182話 聖霊復活
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申し訳ありません!
聖霊復活に必要なポイントは100。俺の保有ポイントは101。さっき有効化した試練で、気付かぬうちに達成していたらしい。
ギリギリ足りている。
「ポイントを支払う!」
俺は、早速聖霊復活を行うことにした。
本当はこのゴタゴタが終わるまで待った方がいいのかもしれない。ワフが復活しても、強化カードの効果が残っているかどうかも怪しいのだ。
だが、どうしても待っていられなかった。
今すぐにでもワフに会いたい。これを先に延ばしたら、気になり過ぎてまともな判断ができそうもない。だから、ワフの復活を試みるのは、決して間違いではないのだ。
自分にそう言い訳をしつつ、俺はバインダーから聖霊の復活を選択した。
「おおぉ……!」
俺の腰に下げられていたデッキケースが、白い輝きを放つ。見ているだけで癒されるような、美しさと柔らかさを兼ね備えた光だ。
そして、その光が成形中の飴細工のようにグニャグニャと形を変えていき、次第に色を帯びていく。
最後に放たれた一際強い光が収まった時、そこには気持ち良さげに寝息を立てる、可愛らしい犬耳幼女の姿があった。
本物の仔犬のように体を丸めて眠るその姿を見ていると、また視界がぼやけてくるのが分かった。
俺って、こんなに涙もろかったっけな?
「ワフ……」
俺はスヤスヤと寝息を立てるワフを、思わず抱きしめていた。
「むにゃ――げぶぅ!」
「ワフゥ!」
「にゃ、にゃにが……主? そんな、急に寝込みを襲われても困りますぞ!」
「お、襲っとらんわ!」
幼女が頬を染めるな!
「それよりも、まだ戦場なんだ。寝とらんで自分で歩け!」
「む? ワフは、どうして寝てたのでしたかね?」
「お前は……」
ワフ本人に、堕天使に吹き飛ばされて死んだのだと教えていいのだろうか? その時の記憶がフラッシュバックして、パニックになったりしないか?
俺が少し躊躇していると、ワフが大きな声を上げる。
「おお! 思い出しましたぞ! 強敵と相打ちになったのでしたな!」
「そ、そうだ」
「主! お怪我はありませぬか?」
「ワフのおかげで、大丈夫だよ」
「そうでありますか! うむうむ、敵も倒せて主も無傷! ワフ、大活躍でありますな!」
「自画自賛かよ」
カラカラと笑うワフに、ショックを受けているような気配はない。心配する必要はなさそうだった。
「はっ! 主! こんなことをしている場合ではござらぬぞ! ここは戦場! 気を抜いては即ち死!」
「へいへい」
復活してもワフはワフだった。記憶も性格も、全く同じだ。
森の精霊の加護などの強化は全て消えてしまっているらしい。そのせいで体の感覚が変わってしまったらしく、駆け出そうとしていきなりこけたので驚いた。
「ワフ、またあれを装備しておけ」
「分かりましたぞ!」
堕天使が消えた場所に、まだ電撃の大剣が落ちている。俺は魔力を支払い、装備者をワフに指定した。ワフが問題なく大剣を拾い上げる。
これで、とりあえずの攻撃手段は得たぞ。鞘代わりの拡張袋も拾い直し、準備は万端だ。
「石の巨兵! このまま村の中の盗賊たちを排除していくんだ!」
「ゴコ!」
あと50分程度は動き回れるはずだ。敵にカード使いがいない状況であれば、そうそう負けはしないだろう。
それに、これは目印でもあった。
「モンスターたちも集まってきたな」
エマが死んだことで解放された幻影の竜や、堕天使に置き去りにされていた雷鳴の精霊が集まってきたのだ。
それだけではない。
「トールさん!」
「……トールさんだ!」
周辺でまだ戦っていた自警団たちや、隠れていた一部の村人が、石の巨兵目がけて集合し始める。
村の人たちは、石の巨兵が動くところを1度見ているからな。こいつを見て逃げるか攻撃してくるのは、全部敵だと思っていいだろう。
「ゼド爺さんたちは無事なのか?」
ワイバーンが戻ってきたことは確認している。だが、まだガルフ=ナザが一緒にいるはずだ。それに、爺さんたちの装備しているカードも戻ってきていない。まだ生きていることは間違いなかった。
「ロイドやディシャル様も……」
「ロイド殿とディシャル殿は、カグート殿に預けておきましたぞ!」
「そうか。それはよかった」
俺たちは村人を守りながら、村の中を進む。どうやら傭兵たちはすでに退却を開始しているらしく、周囲に姿は見えない。
そのまま村の中央付近に到達した時であった。
「主! あれを!」
「あれは――エミル! おおーい!」
「トールさん! ワフちゃん!」
こっちへ向かってくるのは、数人の村人を先導するエミルだ。一見すると、大きな怪我はなさそうだ。
「無事だったんですね!」
「そっちも! ゼド爺さんはどうした?」
「お爺さんは、岩の猪さんや大剣士さんと一緒に、村の門を守っています」
ゼド爺さんも元気だったか。
「敵は?」
「逃げました! それで、私は戦えない人を連れてトールさんたちに合流するように言われたんです」
敵は完全に退却したらしい。かなりの被害は出てしまったが、なんとか勝利できたようだった。
珍しくこの作品にレビューをいただいてしまいました! ありがとうございます。
2020年、初レビューですね。
今年もよろしくお願いいたします。




