信頼
僕も病院へ向かい、到着した。
誠は意識が戻った。
華子の姿を見て直ぐに「僕を信じて欲しい。」と言った。
僕が病院に到着して最初に聞いた大崎誠の言葉。
それが「僕を信じて欲しい。」だった。
華子は返事をしなかったのか、それとも出来なかったのか。
華子の返事は無かった。
尚も誠が「僕を信じて。」と言った時、誠の両親が「夫を信じなくてどうする!」と華子を叱りつけた。
誠に警察が話を聞こうと「これから話を聞きますので、ご家族は少し外でお待ち下さい。」と言った。
誠は華子に手を差し出した。
「華子………僕は………。」
華子は警察に一礼して部屋から出た。
ずっと俯いたままだった。
誠の視線は出て行く華子を捉えていた。
その視線を外したのは、警察からの事情聴取が始まってからだ。
父が華子に言った。
「華子、今日は高嶋の家に帰りなさい。」
「お父様。」
「そうなさい。ね、華子さん。」
「それが良いと僕も思うよ。」
「私から、あちらには話すから、華子は何もしなくて良いよ。」
「………お父様………ありがとうございます。」
父が大崎の両親に華子を連れて帰ると話した。
大崎の両親は激怒したが、その声の大きさが酷く、病院と警察からの注意を受けて平身低頭していた。
そちらに意識が行っている間に、うやむやのまま華子を高嶋の家に連れて帰ることにした。
「華子……頼む。
僕を信じてくれ。」
病院を出る前の誠の言葉だった。
誠のベッドの隣のベッドに横たわっているもう一人のこの事故の負傷者の女性を見た時、僕は声も出なかった。
驚きすぎて声も出なかったのだ。
⦅あの女性……忘れもしない。
あの女性は前の……二度目の人生で華子を轢いた車を運転していた。
華子を殺したあの女性だ。
どうして、誠君と同じ玉突き事故に?
誠君の言葉の意味は……何なんだ?⦆
僕は忘れていない。
独りの人生と決めて華子が保母の仕事をして、両親と同居してくれて……僕は華子に幸せになって欲しいと願っていたのだった。
それを……ある日突然に壊された。
⦅華子を轢いたその後、あの女性は病院へ誠君と一緒に謝罪に来ていなかった。
別の男性を連れて来ていた。
夫と言っていた。
………どうして、また、あの女性が?
……また、病院で見るなんて……。⦆
何が起こったのか、これから起こるのか、僕には全く分からなかった。




