188話 交換終了
少し待っていると、バインダーにトレード画面が映し出された。自分の持っているカードの一覧が表示されている。
相手に提示するカードを、自分で選ぶ形式であるらしい。向こうのカードリストなどは特に見れない。
まあ、ここで所持カードの一覧を見れてしまうと、相手の戦力が丸わかりになってしまうからだろう。いつ敵対するかもしれない相手に情報は渡せないし、セルエノンにしたらマシな配慮だ。
「えーっと、これはどうしたらいいでしょうね……」
「どんなカードがあるんだ?」
「ちょっと待ってくださいね。まずは、試しに一枚トレードして見ましょう。このカードとか、どうでしょうか?」
トレードに出してもいいカードを、ユイが選択したらしい。すると、俺のバインダーにそのカードが表示された。
「こんな強いカード、いいのか?」
「え? 勿論です。お礼ですから!」
「あー、そうか」
ユイが提示してきたカードがこれだ。
神鳴る獣 モンスター:魔獣
緑8 7/2 SR
先制、瞬発、貫通、飛行、破呪、再生:1
モンスター、オブジェクトの持つ能力、スキルの対象にならない。
雷を纏った、白い鹿のようなイラストが描かれている。
コストは重いものの、メチャクチャ強いモンスターだった。
このカードが登場した当時、手札のモンスターをフィールドに呼び出すスペルがあり、こいつが開始3ターン目に出ると言う悪夢のようなデッキが流行ったことがある。
大会では、半分くらいがこいつを使ったデッキだったのだ。すぐに修正が入ったし、対策が組まれて弱体化したけどな。
それに、そんなスペルがなくとも、こいつの性能は凄まじい。破呪と特性のおかげで、外部からの攻撃では倒れにくく、戦闘で負けることも稀。一度フィールドに出てしまえば、排除が難しいのである。
それはこっちの世界でも同じだろう。特に俺が驚いたのは、このモンスターがいるとクラウドローズの優位性が一気に崩れることだ。神鳴る獣にはクラウドローズの特殊能力が通じず、直接戦闘でもこいつの方が強い。
俺がユイの立場だったら、絶対に渡さないだろう。
いや、マジでいいの?
逆に裏がないかと心配になる。
「じゃあ、こっちから出すカードは何がいいかね?」
「いえ、待ってください。これでトレードできそうですよ」
ユイがそう言った直後、俺のバインダーにトレードを開始すると表示された。なんと、一方的にもらい放題ってことか?
そう思ったら、どうやらそう都合よくはいかないらしい。無償譲渡可能カード、残り2枚と表示されたのだ。
なんの対価もなくタダで貰うカードは、上限が3枚までと決められているらしい。
「だったら、これとこれが強いと思いますけど、どうでしょうか?」
木偶の成る樹 緑6 SR オブジェクト
このオブジェクトが存在している間、毎日0/1の木偶兵士を1体生み出す。
このオブジェクトを生贄に捧げる、1時間の間、木偶兵士を+1/+0強化する。
あなたのフィールドに存在できる木偶兵士の上限は20体までとする。
※木偶兵士 0/1 生贄に捧げると、対象の行動を阻害する。
バルツの森の主 モンスター:獣
緑6 4/4 R
瞬発
このモンスターが場にいる限り、貴方が支配する他の「バルツ」と名前が付く獣モンスターは+1/+1強化
「また強いのが……」
木偶の成る樹は労働力も確保できるうえに、戦闘でも役に立つ。本当に有り難いカードだ。
木偶の能力が少し気になるか? 生贄に捧げると、対象の行動を阻害する。とあるが、地球では『対象は1ターン行動ができない』だった。
クレナクレムに直すなら、1時間や1日、行動ができないとなるはずだ。それが単に行動を阻害する? 多分、そこまで強力な拘束力ではないってことだろう。
まあ、それでも十分強いけど。
さらに、バルツの森の主である。2体目が手にはいるのであれば、本当に有り難い。主同士でも特殊能力が作用しあうし、2体出ればバルツビーストが+2/+2だからな。
「本当に、いいんだな?」
「はい。じゃあ、送りますよ?」
「お、おう」
そして、この2枚も送られてきた。これで3枚の強力カードをもらってしまったことになる。
「それで、どうしましょう。まだ色々と良さげなカードがあるんですけど、まだ続けますか?」
「あー、そうだな。トレードのシステムも少しチェックしておきたいし」
「あ、そうですね」
その後、2人でカードを選びながらトレードシステムを調べて行った。
まずカードにはポイントが設定されている。Cが1点。UCが5点。Rが15、SRが45。LRが200。
これが釣り合う様に互いにカードを選び、同じポイントであればトレード可能となるのだ。
例えば、SRカードなら、Cカード45枚出せばトレード可能ということになる。こっちの世界ではCのカードも強いからつりあっている気もするが、地球なら絶対にありえないレートだろう。
