147話 ソルベスでの召喚の日々
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ディシャル様と面会し、ソルベスの本当の住人となって5日。
まあ、村の人たちは元々俺たちを受け入れてくれていたので、特に変化はなかったけど。
ディシャル様の小屋で遠慮なくカードを使用できるようになったので、日々召喚を行うことができている。
他にも、色々なところでカードを使っていた。村長などは俺が強制成長を使ったところを見ているし、不思議な力を使う魔術師であると認識されたらしい。
ディシャル様と面会した翌日、大怪我をした村人たちが運び込まれてきたのだ。この村にも薬師はいるが、彼でも手の施しようがない者たちがいたのである。
そこで、俺ならどうにかできるのではと考えたらしい。
患者は、ガタイの良い男たちであった。元冒険者で、今は村の警備兵として働いている者たちだ。
彼らは町へと物資の買い出しに向かっていたのだが、帰りに盗賊に襲われてしまったのだという。
5人中、4人はコボルトの薬師の作っていたコボルトポーションで何とかなった。このポーション、テキストに書かれた数値上だと生命力を1点回復してくれるはずなんだが、実際はもっと効果が弱かった。
最低値だから1と表示されているが、実際は0.2とかそのくらいだろう。それでも、いくつも使えばちゃんと傷を治せるし、普通の傷薬よりは効き目があるんだけどね。
その代わり、メチャクチャ沁みるし、メチャクチャ臭いけど。
問題は最後の1人だった。ポーションがもうないうえに、瀕死の重症だったのだ。これには俺の生命回復で対応しておいた。
本当は生命循環の蛇の能力が使えればよかったんだけど、前日の夜にワフの頭のたんこぶを直してしまったせいで、再使用が間に合わなかったのだ。
うん、今後はもっと慎重に能力を使おうと思ったね。
翌日に使おうと考えたのが、前日に生命回復のドローで入手した霧豹だ。
霧豹 モンスター:魔獣
黄4 3/2 UC
浮遊、瞬発、擬態
白い霧を身に纏った、乳白色の豹のイラストが描かれている。ただ、単に霧を纏っているのではなく、体の一部と霧の一部の境があいまいだった。
体を霧化できるってことなのだろうか? そう考えれば、浮遊の能力も理解できるし。
ただ、霧豹の前に使わなきゃいけないカードがあった。以前から手札にあった、風霊の宝玉珠だ。
風霊の宝玉珠 黄2 UC オブジェクト
毎日、黄魔力を2生み出す。2日後破壊される。
黄色デッキでは非常に使いやすいカードだが、このデッキだと少し持て余していたカードでもある。下手に使うと、無駄が多いのだ。
ただ、今なら黄色魔力をつぎ込めるカードが手札に複数枚あるし、使い時としては悪くないだろう。
風霊の宝玉珠を召喚した俺は、生み出された黄色魔力を使い、霧豹を召喚した。その姿はメチャクチャかっこいい。白い霧を纏ったクリーム色の豹だよ? しかも、虎サイズ。
ワフと灰色狼が嫉妬するくらい撫でまわしちゃったぜ。
霧豹は猫科同士だからなのか、虎人の大剣士と相性が良いようだった。翌日からは、一緒に行動しているのをよく見かけたのだ。
この時のドローが、また面白い引きをしていた。清らかなる噴水と鉱石発見だったのだ。
清らかなる噴水 青1 C オブジェクト
毎日1回、青モンスターのダメージを1回復する。
鉱石発見 無色4 UC スペル
詠唱、3日間、零時になる度に好きな色の魔力を2点生み出せる。
鉱石発見は、町でもお世話になったカードだ。発動するのにどんな色の魔力でも使用でき、好きなマナを補充できるので、戦略の幅が大きく広がる。
もう1つの清らかなる噴水は、効果自体は全く意味がない。何せ、青のモンスターを1匹も連れていないのだ。
だが、重要なのは噴水であると言うことだろう。聖なる泉と同系統のカードであるならば、無限に水を生み出してくれるはずだった。
上手くいけば、村の水源が1つ増える。今は、水量の少ない井戸から節約しつつ、汲み上げている状況なのだ。
井戸は3つほどあるんだが、2つは枯れ井戸である。百年以上前に、枯れてしまったそうだ。
俺はディシャル様、村長と相談して、翌日に井戸の中に噴水を設置することにした。外に置いてしまうと、水気に誘われてハーピーが集まる危険があるからだ。
前日に緑魔力と黒魔力を使って使用しておいた鉱石発見で青魔力を生み出し、万能魔力を使わずに召喚できている。
狙い通り、井戸の底に無限に湧き出る噴水が設置され、村のみんなに非常に感謝された。濁りもなく、飲み水にも治療にも使えるということで、ディシャル様も驚いていたな。
さらに余った魔力で石の巨兵も召喚しておく。こいつも、土地などから生み出した色魔力で、万能魔力を使わずに喚び出せた。
鉱石発見で生み出した青魔力の内、噴水設置に使わなかった1点に、風霊の宝玉珠が生み出す黄色2点。さらに、土地から生み出された黒1、緑1の計5点だ。
ディシャル様に相談したところ、村の入り口に置いてはどうかということだった。盗賊がいつ村まで来るか分からない状況だからな。いい案だろう。
鉱石発見、清らかな噴水、石の巨兵のドローはそれぞれ、蔦鼠、バルツの森の見張役、灰色狼だった。
緑魔力がまだ2余っているので、立て続けに蔦鼠、灰色狼を召喚しておく。昨日、今日だけで大量のカードを使ったおかげで試練も達成である。
・モンスター40匹召喚:万能魔力2
ドローは、鬼人の浪人、黒闇の首飾りだった。
ただ、翌日はモンスターの召喚を少々控えることにする。それよりも、石の巨兵の性能を確認したかったのだ。
とりあえず黒闇の首飾りを召喚し、残りの色魔力で石の巨兵を起動することにした。こいつがかなり強い。
人間と変わらない動きをする、石の巨人なのだ。重い岩も平気で持ち上げ、投擲なども器用にこなす。稼働時間が1時間しかないが、それでもピンチの時には十分頼りになりそうだった。
そして5日目。
黒闇の首飾りのドローである、黒煙火山の魔術師長を召喚する。
黒煙火山の魔術師長 モンスター:竜人
赤4 2/3 SR
飛行、破呪(スペルの対象になった場合、そのスペルを打ち消す)。
赤2:対象に2点ダメージを与える。
アタックの代わりに、対象に2ダメージを与える。
飛行持ちで呪文に強く、遠距離攻撃までこなす。それでいて2/3だ。こちらの世界でなら十分近接戦闘での戦力になるだろう。
俺の目の前には、呼び出されたばかりの魔術師長がいる。枯れた様子の、老竜人だ。
赤いローブを身に纏い、左手には樫のステッキ。右手で長い髭を扱いている。目元の小さな丸メガネが、ともすれば恐ろしささえ覚える二足歩行の竜に、愛嬌と理知的な印象を与えていた。
「魔術師長。よろしくたのむぞ」
「ゴファ!」
やはり喋ることはできないものの、優雅に一礼するその姿からは、高い知性を感じることができた。
3巻が明日発売です!
よろしくお願いいたします。
活動報告にて、表紙のイラストを公開中! 文字無しのイラストはここでしか見れませんよ!




