表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前科部!  作者: 蛇猫
回想録
PR
103/108

過去


「あああ! 何と無く見覚えあるなと思ってたら蜂須賀さんでしたか!」


「前に会ったのはアンタが小学生の頃だからな。忘れてたわ」


「いやいや、私だって少年......祐也君の名字がお二人と同じことに気付いて

 ませんでしたし、御互い様ですよ! いや、それにしても少年とお二人が

 家族だったとは。世界とは広いようで狭いもんですなあ」


「ですねえ」


「だなあ」


いや、三人だけで勝手に感慨に浸るの止めて貰って良いですか。アンタら以外

全員、何が何だか分かってないんですけど。そんなことを思っていると雪加が

不意に手をあげた。


「三人とも、詳しく説明して。何のことか全く分からない」


よくぞ言ってくれたと俺達は雪加に称賛の視線を送った。流石、俺の幼なじみ。

そんじょそこらの有象無象とは有能さが違う。


「ん~、と言われてましてもなあ。どっから説明すりゃあ、良いんだろ?

 てか、徹也さんは何処まで話して大丈夫な感じ?」


蜂須賀の質問に親父は暫し、沈黙した。空気が突然、重苦しい物になる。


「あ~......俺は別にどこまで話しても良いんだが、祐也の部活仲間がこんなにいる中で

 する話ではないだろうなあ。他人の昔話なんて聞かされても面白くないだろうし」


親父はバツが悪そうにボリボリと頭を掻いた。


「あ、だったら、私達、出ていきますから大丈夫です。大切なお話なんですよね?」


親父の言葉から何と無く、状況を察したのだろう。先輩は嫌な顔一つせずに

そう言った。やはり、優しい。


「いや、ホント、悪いな。俺は良いんだがアンタ達が聞いてて気分が悪く

 なるかもしれないような内容だから」


「つーか、親父は何の話をしようとしてんだよ」


「ほら、俺達が転校してきたばかりの時に二人でショッピングモールに行ったことが

 あっただろ? あの時、俺が変なことをポロっと言ってたんだが、覚えてないか?」


親父の質問に俺はかぶりを振った。


「覚えてねえよ。半年前の話をされても」


何か言ってた気はするが、内容はちっとも覚えていない。


「そっか。まあ良い。要は俺の学生時代の話だよ。ちょっと、重たい話でな。

 お前の部活仲間に話すのはちょっと躊躇われる」


そんなことを言う親父の肩をトントンと蜂須賀が叩いた。


「あのお、そのことなんですけど、出来たら皆にも話してあげてくれませんかね」


彼女の言葉に、部屋にいる全員が驚きの声を漏らした。


「その......出来るだけその話は色んな人に話す、っていうのがウチのマンマの方針

 なのですよ。皆、信頼出来る人だし、梓たんからしても聞いて貰いたいなって。

 あ、勿論、重たい話だから無理して聞けって皆に言う訳じゃないんだけど」


「・・・私は、蜂須賀さんがそう言うなら聞きます」


蜂須賀の言葉に真っ先にそう答えたのは幻中だった。


「私にも聞かせて。知りたい」


「私も蜂須賀さんが聞いて欲しいとまで言う話がどんなものなのか興味があるな」


「ボクも、聞きたい......です」


「私は眠いから動きたくない。何か話すなら好きにして」


最後の一人は何か違う気がするが、この場にいる全員が親父の昔話とやらを

聞くことを決定した。赤の他人の昔話に何故、興味があるのだろうとも思ったが

蜂須賀が関わっているというところに皆、興味があるのだろう。


「......分かった。それじゃあ、話すか」


そう言い、親父は話を始めた。長い、長い昔話の始まりであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