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第27話 カウンター・音の「同調増幅」

「電源(元栓)を抜く……だと……!? 何をわけの分からんことをぉぉぉ!!」

ガラドの絶叫とともに、全生命力を注ぎ込んだ【限界突破のハウリング】が臨界点へと達した。


「ピガガガガガガガガガガガガガガアン!!!!!」


大気が高熱で蒸発し、紫黒色の音波の嵐が全方位へ爆発的に膨張していく。


180デシベルを超え、王都はおろか大地そのものを削り取る壊滅的な衝撃波。

無秩序に周波数を乱舞させ、計算による相殺すら許さない、無限のエネルギーループだ。


「死ねぇぇぇぇぇ! 我が絶望の音色と共に消し炭になれぇぇぇ!!」


城壁の影で騎士たちが天を仰ぎ、悲鳴を上げる。


だが、眼前に破滅の津波が迫ったその瞬間、俺は右手を高く掲げ、冷ややかに口元を緩めた。

「逆位相で消すのはやめだ」


俺は意識のスクリーンを全開にし、ガラドの暴走する音波スペクトラムをコンマ数ミリ秒で完全に捕捉する。


「いい声だな。せっかくだから、ボリュームをもっと上げてやるよ」


俺が選択したのは『逆位相(打ち消し)』ではない。


ガラドが放った無秩序なハウリング波形に対し、寸分の狂いもない「完全な同位相」の魔力を重ね合わせる術式 『同調波形重ね合わせ(フェーズ・イン・アンプ)』!


波と波が完全に一致した瞬間、音のエネルギーは引き算による無力化ではなく、【掛け算(数倍から数十倍)】へと爆発的なエネルギー増大へと変貌する。


「――同調増幅(アンプリファイ)」


指先を、鋭く弾いた。


ズガァァァァァァァァァァァァン!!!!!


「「「「!?!?!?!?」」」」


ガラドが解き放った破壊の濁流が、俺の指先のわずか手前で一瞬にして膨張し、俺の魔力を上乗せされたことで十倍以上の質量兵器となって前方へ逆流した。


マイクをスピーカーに近づけすぎた際に生じる、あの凶悪なフィードバックのエネルギーすべてを、全てガラドの元へと叩き返したのだ。


「な……ッ!? 俺様のハウリングが……さらに何倍にも膨れ上がって……逆流してくるだと……!?」

ガラドが絶望に目を剥く。


自らが生み出した狂乱の音が、敵の魔力で極限までブーストされ、巨大な音圧の津波となって己の元へと押し寄せてくる。


「バ……バカなァァァァァ!! 消すだけにとどまらず……俺様の音を増幅して叩き返すだとぉぉぉぉぉ!?!?」


「自分の声のデカさに誇りを持ってるんだろ? なら、自分で育てた最高の爆音に抱かれて沈め」


俺が冷たく言い放つと同時に、十倍の出力へと跳ね上がったハウリングの嵐が、ガラドの巨躯を真正面から呑み込んだ。


ドゴォォォォォォォォォォォン!!!!!!!


天地を揺るがす衝撃波が炸裂する。


ガラド自身が生み出し、俺が増幅させた破壊の音響が、奴の肉体と【黒竜の喉】を内側から容赦なく粉砕していく。


「グアァァァァァァァァァァァァッッ!!!!!!」

喉が内圧に耐えかねて破裂し、己の放った爆音の反動で巨体が宙へと吹き飛んだ。


自慢の『竜声帯』は木っ端微塵に砕け散り、魔将ガラドは、自身が信奉した圧倒的な音圧そのものの前に完全な敗北を喫し、無様に地べたへと叩きつけられた。

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