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男たち 女たち  作者: yukko
氏郷
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穏やかな日常

大崎の両親と中井美穂子がどのような話し合いをしたのか分からなかった。

ただ、穏やかな日常が戻って来た。

華子は誠との家に戻り、二人で暮らしている。

華子と誠、そして高嶋家も穏やかに暮らせている。

何気なく暮らせているこの日々が、これほど得難いものだと改めて僕は感じた。


そんな時、矢沢和宏の妻が亡くなったと連絡があり、最初から三度目の今回まで、ずっと矢沢和宏が妻を亡くす人生は変わらないと分かった。

子どもを抱えて、これから先、和宏はどんなに大変か……「身体だけは大切にしろよ。もう親は君だけなんだからな。」と和宏に僕は言った。

この言葉も何度も繰り返した人生で、僕は何度も和宏に言った。


川口孝三郎の人生も何度も僕が繰り返し見て来た。

同じ女性との再婚を経て、また離婚した。

今は一人で暮らしている孝三郎。

寂しそうな笑みを見せた。

「子どもに会いたいけれども、会うのも辛い。」と彼は言った。

二度目に離婚の方が最初の離婚よりも遥かに孝三郎にとってダメージが大きかった。

それも、全て同じだった。


そして、谷川雄一の末子の障害が分かった。

彼は「子育てが大変だ。」と言っている。

二度目の時は、華子が力になってくれた。

三度目の今回は、華子のような保母が居ないようだ。

これから、幾度も大変なことに遭遇するのだろうか……雄一と愛子のことが案じられた。

僕は三度目の今回、雄一の父親の病死より前から、雄一と一緒に癌検診を受けている。

二度目の時より早くから始めた。

二度目の時、効果があったからだ。

今回の人生でも、その効果を僕は密かに期待している。

今後、胃がんの原因と言われているピロリ菌の除菌を受けたいと思っている。

それは、これから先の話だ。


◇◇◇◇

穏やかな日々を暮らしている僕に、中井良太と家族の不幸が知らされた。

それも、テレビのニュースで知らされたのだ。

ニュースによると無理心中だということだった。

夫が妻と息子を道連れにしたと報じている。

何があって家族を巻き込んで死を選んだのか分からない。

華子も「知らない。」と言った。

誠も「接点が無いから分からない。」と言った。

僕の耳にあの日の中井良太の声が木霊している。


「学は俺の子です!」


自分の血を分けた息子では無かった。

それでも良太は愛した。

それなのに……何故、命を絶ったんだ。

愛した女性と息子の命まで、何故、奪ったんだ!

僕には分からない。

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