離婚?②
大崎誠がやっと帰って来た。
誠自身が帰国後、高嶋家を訪れた。
開口一番、誠は謝罪した。
「お義父さん、お義母さん。
申し訳ございませんでした。
僕が居ない間に、両親が……本当に申し訳なく思っております。」
「誠君、申し訳ないという君の気持ちは受け取った。」
「お義父さん! ありがとうございます。」
「ただ、受け取っただけだ。」
「はい。」
「率直に聞く。君は華子との離婚を望んでいるのかい?」
「いいえ!」
「子宝に恵まれないまま5年も月日が経った。」
「それは……華子の責任ではございません。
………子どもが出来ない原因は、自分にあります。」
「えっ?」
「…………誠さんに?」
「誠さん!」
「いいんだ、華子。
隠すことが可笑しい。
僕は無精子症だとの診断を受けました。
重度の男性不妊です。
ショックでした。
その状態から立ち直れていないまま、僕は海外へ出張に行きました。
両親は知らなかったのです。僕が無精子症だということを……。
検査結果は海外へ行く2日前受け取りました。
直ぐに華子にも言えませんでした。
手紙で華子にだけ伝えました。
本当に申し訳ございません。
僕が直ぐに両親に話していたら、あんな酷いことは出来ませんでした。
僕のせいです。
申し訳ございません。
………華子……ごめん。本当に済まなかった。」
「誠さん………いいの、私は………。」
「では、華子との離婚について君の気持ちを知りたいのだが?
教えてくれるかい?」
「勿論です。僕は華子が子どもを望むのであれば離婚に応じます。
もし、子どもを持てなくても良いのであれば………。
僕は華子と離婚したくありません。
だから……華子、離婚を決めていいのは僕じゃない。君だよ。
君が自分の子を望むなら、僕とは離婚した方がいい。」
「誠さん…………私は子どもが居なくても、いいです。」
「本当に?」
「ええ、嘘偽りなく……。」
「では、離婚しないということで良いのだね。」
「華子が僕との結婚をこのまま望んでくれるのなら、僕は離婚しません。」
「お父様、お母様、私も離婚を望んでいません。」
「そうか……良かった。」
「…………でも、私は反対です。」
「お母様!」
「お義母さん……ご不満ですよね。」
「華子さんに対し、あのような態度の方々を義理とは言え親だとは………。」
「別居します。僕は華子を守ります。」
「本当ですか?」
「お兄様!」
「信じて頂けないでしょうけれども、僕は努めます。」
「二人の気持ちが同じ方を向いて居れば良いのだよ。」
「あなた………。」
「お父様。」
「お父様、そう仰いますが……二度あることは三度あると申します。
今までも何も無かったとは思えません。
あの親御さんが舅姑………華子には辛いことと思います。」
「氏郷、妹を案じる兄としても気持ちは分かるよ。
だが、華子の人生なのだ。決めるのは華子であって君ではない。」
「……はい。」
「誠君、別居のこと、頼みます。」
「はい! もう家は決めています。」
「えっ?」
「華子、君が離婚しないと言ってくれることを、僕は期待していたんだ。
期待を込めて海外に出る前から探してたんだ。
候補が3軒ある。
一緒に見に行ってくれるかい?」
「ええ、行きます。」
⦅意外だ……行動出来るんだ……。⦆「それなら、言うこと無いよ。」
「お兄様、ありがとう。」
「お義兄さん、必ず華子を守りますので、安心は出来ないでしょうけれども見守っ
て下さい。
宜しくお願い致します。」
離婚せずに親と別居するということで、華子の離婚は回避出来た。
華子は誠を信頼している様子。
僕は誠を信じることにした。
そして、父の言葉「華子の人生なのだ。決めるのは華子であって君ではない。」が心に突き刺さった。
これからは兄として見守ることに専念しようと心に決めた。




