166話 村の危機
本日2話目です。
誤って、1話飛ばして更新してしまいました。申し訳ありません。
この前に165話を割り込み投稿しました。
闇の精霊を救った後。俺たちはソルベスの村に戻るために、ルートを引き返していた。
昨日の内に、すでに樹海は抜けている。あと半日もあれば、村に辿り着けるだろう。まあ、夜通し歩くのも難しいので、今日は森林地帯で野営だが。
そうして野営に適した場所を探していると、俺の配下のモンスターたちが何かに反応して動きを止めた。
「ど、どうした?」
「ガオ!」
俺の問いかけに、虎人の大剣士が空を指差して応える。その先を見ると、何かがこちらに向かって飛んでくるのが見えた。
少しずつ大きくなってくるその飛行体は、明らかにこちらに近づいてくる。だが、敵ではなかった。
「ポルターガイストメイド?」
村に残してきたはずの、ポルターガイストメイドである。彼女が、一直線にこちらに向かってきていた。
そして、発見した俺に突進してくる。
「ウアア!」
「ど、どうしたんだ?」
「ウアァァァ……!」
その様子からは、激しい焦りと悲しみが感じられた。
「もしかして、村に何かあったか?」
「ウア……」
狂乱状態のメイドさんはメチャクチャ怖かったが、なんとか落ち着かせて状況を聞き出す。どうやら、村に大規模な襲撃があり、かなり危険な状態であるらしい。
死人は出ていないそうだが、大怪我をした人間が出ているようだ。
メイドさんは俺たちへの伝令として、村から飛んできたのだろう。
「急いで、村に戻ろう!」
「そうですね」
厳しい顔のディシャル様の言葉に、俺も頷いた。
ただ、どうやって帰るかが問題だ。
樹海を進む? それとも、急がば回れの言葉通り、樹海を避けて戻るか?
ペガサスで飛んで帰れば早いんだが、全員は運べないだろう。それとも、俺やディシャル様だけで先に戻るか?
ディシャル様に相談すると、少し悩んだ後に自分だけでも先に戻れないかと言い出した。まあ、心配は分かるけど、さすがにディシャル様だけを送り出すわけにもいかない。
やはり、俺とディシャル様がペガサスで帰還するのが……。
「いや、待てよ」
手札を確認して、ペガサス以外にも足があることを思い出した。
「比翼のワイバーンを喚び出せば……」
長い事、切り札として温存し続けてきたモンスターだ。
比翼のワイバーン モンスター:亜竜
黄5 3/2 UC
飛行。フィールドに出た時、3/2飛行のワイバーンを生み出す。
1枚で2体のワイバーンが召喚されるカードである。バルツの森の見張役と同じ能力だな。今使わず、いつ使うというのか!
「飛行可能なモンスターを召喚します! こいつらがいれば、モンスターも一緒に運べるはず!」
「本当かい? それは是非頼む! どれくらいの戦いになっているか分からないけど、戦力が多いにこしたことはないからね!」
「はい! 少し下がって下さい」
そして、俺は比翼のワイバーンを召喚した。魔法陣の中から、黄色い鱗を持った巨大な存在が、勢いよく飛び出してくる。その直後、さらにもう1体が同じように召喚されていた。
全長7、8メートルほどの翼竜たちが、俺の前で遠吠えのように声を上げている。
「キュオオオォォン!」
「キュオォ!」
腕と翼が一体化しており、体は飛行するためなのか非常に細い。尾の先がヘラのように広がっているが、飛行に適した形なのかね? 顔もやや細面で、流線型だ。少し蜥蜴っぽいかな?
だが、竜としての迫力が損なわれた訳ではない。
硬い鱗と、鋭い視線。そして全身から発する威圧感が、この2体が強力な存在であると物語っている。
「す、すごいじゃないか! まさか亜竜? こんな魔獣まで使役できるとは……」
「さ、さすがトールさんだぜ!」
「す、すげぇっす!」
ディシャル様だけじゃなくて、他のみんなも色めき立ている。ゼド爺さんやエミルまで、驚く側だ。
「トールよ! これは見事だな!」
「わ、私も驚きましたぁ!」
どうも、竜種というのは俺が思う以上に特別な存在であるらしい。亜竜でも偽竜でも翼竜でも、竜種を使役できるかどうかが一流と二流の差でもあるようだ。
それを2体同時に召喚できる人間など、本当に一握りであるらしい。
「ふっふーん! 主でありますからな!」
自分のことのように胸を張っているワフの頭をグシグシと撫でてやると、俺はワイバーンたちにどの位の重さなら運べるか、尋ねてみた。
どうやら背中に3人程度であれば、飛行が可能であるらしい。それ以上は、一気に飛行能力が落ちてしまうようだ。重装備の大人なら2人までだろう。
「ペガサスには俺、ディシャル様。ワフ。コボルトの狙撃弓兵。ワイバーンには……」
「儂もいくぞ」
「私もですよ!」
「まあ、そうだな。ゼド爺さんとエミル、あとはコボルトの探検家か」
エミルとコボルトなら1人分に考えていいだろう。残った1匹には、虎人の大剣士とコボルトの工作屋を乗せればいい。こっちも、超重量級の大剣士と、小柄な工作屋で丁度良いだろう。
「それでは、すぐに移動開始だ!」
「テントなどは全部残していく。みんな、後始末を頼む!」
「はい! 分かってます! トールさん! ディシャル様をよろしくお願いしますね!」
「了解!」
自警団の男たちは陸路で戻ってもらうことになった。ミノタウロスを案内につければ大丈夫だろう。
俺たちは彼らに見送られながら、空へと飛び立つ。
「メイドさん! 案内してくれ!」
「ウア!」
俺たちが戻るまで、無事でいてくれよ!
マンガよもんが様にて、コミカライズが公開中です。
次回の更新は30日予定です。




