34/50
閑話 そうして毒まみれの神話へ誘われた
少女は兄を失った。
その兄は嫌いだったから別にどうでもいい。むしろ嬉しいことだ。
少女には妹がいた。少女は姉だった。
妹は姉が大好きで、姉は妹を愛していた。
ある日、姉は妹を失った。姉も体を半分くらい失った。
事故だったと大人は言ったが、そんなことはどうでもよかった。ただとても悲しいことだった。姉は孤独な少女になってしまった。
だから少女は体をつくった。
そして少女は妹をつくった。少女は再び姉になれた。
また姉は妹を失った。今度は怒った。
戦って戦って、姉は妹を取り戻した。
その妹は妹ではなくなっていた。
――そして少女は目を覚ます。
「死より生まれるものを観測するもの――これが私たちの神話……です」
その少女は――




