愛されない日々
結婚後、雄一は優しかった。
常に私の身体を慮ってくれた。
私は雄一が傍に居てくれるだけで幸せだった。
だが、そんな幸せな気分は長続きしなかった。
雄一は華子と共に夜を過ごさなかったからだ。
「どうして? どうして……別々の部屋で過ごすの?」
「……ごめん……。」
何度聞いても、雄一の答えは「ごめん。」だけだった。
子どもを授かることなど不可能だった。
どんなに優しくして貰っても、大切にして貰っても、愛されていないことを自覚せざるを得なかった。
私の心は千々に乱れた。
何度も雄一に迫った。
どんなに迫っても雄一は私の額に口付けを落とすだけだった。
3年経って兄から聞いた雄一の言葉は私の心を引き裂いた。
「出来ないよ。
僕が加害者で、彼女は被害者であることは生涯変わらない。
結婚して責任を取ったけれども……傷を見たくない。見れないんだ。
加害者の僕は、被害者の傷を目にするのが辛い。
……………それに………どうしても………愛せないんだ。
どうしても………無理なんだ。
僕は…………僕は…………今も………。」
そこまで聞いた私は大声を出していた。
「止めて! 聞きたくない!」
その後の雄一の言葉が私は想像出来たから聞きたくなかったのだ。
◇◇◇◇
それからの私は、雄一の元婚約者・榊原愛子の行方を調べた。
父親の会社から調査を請け負っている興信所に依頼した。
榊原愛子は婚約解消されてから3年経っても結婚していなかった。
雄一と会っていない。
別れたまま二人は会っていない。
それでも、雄一の心を占めているのは榊原愛子一人だと私は思った。
榊原愛子が憎かった。
雄一が私に誠実であればあるほど、愛されていないことを証明しているかのように感じていた。
ただ彼はひたすらに加害者としての責務を負っているだけでしかないと突きつけられているのだ。
空しかった。
それでも雄一と離婚など出来なかった。
どんな状態でも榊原愛子の元へは行かせたくなかった。
意地だった。愚かなほどの意地しか無かったのだ。
雄一から離婚を告げることはないまま、年数だけが過ぎ去った。
私は榊原愛子の調査を毎年続けた。




