48.親になる(サンシアからの手紙)
我が最愛の夫、チェーザレ様へ
お元気に過ごしていらっしゃるかしら?
スペイン女王から、いろいろお聞きしたわ。フランスの若き英雄を討ち取ったそうね。あの気難しい女王が珍しく上機嫌で、あなたのこと褒めてたわよ。本当に驚いたわ。 だってね、女王は、私が王の庶子だからって、昔からいつも目の敵にしてたのよ。それが笑顔を見せるだなんて、天変地異が起こるんじゃないかって、しばらくの間ビクビクしたわ。
それから、私の暮らしぶりも少し良くしていただけたの。塔から出て、お庭を散歩したりできるようになったわ。 あなたのお陰よ、ありがとう。
それとね、ビッグニュースよ!
なんとあなたは可愛いお姫様の父親になったわ。この春に生まれたの。本当に可愛い子よ。髪の色はあなた譲りの艶やかできれいなオレンジ色。瞳は私と同じ情熱的で吸い込まれそうな漆黒。肌は抜けるように白くて、この子は美人になるわよ。
よく笑う子でね、その笑顔は…ルクレツィアにそっくり。多分この子は気の強いじゃじゃ馬になるわね、そんな顔立ちだもの。何より健康に生まれてきてくれたのよ!親孝行な子でしょう?
ねえ、お願いがあるの。この可愛いお姫様に名前をつけてあげてほしい。そして、この子がもう少し大きくなった時に言ってあげましょうよ。 あなたの名前は、お父様からの初めての贈り物なのよ、って。
そしてね、お姫様からあなたへ、初めての贈り物を同封するわ。ペンダントの中にお姫様の髪一房が入っているの。お姫様が『お父ちゃま、ご無事でね』と言ってるわ。そうよね、お姫様?笑っているから、多分合ってるわよ。
あなたが帰ってきたら、お返しの贈り物を、二人で考えましょう? ああ、楽しみだわ。この子を見たら、あなた、絶対デレデレになるわよ。嘘だと思うなら、早く帰ってきて証明しなさいね。
実はね、父に約束してもらったの。あと二つだけ任務をこなせば、あなたは帰ってこられるわ。でも急ぎすぎなくても大丈夫よ。一番大切なことは、あなたのご無事。
身体に気をつけて、お元気でお帰りなさいね。可愛いお姫様と二人で待っているわ。
あなたを愛する妻、サンシアより




