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183話 赤のカード


 門の前に急ぐと、そこではゼド爺さんたちが木材でバリケードを築きつつ、外を監視していた。


 門は赤のカード使いに破壊されてしまったので、その代わりなんだろう。


 一緒にモンスターたちの姿もあった。


「ゼド爺さん!」

「トール! 無事であったか!」

「かなり危なかったけどな……。そっちはどうだ?」

「うむ。何人かはやられてしまったが、モンスターたちのおかげで事なきを得たわ。助かったぞ」

「ゴオォォォ!」


 ゼド爺さんが、自分の隣にいたガルフ=ナザの硬い甲殻を軽く叩き、感謝の言葉を伝える。


 すると、岩の猪が体を震わせて、嬉しそうに鳴き声を上げた。


 共闘している内に、仲良くなったらしい。


「モンスターもだいぶ減ったな……」

「すまぬ。我らを守るために、ワイバーンたちも……」

「いや、爺さんたちの方が大事だ。それに、敵の特殊能力もあったからな」


 復讐の堕天使は、俺のモンスター全てに1点のダメージを与えるという能力を持っていた。そのせいで、ダメージを多少受けていたら倒されてしまったのだろう。


 ワイバーンは特に目立っていたし、最後まで生き残ることは難しかったはずだ。


「結局生き残ったモンスターは、こいつらだけか」


 ここに並んでいるのは石の巨兵、岩甲殻の大犀、黒煙火山の魔術師長、幻影の竜、蔦鼠、雷鳴の精霊、虎人の大剣士、ガルフ=ナザという、8体だけであった。


 敵の本隊に襲いかかっていたバルツの森の主ら獣組はどうなっただろうか? 同時に大量のカードが戻ってきたうえに戦闘中だったため、どのモンスターが生き延びているか、正直把握できていないのだ。


「よし、石兵が動いている間にバリケードを完成させちまおう」


 敵が体勢を立て直して、戻ってこないとも限らない。村の防衛力の立て直しは急務であった。


「では、石で左右を塞いでくれるか?」

「わかった! 石の巨兵! まずはあそこの岩を運んでくるんだ!」

「ゴコ!」


 働くのは石の巨兵だけではない。大犀、ガルフ=ナザもロープなどを繋ぐことで重い木材や石材を運ぶことができた。


 黒煙火山の魔術師長、虎人の大剣士は男たちの中に混じってバリケードを組む。


 意外にも大活躍だったのが蔦鼠だ。木材をロープや釘で繋ぎ合わせる際に、尻尾で仮押さえしておいてくれる。そのおかげで、バリケードの作成が非常にスムーズに進んでいた。


 幻影の竜、雷鳴の精霊はその辺の作業には向かないので、自警団と一緒に村の内部の見回りである。どこかに敵が隠れていないか、探す役目だ。


 そうこうしている内に、数人の村人たちが避難所から出て、こちらにやってくるのが見えた。戦闘が終了したという報告が届いたのだろう。


 その先頭にはカグートとディシャル様がいる。


「トール! 無事だったか!」

「ディシャル様も」

「ワフに助けられたんだよ。ワフ、介抱してくれたと聞いている。ありがとう」

「むふん!」


 ディシャル様に頭を下げたられたワフが、得意げに胸を張る。少しは謙遜したりしろ!


「カグート。ロイドはどうだ?」

「まだ寝てるよ。命に別状はないと思う。あいつも、トールさんが助けてくれたんだろう? ありがとうな」

「いや、俺の方こそロイドには命を救われたんだ。礼を言いたいのは俺の方だ」

 

 そうだ。ロイドが割って入ってくれなければ、俺は堕天使に殺されていたはずだ。


 俺の命の恩人と言うだけではない。ロイドのおかげで村が救われたと言っていいだろう。


「……あいつは、この村にきた時には酷い状態でなぁ。笑いもせず、ただ生きてるだけだった。それが、最近は少し変わってきたんだ。生き生きとしてきて……。これからなんだよ。あいつの人生は」

「そうだな」

「だから、やっぱりありがとう。ロイドの奴を救ってくれて」


 カグートが改めて頭を下げる。その姿を、俺は不思議な気持ちで見ていた。


 ロイドを助けたことで、村の人間が喜び、礼を言う。あのロイドが、この村の人たちに受け入れられているという証であった。


 俺を助けてくれた時の姿を思い出す。


 カグートの言う通り、俺が知るロイドとは大きく変わっていた。あのロイドであれば、きっとこれからの人生を、しっかりと生きていけるだろう。


 そんなことを考えていたら、何故かこの村を守ったのだという実感が湧き上がってきた。カグートたちの無事な姿を見た時よりも、はっきりと。


 なんでだろう? 明日や、その先があるのだということを意識したからだろうか?


「ま、今はバリケードを完成させてしまおう。カグートたちも手伝ってくれ」

「任せてくれ! 力仕事ができるやつを連れてきたんだ」


 女性たちは炊き出しを。他の男たちは怪我人の救護と、死体の確認に向かっているという。


 皆で次に備えて作業をしていると、バインダーが強い光を放つのが見えた。木材を運びながら、とりあえず何が起きたかを確認する。


「ああ、そうか……。赤のカード使いに勝った報酬か」

『選択されなかったので、呉井衿緒のデッキカードから8枚、ランダムで柳木透様に所有権が移りました』


 赤のカード使いの名前は呉井衿緒か。やはり日本人だよな。ざっと見ると、良いカードもあれば、封印確定のカードもあった。しっかり選べば、使えるカードもゲットできていたかもしれんのに……。


「過ぎたことをグチグチ言っても仕方ないけどさ……」


 見た感じ、エリオのデッキは初期デッキのままではない。最低でも1周はさせている。俺のように森の中で細々と活動していたのではなく、傭兵団のサポートがあったのだ。


 派手に活躍し、試練もバンバン達成してさっさとデッキを使い切ったのだろう。


「となると、エマの方も使えそうなカードが多いかもしれん」


 そっちに期待するとしよう。


 因みに、手に入ったカードは以下の通りだった。



大爆炎 赤4 UC スペル

詠唱、対象に5点のダメージを与える


クリムゾン・ラグナロク 赤8 R スペル

全てのプレイヤーとモンスターに、5点のダメージを与える。全ての土地カードを破壊する。


火炎喰らいの竜 モンスター:竜

赤5 4/4 R

飛行、赤のスペルの対象になった場合:そのスペルを打ち消し、このモンスターを1時間の間、+2/+2強化する。


ファイア・オーガ モンスター:鬼

赤4 3/1 C

蛮勇:戦闘になった際、必ずアタックをしなければならない。このモンスターはブロック不可能。

このモンスターを支配するプレイヤーに、毎日1点のダメージを与える。


ファイア・バレット 赤1 C スペル

対象に2点ダメージを与える。


不死鳥の槍 赤5 SR オブジェクト

赤2:装備 このオブジェクトを装備するモンスターは+2/+1されるとともに、再生:1、飛行、『赤スペルの対象になった際にそのスペルを打ち消す』を得る。


火吹きリス モンスター:獣

赤2 0/1 C

攻撃する代わりに、対象に1点のダメージを与える。


魔導砲台 無色6 UC オブジェクト

X:対象にX-1点のダメージを与える。


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― 新着の感想 ―
北の領地寒そうだし温かくなるようにクリムゾンラグナロク使うのもありだな クソ領主が生息する地域だし戦争好きも集まってるから消毒しとけ
[一言] >クリムゾン・ラグナロク 環境破壊カードか、元ゲーならブラフにも使えるのだろうが…
[気になる点] 石の巨兵、岩甲殻の大犀、黒煙火山の魔術師長、幻影の竜、蔦鼠、雷鳴の精霊、虎人の大剣士、ガルフ=ナザ... えっと、「8」体ですよ蔦鼠あたり2匹いましたっけ? クリムゾン・ラグナノクw…
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