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『恋愛しません!……って言ってるのに、攻略対象が近づいてきます』  作者: ルミ
第1章 恋愛しないはずの学園生活

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弟の特権、幼馴染の受難!?

学園生活、三日目の放課後。


授業を終えた私は、リオンとの待ち合わせ場所へ向かっていた。

待ち合わせ場所は、学園の中庭に面した、人通りの少ない回廊だ。

今日は朝からリリアやローゼリア様とお話しできたし、お昼にはノアにもリリアを紹介できた。

うん!今日も充実した一日だったなぁ。


そんなことを考えながら歩いていると、聞き慣れた声がした。


「姉様!」

振り向くと、リオンがこちらへ歩いてくるところだった。

「あっ、リオン!」

思わず手を振ると、リオンは嬉しそうに微笑んだ。

「お待たせしました。お迎えに参りました」

「ふふ。ありがとう!」


近づいてきたリオンを見上げて、私は改めて思う。


……大きくなったなぁ。


四年前は、私の肩にも届かなかったのに。

今では、少しだけ見上げなければ目が合わない。


「姉様?どうかなさいましたか?」

「ううん。ただ、リオンって本当に背が伸びたなぁって」

そう言うと、リオンは少し得意げに笑った。

「姉様を追い越してしまいましたからね」

「そうだねぇ。昔はあんなに小さかったのに……」

しみじみと呟くと、リオンがくすっと笑う。

「姉様。それ、最近よくおっしゃいますよ」

「だって、本当なんだもの!」


私は背伸びをして、リオンの頭に手を伸ばした。

すると、リオンは何も言わずに少し身を屈めてくれる。


「ふふ。ありがとう!」

さらさらの髪を撫でると、リオンは気持ちよさそうに目を細めた。

「……やっぱり、姉様に撫でていただくのは好きです」

「もう、リオンったら!」


こんなに大きくなっても、甘えん坊なところは変わらない。

可愛いなぁ、もう!


「……楽しそうだね」


不意に聞こえた声に振り向くと、ノアがこちらへ歩いてくるところだった。


「あっ、ノア!」

ノアは私たちを見て、少しだけ眉を上げる。

「リオン、迎えに来てたんだ」

「はい。姉様と一緒に帰る約束ですので」

リオンはにっこり笑った。

「ノア兄様も、ご一緒にいかがですか?」

「……ああ。途中までなら」


ノアが私の隣に並ぶ。

「ティア、今日は楽しかった?」

「うん!すっごく!」

そう答えると、ノアは柔らかく笑った。

「そっか。それならよかった」


その笑顔を見て、私も嬉しくなる。

やっぱり、ノアと一緒にいると落ち着くなぁ。


「姉様」

リオンが私の袖を、ちょん、と引いた。

「ん?なあに?」

「少し、お願いがあるのですが」

「お願い?」


リオンはちらりとノアを見たあと、少しだけ首を傾げた。


「……久しぶりに、抱きしめていただいてもいいですか?」

「えっ?」

思わず瞬きをする。

リオンは少し照れたように笑った。

「最近は、姉様とゆっくり過ごす時間が減ってしまいましたから」


……そう言われると、確かに。

学園が始まってから、以前より一緒に過ごす時間が少なくなっている。


「もちろん!」

私は両手を広げた。

「おいで、リオン!」


すると、リオンは嬉しそうに身を屈めて、そっと私を抱きしめた。


「……ありがとうございます、姉様」

昔とは違う、少し低くなった声が耳元で聞こえる。

でも、私にとってはずっと可愛い弟だ。

「ふふ。いつでも甘えていいんだからね?」

そう言って背中をぽんぽんと叩くと、リオンは小さく笑った。

「……はい」


そのとき。


「……リオン」


ノアの声がした。

「はい、ノア兄様?」

リオンが私から離れて、にっこりと微笑む。


ノアは何か言いたげに口を開きかけたけれど、結局、小さく息をついただけだった。

「……いや。何でもない」

「そうですか?」

リオンは首を傾げる。

それから、何かを思いついたように口元を緩めた。


「……弟でよかったです」


「…………」


ノアが黙り込んだ。


……ん?


「リオン?どういう意味?」

私が尋ねると、リオンは何でもないことのように答えた。

「姉様に、こんなふうに甘えられますから」

「ふふ。そんなの、当たり前じゃない!」


リオンは満足そうに微笑む。

一方のノアは、なぜか少し困ったような顔をしていた。

「ノア?どうしたの?」

「……いや。リオンは、なかなか手強いなと思って」

「えっ?リオンが?」

思わずリオンを見る。

リオンは、いつもの優しい笑顔のままだ。

「ふふ。ノア兄様には、まだまだ敵いませんよ」

「……そうかな」

ノアが苦笑する。


……二人とも、何の話をしているんだろう?

首を傾げる私を見て、リオンが楽しそうに笑った。

「姉様、そろそろ帰りましょうか」

「あっ、そうだね!」


私は二人を見上げて微笑んだ。

「ノアも、一緒に帰ろう!」

ノアは一瞬だけ目を丸くしたあと、いつもの優しい笑顔を浮かべた。

「……うん。喜んで」


こうして私たちは、三人並んで歩き出した。

隣では、リオンとノアが何やら小声で話している。


「……リオン。わざとだろ」

「何のことでしょう、ノア兄様?」

「……本当に、いい性格になったね」

「ふふ。ノア兄様のおかげかもしれません」


……ん?

何だか楽しそう。


「二人とも、何のお話?」

そう尋ねると、二人は同時にこちらを向いた。

「何でもないよ、ティア」

「はい。姉様は気になさらないでください」


……むぅ。

二人だけで秘密のお話なんて、ずるい!


「姉様、明日も一緒に帰りましょうね」

「うん!もちろん!」

「……ノア兄様も、よろしければ」

「……最初から誘ってくれないかな」


リオンは楽しそうに笑った。


……二人って、本当に仲良しだなぁ。


そう思いながら、私は二人と並んで帰り道を歩いた。

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