どこの馬鹿がSRカードをコモン45枚なんぞと引き換えるというのだ。
そして、俺が向こうから貰ったカードがこれだ。
聖なる樹の幼木 モンスター:植物
緑5 0/6 R
不動:全ての行動が不能。能力強化の対象にできない
このモンスターはオブジェクトでもある。
毎日、聖なる実を2つ生み出す。
※聖なる実 オブジェクト 使用すると対象のモンスターのダメージを1回復
樹木の竜 モンスター:竜、植物
緑X X/X R
貫通、再生:5
召喚された翌日、緑Xを支払わなければこのモンスターを墓地に送る。
バルツの森の大牙 モンスター:獣
緑3 3/1 C
バルツの森の大牙 モンスター:獣
緑3 3/1 C
バルツの森の偵察者 モンスター:獣
緑3 2/1 C
先制
ミノタウロス・フラッグウェイバー モンスター:ミノタウロス
緑3 1/2
緑1:あなたが支配する全ての「ミノタウロス」は、1時間+0/+1強化を得る。
ツリーバインド 緑2 C スペル
対象に1点ダメージを与え、その後1時間行動不能にする。
堆肥のスライム モンスター:粘精
緑2 0/1 C
アタックする代わりに、対象の植物の生命を1点回復する。
シルバーシープ モンスター:獣
緑2 0/1 C
毎日、緑魔力1を生み出す
森梟 モンスター:鳥
緑2 1/1 C
飛行
フォレスト・ラプター モンスター:恐竜
緑3 2/2 C
瞬発
カラフルフルーツツリー モンスター:植物
緑3 0/3 C
不動、赤のスペルの対象になった場合、このモンスターを破壊する。
毎日、七色の果実を1つ生み出す。
※七色の果実 オブジェクト 使用すると対象のモンスターを1日の間+0/+1強化
ファイア・バレット 赤1 C スペル
対象に2点ダメージを与える。
バルツの森の見張役 モンスター:獣
緑3 2/2 UC
召喚時、2/2の獣モンスターを1体生み出す。
世界樹の木刀 緑4 UC オブジェクト
緑2:装備 このオブジェクトを装備するモンスターは+1/+3される。
計、51ポイントである。バルツの森の大牙は2枚あったので、両方ゲットしておいた。これでバルツデッキも組みやすくなった。
で、こっちから出したカードがこれらだ。
ノーザンライト・イーグル モンスター:魔鳥
白1黒1黄1 1/1 UC
飛行、先制
驚き蜥蜴 モンスター:蜥蜴
赤1 1/1 C
蛮勇:毎ターン必ずアタックをしなければならない。ブロック不可能
アンデッド・ポーン モンスター:死霊
黒2 1/1 C
狂奔
スティールスケアリーフット モンスター:水魔
青2 1/3 C
青1:1時間の間、+0/+1強化される。
腐臭のするゾンビ モンスター:死霊
黒1 1/2 C
挑発
キャンドルゴーレム モンスター:無機
赤3 3/3 C
毎日零時、永続的に-1/-1弱化される。
海神の鐘楼 青3 R オブジェクト
毎日、青の魔力を生み出すことが可能な土地を1つ対象にする。その土地は1日のあいだ、特殊効果を全て失う。
海棲のケルピー モンスター:魔獣
青2 2/2 C
あなたが青の土地カードを支配していない限り、このカードはフィールドに存在できない。
狂った溶岩ゴーレム モンスター:無機
赤1 3/1 C
死亡時、あなたとあなたのコントロールするモンスター全てに5点ダメージを与える
アイスゴート モンスター:獣
青2 1/2 C
青のスペルの対象にならない
白の壁 モンスター:無機
白2 0/3 C
防衛:アタックが出来ない
ユニコーン・ワイバーン モンスター:霊獣
白5 4/2 R
飛行、先制、毒無効、天光
無差別の死霊騎士 モンスター:死霊
黒1 3/1 UC
アタック時、ダイスを振る。3以下だった場合、アタックをせず、あなたに3点ダメージを与える
タイダル・イグアナ モンスター:鱗種
青1 1/2 C
ファイア・オーガ モンスター:鬼
赤4 3/1 C
蛮勇:戦闘になった際、必ずアタックをしなければならない。このモンスターはブロック不可能。
このモンスターを支配するプレイヤーに、毎日1点のダメージを与える。
最初はいらないカードでいいと言われたので本当に不要な雑魚カードを選んでいたんだが、途中でちょっと罪悪感を覚えてしまった。向こうは本当にいいカードばかり放出して、こっちはこれでいいのか?
今後、上手く付き合っていけるかも知れない相手に、ここまで不平等なトレードをしては、しこりを残すかもしれない。
そんなことを考えて、とりあえずユニコーン・ワイバーンとノーザンライト・イーグルを入れることにした。
申し訳程度だが、ゴミばかりよりはマシだろう。実際、ユイもかなり喜んでいるからな。クラウドローズや絨毯と違って、毎回のコストがかからない飛行手段が欲しかったらしい。
風邪が悪化しました。次回の更新はお休みさせてください。申し訳ありません。




