実物に触れられないこのもどかしさを」
ユリ「私では……ダメなのですか?」
ユダ「先に拒否してきたのはユリさんです。今更何を言っているのですか」
ユリ「それは……。だって、あの時はまだ……」
ユダ「もう良いです。私はこのまま妄想の世界の中に浸り続けるのです」
ユリ「ダメ……帰ってきて下さい、ユダちゃん」
ユダ「もうあんな怖い思いをするのは嫌なのです」
ユリ「だからといって、そのまま殻の内側に籠もるともっと辛くなりますよ?」
ユダ「良いのです。もう私はこの杖とこの妄想力さえあれば生きていけます」
ユリ「カズミさんと結婚する約束はどうするのですか?」
ユダ「嘘を吐かないで下さい。その約束は私の妄想です。現実には約束していません」
ユリ「もう二度と本物のカズミさんと触れ合えなくなるのですよ?」
ユダ「……構いません。カズミンも私といちゃいちゃしたいとは思っていません」
ユリ「そんなの、分からないじゃないですか」
ユダ「拒絶した人がよく言いますね」
ユリ「それは……」
ユダ「もういいです。ここから出て行って下さい。さよならなのです」
ユリ「ユダちゃん、ダメ……追い出さないで!」
ユダ「無理なのです、こればかりは。もうオーバーしてしまっているのです」
ユリ「そんな……最後に、もう一度だけ」
ユダ「時間切れです。さようなら」
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