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第二十三話 攻略

出発の号令から約一時間ほど過ぎた。

機関銃の乾いた銃声、兵士の雄たけび…間違いない、アルゲンだ。

ようやくついた、北方都市アルゲンに…。

富樫先遣隊は約五百であったが進軍中に他の基地との混成部隊が結成され一個師団約一万五百二十人にまで膨れ上がっていた。

対するオウェリナ主戦派は界政党の衛士隊と混ざりこみその数二万。

数では劣るが僕らは銃を持っている。

決して白旗はあげさせない。

こんなことを思っている間にも敵との距離は近づいている。


「見えた! 敵影だ!」


斥候の兵士が無線で伝えてきた。


「城塞都市アルゲン未だ健在、味方被害、甚大…。直ちに救援を、繰り返す直ちに救援を!」


アルゲン駐屯地の段々と重なる第二角までが陥落している。

富樫からも黒煙を確認することができたのであった。

光景を見た富樫はつかさず叫ぶ。


「全車全速前進! これ以上の殺戮を許すな!」


その瞬間、富樫が搭乗するパトカーの横を何台もの装甲車が通り過ぎていった。

その後ろに戦車が続く。

約三十台近い車両が敵陣に突っ込んでいった。


「僕らも行くぞ」


富樫はそう言うとアクセル全開で砂利道を進んだ。

オルゴはガガガガガと振動に耐えられないでいた。

一キロほど進むとアルゲンの市街地に着いた。

兵士の雄たけびは絶えず響いている。

装甲車は少し先に停車しており銃座から機関銃を放っていた。

他の兵士も開いたドアなどに身を隠して窓から銃撃を行っていた。


「ここに居ても意味はない、先遣隊とハリック基地兵士で駐屯地に突入するぞ。」


富樫が号令を出すと約二千人もの兵士が一斉に動き始めた。

富樫は走りながら拳銃に弾を込めている。

しばらくすると駐屯地の門に到着した。


「お前ら、準備はいいか?」


富樫が尋ねると兵士たちは無言で頷いた。


「よぉし、総員突撃にぃ…前へ!」


富樫が号令をかけると兵士たちは一斉に駐屯地に突入した。

途端に銃撃戦が始まった。

ほとんどの兵士が初陣であるが着々と敵を殲滅していっている、これも日々の厳しい訓練の賜物であろう。

富樫自身も拳銃で敵を倒していった。

その時だ


「撃て撃て撃て!」


アルゲン基地の塔の上から指揮官のアビオンが包帯に身を包みながら叫んだ。

その途端に富樫の周りに居た敵兵はものすごい勢いで倒れていった。

そう、アルゲン駐屯地には特務部の陸軍特殊作戦隊も駐屯していたのだ。

特殊作戦隊は攻守両面に優れ狙撃隊、突撃隊、護衛隊の三つから構成されている。

今の銃撃はアビオンが狙撃隊に出した指令であり一発も味方に当たることはなかったのだ。


「よし、突撃隊は門を開け突撃を敢行せよ。トガシ様の先遣隊と駐屯地内に居る敵を一人残らず無力化すべし。」

「了解。行くぞ!」


直ちに突撃隊は門を開けて一斉に走り出した。

走りながら敵に照準を合わせて静かに殲滅していく様はまさに忍びそのものである。

富樫の先遣隊も負けじと銃撃を行う。

程なくして敵は総崩れを起こし退却し始めた。

富樫たちはあえてこれを追撃することはなかった。

未だ作戦は中盤である。


「そろそろかな…。」


富樫がそう言うと駐屯地の後方からバタバタバタとプロペラの音が響いた。

航空軍の戦闘ヘリ隊である。

コブラとアパッチで構成されその数十機。

戦闘ヘリ隊はたちまち機銃掃射を開始した。


「撃ち方始め!コブラは機関銃、アパッチは対金属ミサイルで敵を殲滅せよ。」


続いて対金属兵器ミサイル(事実上の対戦車ミサイル)を何発も投入した。


「ファイヤー。」

「敵部隊中央への命中を確認、撃ち方止め。」


弾幕は解かれ砂煙だけが残った。

生き残った敗残兵は一斉に都市正面の門へと急いで逃げた。

門は開いたままになっているがその先は砂煙で確認が取れない。


「あと少しで、逃げられる!」

「何人殺したって逃げりゃぁこっちのもんだ!」


敗残兵の数はおよそ四千人ほどで主戦派は指揮官を失った今、指揮能力を持たないただの武装組織。

もはや富樫達の敵ではない。

サリエール軍の作戦方針は殲滅から捕縛へと移行した。


「皆見えたぞ、門だ! もう少しで逃げられる。」


敗残兵がそう叫んだ瞬間、正面のもんにかかる砂煙が晴れた。

砂煙が晴れて門の向こうからは夕陽が差し込んできた。

敗残兵たちは光に耐えられず思わず目を瞑った。

しかしその夕陽は敗残兵の逃亡を許すものでは無かった。

門の先に居たのは何とオウェリナ帝国講和派の兵士達であった。

さらに講和派部隊の指揮はメイジが執っていたのだ。

すかさずメイジは叫ぶ。


「総員、検挙!」


その途端、兵士たちは四方向から敗残兵に食って掛かった。

一週間にも続く戦闘はこうして幕を閉じたのであった。


~サリエール帝国首都サリエール宮殿~


「よし…準備は整った。僕の時代の始まりだ。」


セドリックは宮殿内にあるトガシの執務室で富樫のいすに腰掛けながらそう言った。


「トガシ様、長い戦いが始まりそうですねぇ、僕は楽しみでなりませんよ貴方と剣を交えて…そしてすべてを奪ってやりますよ、かつての僕みたいにアンタらサリエールがやったこと全てし返してやるよ。」

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